目次

あれから、季節が2回変わっただけなのに、10年もたったような気がする。思ってもみない筋書きと、信じられない結末だったが、いま思えば、得がたい体験だった。

あの日。
そう、すべては、あの日始まったんだ

I .神社編
I .神社編1 :エロベンチャーのはじまりだ。
I .神社編2 :神社でわっしょい!

II..ツバサ編
II..ツバサ編1:あこがれのセンパイ。
II..ツバサ編2:ツバサのヒミツ。
II..ツバサ編3:ツバサが飛んだ!

III アユ編
III..アユ編1 :地味めの人。
III..アユ編2 :アユの美人論。
III..アユ編3 :二つの顔。

IV.レイカ編
IV.レイカ編1:人形の反乱。
IV.レイカ編2:レイカの本心。
IV.レイカ編3:レイカが濡れた!

V.モモコ編
V.モモコ編1:女優降臨。
V.モモコ編2:モモコさんの恋。
V.モモコ編3:ベテランの底力。

VI..シルビア
VI..シルビア編1:深夜の訪問者。
VI..シルビア編2:女王様の誕生。
VI..シルビア編3:マチコとの再会。

VII..ユミ&マミ編
VII..ユミ&マミ編1:浮気妻選手権。
VII..ユミ&マミ編2:浮気道。
VII..ユミ&マミ編3:ヒトミの秘密兵器。

VIII..ミカ編
VIII..ミカ編1:ヒトミの初恋。
VIII..ミカ編2:天国から地獄。
VIII..ミカ編3:残酷な運命。

IX.タマキ編
IX.タマキ編1:哀しみの未亡人。
IX.タマキ編2:旅ハメの記憶。
IX.タマキ編3:天国の3P。

X.ソフィア編
X.ソフィア編1:遠くから来た女の子。
X.ソフィア編2:二人はちがう。
X.ソフィア編3:わかりあいたい。

XI.サクラコ編
XI.サクラコ編1:チェリーの問題。
XI.サクラコ編2:フクザツな再会。
XI.サクラコ編3:ヒトミの作戦。

XII.最終編
XII.最終編1:ヒトミの卒業式。
XII.最終編2:最終決戦。
XII.最終編3:衝撃の真実。
XII.最終編4:ヒトミ、キレる。
XII.最終編5:グランドフィナーレ。

| | コメント (2)

XII.最終編5:グランドフィナーレ。

「怒っちゃダメ、ヒトミくん」
ぼくの右手前方の花道(いつのまにそんなもの?)の上に、またひとりあたらしい女の人・・・ツバサさん!

「学校の友達も、先生も、ダミーだったかも知れない。わたしも、その一人かも知れない。でも、ダミーにもこころはあるの、涙も出るの、たたけば痛いの、触れば濡れるの。みんなみんな、ほんとうの真心で、ヒトミくんと付きあってきたのよ」
そうならいいんだけど・・・。真心まで疑っちゃ、いけないのかも知れないな。

「『例の女』の最初の女に、まっ先に手を上げたのは、わたし。ヒトミくんの一番だけは、だれにも譲りたくなかった」
そう言ってもらえると、うれしいです。思いだしダチ、します。

「出会いかたなんて、星の数ある。席が隣になった。相手の定期券を拾った。おなじ刑務所に入っていた。ヒトミくんとわたしは、はじめはたまたま、こんなストーリーの中で出会ったけど、出会いかたが、そうだっただけ、じゃない?そこから先は、わたしたち二人がつくりあげたもの、じゃない?」
ツバサさんに言われると、そんな気がしてきた。ぼくは、ぼくは、ぼくは・・・。

「もう、女の人は、怖くないはずよ」
もう怖くない、どころか、、、好きだ。でも、いちども出してない。←しつこい。

「ヒトミくん、忘れてるみたいだけど、おめでとう」
おめでとう?あったっけ、おめでたいこと、、、あ、そうだ!

「今日はお誕生日でしょ?おめでとう」
そうだ、ぼくの22歳の誕生日、いろいろあったから忘れてた・・・満22歳!

「そう、あなたは自分のちからで、自分の運命を変えたの。もういちど、おめでとう」
ありがとう、でも、ぼく一人のちからじゃないよ。

「もう、いろんなこと、自分でできるはずよ」
ちょっとだけど、ちょっとずつ、だけど。

「わたしが、最初に、教えたの」
教訓①「考えるな、カラダに聞け」
ツバサさん、得意そうに、微笑んだ。ぼくの大好きな、あの顔だ。

「でも、ヒトミくんがしてきたことは、自分のためだけじゃないの」
ツバサさんの隣に、また一人・・・アユ!

「ヒトミくんは、わたしのコンプレックスを、取り去ってくれた」
アユは容姿に、自信がなかった。
でも、ぼくは彼女の、アノときの顔を、とってもきれいだと思った。
悪い方から見ると、だれだってブサイクだ。いい方から見ると、だれだってチャーミングだ。
だったら、いつもいい方から、見ればいい。
教訓②「女の顔は、ひとつじゃない」
「わたしに、生きていく可能性を教えてくれたの」
ありがとう、アユ、でも、そんなたいしたことしてないよ。
ねえ、泣かないで、ぼくも泣くのをがまんするのに、いっぱいいっぱいなんだ。

「そう、ヒトミくんは、わたしの凍っていたこころを、溶かしてくれた」
レイカ!見ないうちに、表情がとてもおだやかになってる。
レイカは、手強かったなぁ、機嫌の悪いアイドルなんて、ちょっとしたウェポンだ。
でも、教訓③「とにかく自分で動くのだ」
困難ほど、正面から当たれ、って教えてくれたのは、レイカだ、ありがとう。

「あなたには、人を癒すチカラがあるのよ、男でも女でも」
お久しぶりです、モモコさん!
「いまはもうそれに、気がついているわね?」
どうなんだろう、自分ではよくわからない・・・。
「返事しなさい!」
「はいっ」
モモコさんの、子供みたいな笑顔。
「さいきん、あたらしい恋をしているの。昨日の夜も、3ラウンド」
よかったですね、3発も!
「ちがうわよ、18×3=54ホール」
ゴルフですか!あと、、、ホールは、下品です。
教訓④「いつだって、いまが、いちばん」
ぼくも、いい恋ができるようにがんばります。モモコさん、ありがとうございました。

「こんにちは、ヒトミくん」
こんにちは、マチコ。今日は、シルビアじゃなくって、マチコだね。
「シルビアは、やめちゃったの、でも、女王様はたまにやってる。男の人が憎いって思わなくなったから、いまは、愛のムチ、むしろ本気、だけどね。こっちのほうが痛いよー、ためしてみる?」
遠慮しとくよ、でも、明るくなったね、うれしいよ。
教訓⑤「すべてを肯定してみよう」
これからもがんばろうぜ、マチコ、おたがいに。

「ヒトミくん、わたしたち覚えてるぅ~?」
ユミさんとマミさん、忘れるわけないじゃないですか。
「元気に浮気してしてますか?」、、、へんな質問。
「それがねー、もうすぐ浮気妻選手権の世界大会だから、その準備で浮気してるヒマなくて」
と、ユミさん。難しいもんなんですね。
「ヒトミくんも、早く彼女つくってね」
と、マミさん。ありがとう。努力します。
「そうしたら、ヒトミくんも浮気できるよ」
そういう意味なんですか。
「ヒトミくん、ファンタジスタやカエルさんに、頼ってばかりじゃダメよ」
耳が痛いです。
教訓⑥「人に頼るな」
「だから、ファンタジスタ、わたしにちょうだい!」
「わたし、カエルさん!」
、、、あげませんよ。

「・・・ヒトミくん」
・・・ミカ。
「・・・かくしてた・・・わたし・・・ごめんなさい」
もう、怒ってない、わかった、ほんとうにわかったよ。
「あん、なに、あんな、に、好き、だったのに、好きだっ、たのに・・・」
ミカ、もう泣かないで、好きな人にかくしごとをしなくちゃいけない、って、つらいよね、それがその人のためだって、せつないよね。
ぼくが、ミカだったら、きっと、そうだ。
「・・・好きだった」
知ってるよ、だからもう、だいじょうぶ。
みんなの愛情で、友情で、見えないところで献身的に支えてくれた、たくさんのだれかのおかげで、ぼくはすこしだけ、やさしくなれた、泣かなくなった、きっと、それは、成長ってことだろう。
ぜんぶ、すこしだけだけど、でも、明らかにちがう。
ぼくのこころの中には、みんなへの感謝しかない。
おかあさんの病院がにせものでも、ぼくの高校がつくりものでも、そんなことは、それだけのこと。
だって、みんな、ここにいるじゃないか!だから、ミカ、もう泣かないで。
「ミカは、ひとつだけ大きな間違いをしている」
ミカが、泣くのをやめて、ぼくを見つめている。
「好きだった、って、過去形じゃないでしょ?」
ミカは、笑顔が涙でぐしゃぐしゃだ。
「ミカ、また、いつか、会えるよね」
教訓⑦「永遠なんて、ない」
でも、未来は、ある。
ミカは、微笑んだ。そして、うなずいた。

「その節は、お世話になりました」
タマキさん、その後、いい出会いはありましたか?
教訓⑧「思い出は多いほうがいい」、増えました?
「好きな人ができたんだけど、ふられちゃった」
どうしてですか?
「彼、亡夫との3Pを嫌がったの」
そりゃふつう、よろこびませんよー。
「でも、わたし、もうだいじょうぶみたい。ヒトミくんが、前に向かって生きることを、思い出させてくれた。忘れられない、まいにちにする。ほんとうに、ありがとう」
こちらこそです、ありがとうございました。

「ヒトミ、すてきナ、パーティーね」
ソフィア!わざわざ来てくれたんだ、遠いところ、ありがとう。
ソフィアには、とってもたいせつなことを、教えてもらったんだ。
教訓⑨「人はちがう、だからわかりあいたい」
「ワタシ、もっと、ニホンのウタマルとわかりあいタイ。ヒトミとも、もう2,3パツ、わかりあいタイ」
、、、あのね、それじゃ、わかりあう=スルって意味でしょ?
せっかく、たいせつなことって、言ったのに、それと、なんども言うけど、(誤)ウタマル→(正)ウタマロ、だからね。アンダスタン?
ソフィアは、いたずらっぽく笑っているけれど。

「わたしのはじめての男性、こんにちは」
そう言われると、照れくさいよ、サクラコ。
「ヒトミくんに、文句を言いに来たの」
なに、こんどは真逆にいきなり。
「あれからわたし、だれともエッチしてないの。自分でも、してないの。現実でするより、想像のほうが気持ちよくなっちゃったの」
教訓⑩「想像力には、チカラがある」
「触らなくても、イッちゃうの。こういうのどう思う?これって、女の幸せ?」
、、、あ、それ、ちょっと、わからないな。。。
「責任とってよ、ヒトミくん」
いいよ、サクラコの想像の中でね。
「冗談、はじめてが、ヒトミくんでよかった、感謝してます」
感謝するのは、ぼくのほう、ありがとうサクラコ。また、手をつないで、家に帰ろうな。

「、ってことなんだけど・・・黙ってたのは、悪かったと思う、でも」
「もういいよ、わかったよ、おとうさん」
おとうさん、って、やっと言えた。

ぼくは、ぼくは、ぼくは、ずっと、ずっと、ずっと会いたかったんだよ、おとうさん。
おとうさん!おとうさん!おとうさん!おとうさん!おとうさん!おとうさん!
なんどでも呼びたい、おとうさん!でもほんとは、おかあさん。。。
でもいいんだ、そのほうが、いいんだ。
おとうさん&おかあさん。おかあさん&おとうさん。そして、ぼくの大好きなおかあさん。
ほら、5人いる!ふつう、おとうさんとおかあさん、ふたりしかいないのに。2.5倍!きっと、愛情も、2.5倍。ありがとう、ぼくは幸せです。

「おとうさん、素朴な質問なんだけど」
「いいよ、なに?」
「さっき、お金もかかっちゃうし、って言ってたでしょ、どのくらい?」
「ヒトミは気にしなくていいよ」
「教えてよ、参考にするから」なんの参考だ?
「200億くらい、おこづかいなくなっちゃった」
2、2、2、200億!
「バイトしなきゃ」
どんなバイト?

「そんなことより、それで、オマエ、どうする?」
「どうする、って?」
「わたしたちは、オマエに、男として生きろ、と言ってるんじゃないよ。男でも女でも、どっちでもいい、ただ、自分の意思で、選んで欲しい。わたしたちは、そうじゃなかったから」
「ありがとう、わかりました。でも、もうちょっと、時間もらっていいかな、まだ混乱してるから」
「OK,もちろん、じっくり考えろ」
ありがとう、ほんとにありがとう、おとうさん。

「ヒトミ、元気でな、また会おう」
おとうさんも、お元気で。

「ヒトミ、また、会ってくれるよね」
あたりまえじゃない、おかあさん。ぼくら、家族だよ。

「恋せよ!愛せよ!生きろ!ヒトミ!」
おとうさんのその叫びとともに、すべての照明が落ちた。

そして数10秒後、おだやかな暖色の光が、ホールに満ちた。
映画やコンサートが終わったあと、「これをもちまして、レッド ホット チリペッパーズ 東京公演はすべて終了いたしました」、ってときの、照明だ。

あ、おかあさん!いつもの、やさしい笑顔。
「おかあさん、なにか食べに行こうよ。ぼく、おなかすいたよ」

SEE YOU AGAIN

~ 完 ~

| | コメント (8)

XII.最終編4:ヒトミ、キレる。

「つまり」
おとうさん(仮)が、晩ごはんのメニューを、明かすように言った。

「そう、わたしがほんとのおかあさん」
そして、「わたしがほんとは、おとうさん」

、、、あたマがこワれますタでス。

おかあさん→育てのおかあさん
ほんとのおかあさん→おとうさん
おとうさん→ほんとのほんとのおかあさん

「まあ、気にするなって」
気にする、する、するよーーー。

「だからね、こんなややこしいことは、自分の代で終わりにしようって、決めたんだ。ヒロミは、ちょっと、間にあわなかったけどね」

「わたしはこれで、幸せよ」
ヒロミ、、、兄さん。。。

「ヒトミからは、なんとかしなきゃなって、思ったんだ」
ありがとうございます、かな?

「中学生の頃までは、まだそんなにあせってはいなかった。ヒトミは、まいにちちゃんとオナニーできるいい子だったからね」
(赤面)見てたんですか?

「ところが、中3の秋くらいかな、ヒトミが急に女の子たちに、距離を置きはじめた。思春期って、そういうもんだけど、なにぶん宿命が宿命、とくにわたしたちは異性にオクテなんだよなー。だからしっかりウォッチしておかなきゃ、って、大急ぎで高校をつくった」
つくったぁ?

「高校創立って、たいへんなんだよね、しかも半年で、お金もかかっちゃうし」
ぼくの通ってた桃高は新設校で、ぼくは、願書も出してないのに、いきなり推薦合格しちゃったんだ。・・・そういうカラクリがあったとは・・・。

「まずは男らしくと、サッカー部に入らせて」
サッカーなんて興味なかったけど、「いいから入ろうぜ」って、イシダが言ったから・・・イシダ?

「なんとか性に関心を持たせようと、世界各国オールジャンルのエロ本読ませたり」
まいにち、コウノが見せに来てた。・・・コウノ。。。

「でも、オクテの血には、逆らえず、いまひとつ効果がない。だから、オマエを海外に行かせて時間かせぎをして」
(大学なんかつまらないぜ)、、、トモハラがぼくに言ってた。
(海外で武者修行なんて、いいんじゃないかな)、、、オオシマ先生!

「いろいろと準備を、整えたのだ」
「じゃ、学校のみんなは・・・」
「ほぼ、エキストラ、って言うか、ダミー、かな」
、、、ダミーの、友達、、、だみーの、先生。。。

「そして、このストーリーを思いついたのだ。我ながら、ナイスプランニング!だよね?」
隣の、おかあさん(仮)と、満足げに笑いあってる。

このストーリーって、「例の女」のことか?友達って、なんだ?なにがほんとで、なにがうそだ?
なにから、どう、質問していいかわからない。過去も未来も、もう信じられない。
たしかだと思ってた過去も、そうじゃなく、ただでさえあいまいだった未来は、まったく見えなくなってしまった。

たぶんすべて、ぼくのためだ、たぶん。そのすばらしいストーリーを、ぼくだけが聞かされていなかった、それだけのことだ。
善意と思いやりのパーティーの、すてきなプレゼント。
その前に、目隠しされてぼくがつれてこられた。それだけのことだ。

「フザっ、フザっ、フザケルナー!!!!!!」

生まれはじめて、こんな大声を出した。のどが口から飛び出るか、と思った。

おとうさん(仮)は、おかあさん(仮)の後ろに、隠れた。
ブドーカンは、完全に沈黙した。みんな、心臓の鼓動まで、止めているかのようだった。 
 
 
つづく

| | コメント (2)

XII.最終編3:衝撃の真実。

死闘と呼ぶんだろうか、たいした修羅場も踏んでないぼくにはわからない。
でも、さすが、12人の最後に登場するだけのことはある。

全身に力が入らない。
トライアスロンでゴールしたあとに、オナニーするくらい疲れている。
もちろん、トライアスロンなんて、やったこともない。ぼくのイメージで「めちゃすごく」を言い換えたに過ぎない。
ただ疲れが、どぼどぼとカラダからこぼれている。

おなかすいたなあ、お寿司食べそこねちゃったなあ。
大好き1位ねぎとろ、2位カニサラダ軍艦、3位のタマゴ焼き、4位の・・・と考えながら、服を着ていると、グ~っておなかが鳴った。

「・・・ヒトミ」
元オネーサンが目を開けた。

おなかのグ~で起こしちゃったかな、ごめんなさい。それにしてもだいじょうぶかな?めちゃすごく(トライアスロンで、以下略)苦しそうだ。

友情か、もしかしたらそれ以上のものが、胸をよぎる。
ふしぎだな。この人せいで散々な目にあってきたのに、すべてを許せている自分がいる。

今日はふしぎな感覚デーだ、いや夜だからふしぎな感覚ナイトだ、って完璧にどっちでもいい。たぶんこういうの、愛憎って言うんだ。火曜サスペンスで見たことがある。

「・・・おめでとう」
スタンプカード!最後のひとつが、あざやかな朱色で押されている。

やったあああああああーーーーーーーーーあ!スタンプが12個、ついについについに!
あれ、元オネーサン、これまで見せたことがないような、慈愛に満ちた笑顔。

「大きくなったね、ヒトミ」
大きくなった?ピエールのこと?←まっ先に、こう考えるクセがついている。

「わたしの、誇り」
わたしの?誇り?ぼくは、元オネーサンのもの?

こればかりはいつものように、ぼくの疑問にはもちろん答えないで、満足したようにゆっくり目を閉じた。
それにあわせるように、天井の照明がおちた。
再び、暗闇のブドーカン。

いきなりはじまるピアノ曲のイントロ・・・これは「冬のソナタ」?
いったい、なにがはじまるのだ?
しばらく続く音楽、「あれ」とは微妙にちがう。。。たぶん著作権の関係で、似せてつくった曲だ。そんなことどうでもいい。

そして、ぼくの10メートルくらい先に、天井からのピンスポットライト。
その中に姿を現した、一人の・・・一人の・・・やったやったやったやったぁーー、
「おかあさん!」

「元どおり、元気になったんだね、もうケガは、だいじょうぶなんだね、またいっしょに暮らせるんだね、ぼく、ぼく、ぼく・・・(涙)」
おかあさんは、事故の前とおなじ、やさしい笑顔でうなずいている。

「どこの悪魔さんかなんか知らないけど、あの約束、いまこの瞬間まで、半信半疑だった。ありがとう。約束守ってくれて、ありがとう」
ぼくは、暗闇の中めがけて、声を張りあげた。
そして、エンディングが、はじまった。

「その人は、最初からケガなどしておらーん」
太い男の声が、ホールにこだました。

ぷぁぱっぱらぱぱっぱぱぱぱらっぱらぱっぱらっぱぱっぱらぱっぱっぷぁっぱーーー。
もったいぶったファンファーレが、鳴り響く。
これまでの人には、電気代ケチっててごめんねー、ってくらいのあふれる光の中、紋付はかまのオジサンが、ステージの上に現れた。

「クルマにはねられてもいないし、入院もしていない」
じゃ、あの、面会謝絶の部屋は、なんだったんだ?

「そもそも、あの病院自体、存在していない」
えっ、それどういうこと?否定形の多いオジサンだな。

「しかもその人は、オマエのおかあさんではない!」

なんだ、このオヤジ、わけがわからない、この人がぼくのおかあさんじゃなければ、なんなんだ?
このバカオヤジ!って、ふとおかあさんを見ると、しくしく泣いている、肯定するように。
どうしたの、おかあさん、ちがうって言ってよ。

「あと、男はやたらと泣いちゃダメだ」
、、、すみません、気をつけます、でもなんで知らないオジサンから説教・・・@深夜のブドーカン。

「さらに、わたしは悪魔さんではなーい」
じゃだれ?だれでもいいけど。

「オマエの父だ」
チチって、どっちの乳だよ(←まっ先にこう考えるクセリターンズ)って、チチ、ちち、父ィーーーーー?!おとうさん。。。

そして、「わたしが、おかあさんよ」。オジサンの隣の女の人は、泣いている。
おかあさん(復活)と、おとうさん(主張)と、おかあさん(主張)。
なにがなにやら。

「ある重大な事情があって、わたしたちは、オマエと別れなければならなかった。ヒトミ2歳のとき」
2歳・・・あの子供?フレディから伝わってきた、あの映像の中のぼく?

「わたしたちは、たいせつなオマエを、そこにいる女性に託した」
おかあさんを、指差してる。あの映像の中のおかあさん・・・覚悟をきめた顔をしていた。

「つまりこの二人の女性は、生みの親と、育ての親。ふつうの人の2倍だぞ、ツイてるな、ヒトミ」
ぼくは、気になることを質問してみた。
「あの別れのシーンにいた、ぼく以外のもう一人の男の子は、だれですか?」
「それは、ヒロミ。オマエが『神社のオネーサン』と呼んでいた人だ」

またあたらしい、ピンスポットライト。
その光の中には、もちろん神社のオネーサン。

「そして、オマエの実の兄だ」

なにいいいいいいいいぃーー兄アニあにいいいいいいいいいぃーーーーーぃーぃーぃー!

オネーサン→オニーサン、にっこりウインクして、
「ヒトミ、気持ちよかったよ、また遊ぼうね」
遊ばない遊ばない。
、、、、、脳が、ミートソースになった感じ、しかも缶詰の。なにがなにやらわかりません。

まだ無邪気に、おとうさん、とは呼べないから→おとうさん(仮)が、2歳のぼくを手放すこととなった「重大な事情」を語りはじめた。

姉小路家は、平安時代から続く名家で、おとうさん(仮)で、35代目になる。しかしその家系には、これまた平安時代から続く大問題があって、満22歳になると性の転換が起きるのだ。つまり、男は女に、女は男に。なんの前ぶれもなく、突然、断りもなく、うむを言わせず、例外なく。

「まあ、自分が納得すりゃ、どっちでもいいんだよ、男でも女でも。私のときは、気にならなかったし、むしろ2倍楽しいし」おとうさん(仮)、ライトににこにこ笑っている。
しょうゆラーメン頼んだのに、塩ラーメンが出て来た、くらいライトな感じ、って、ヒトミくん、たとえ話考えている場合ではない。

そうなのかな、そうなんだろうな、そうならいいけどな、ぼくもそうなっちゃうのかな。

「だから、うちの家族は、みんな、男女どちらでも使える名前になっている」
ヒトミ、ヒロミ、おとうさん(仮)、「わたしは、カオル」、おかあさん(仮)、「わたしは、マサミ」。

「でも、難関は結婚。家系を絶やすわけにはいかないし、そうなると、子供もつくらなきゃならない。名家だけに、ばかばかしい世間体もある。男から女に変わったら、そんじゃ相手は男ねー、ってわけにはいかない。男と男じゃ、子供がつくれない」
なるほど。

「とは言え、女になったら、女の人と結婚するとヘンだろう?だから相手は、やっぱり同じように、男女が入れかわる人じゃなければならない。そんな家系が、日本中にかろうじて17家残っている。その中で、なんとか、結婚したい人を見つけなければならない、無理にでも、妥協しても、好みじゃなくっても、年が離れていても。サンプル数が少ないからねー、なかなか思うようにはねー」
たしかに、たいへんそうだ。

「ま、わたしとおかあさんは、運命のエンドレスラブだけどね」と言って、ぶちゅううう、と、おとうさん(仮)とおかあさん(仮)、DEEP<DEEPER<DEEPESTキス。

仲いいんですね、なによりです、お好きなように、はいはい。。。おい、ちょっと待てよ、、、満22歳で男女入れかわるんですよね、入れかわった同士結ばれるんですよね・・・
 
 
つづく

| | コメント (3)

XII.最終編2:最終決戦。

「踏んだ修羅場が、男をつよくする」
わかります。お手元のフレディも、たしかに修羅場っぽいですね。

「わかりました。お相手いたします」
ぼくは、服をいっきにぜんぶ脱いだ。畳の上に正座して、ていねいにたたんだ。
そうしないと、おかあさんに怒られるんだ。

そして、立ち上がり、、、立ち上がり、、、ぼく本体は立ち上がったのですが、ピエールが、、、。
ピエールが、38%(当社比)。
完全に、フレデリック14世に、のまれている。
しかしです、ぼくもひるんでいます、14世さん。ピエールも、結構なものなんですよー。
みんな大きいって言ってくれるんですよー(ほんと)。
自慢じゃないですよー(うそ)。
なのに、フレディは、ピエール絶好調時の、150%大。

(カーーーン)
ココロのゴング。
ここがオマエたちのリングだとばかりに、天井のスポットライトが、二人を照らしている。
まさかブドーカンで、戦うことになるなんて、しかも全裸、相手仁王立ち、ぼく棒立ち。

元オネーサンは、下半身にタックルに来るように、低く身構えている。
獲物(ぼくです)を狙う野獣。女性らしい? のびやかなカラダには、余計な脂肪がいっさいない。
猫科だな、この野獣。さらに、その下に一匹の野獣。
フレディは、もう、コチコチキンキンビンビンで、オレはオレの獲物取りに行くよ、って感じで、こっちもスタンバってる、ってその獲物も、ぼく。

こちらはというと・・・あれ、ピエールどこ?どこ?。
へなちょこ犬(ぼくみたいな←自虐←得意)がしっぽを巻くように、股のあいだに隠れている。まあわかるよ、だって、この状況でタツ理由がない。
いいや、むしろそうしててくれ、オネーサンがつかみにくくて、ちょうどいい。

ぼくはどうしていいかわからないので、とりあえず元オネーサンをまねて、相手の下半身を取りに行くポーズをして、真剣な表情をつくってはみたものの、男性の下半身を狙う動機もない。

にらみ合ううちに、1時間も経っただろうか?タッただろうか?
・・・ぼくらの影が、伸びている(わけがない)。
眠い。真夜中だ。
ぼくのあくびを待っていたかのように、ぼくに飛びかかる、元オネーサン。

ぼくは、かろうじて身をかわしたのだが、足元をフレディにすくわれて、コケル。
コイツ、目があって自分で動いているかのようだ。我がチームに欲しい。

すぐに立ち上がったものの、カラダが傾いて、隠れていたピエールがコンニチハしたところを、ムギュっっつ!
つかまれた。同時に、フレディがぼくに襲いかかって来て、やめてーーっ、とばかりに手を出したら、あらららら、すっぽり手の中に入っちゃった。

ブドーカンの真ん中で、組み合うように対面する二人。
相撲でいうところの、がっぷり四つ。右の半身。
違うのは、つかんでいるのが、まわしではなく、おたがいのアレってこと、くらい、ってくらいか?

元オネーサンは、ピエールをムンギューーーっ、と握りしめている。
もう、離さへんでぇー、って感じである。

ぼくもフレディを握りしめている、つもりが、デカすぎて。。。
ソーセージが太すぎてバランスの悪いホットドッグ、って感じである。

その態勢のまま、さらに1時間も過ぎただろうか。
二人の影がまた長くなった(ならないって)

ああ、パーティー、はじまってるんだろうな。もうお寿司なんか、残ってないよな。
から揚げもさめてるし、ピザも硬くなっちゃってるし・・・。
(←ヒトミの考えるパーティメニュー。寿司、から揚げ、ピザ)

そんなこと思いながら、同時に、感じている、なんだろう、なつかしいと言うか、ほっとすると言うか、この状態でほっとするのもどうかと思うのだが、ふしぎな感覚。

そのときだ。急に頭の中にセピアな映像が浮かんできた。
子供が泣いている。ぼくだ! まだ小さい、2歳くらいかな。泣きわめいている。
なにかを、だれがを追いかけようとするんだけど、隣の女の人が、ぼくを抱きしめている。

若いころのおかあさん? いつものやさしい笑顔じゃない。
あえて言うなら、決意したような、覚悟したような、そんな顔。
二人の視線の先には、見覚えのない男女と、ぼくより二つくらい年上かな、の子供。
こっちの女の人は、涙だ。その人を、隣の男の人がなぐさめている。子供も大声で何かを叫びながら、泣いている。音声はないんだけど、口の動きを見ると・・・ヒ、ト、ミ。

ヒトミ?
どういうこと? キミ、だれ? これ、なに?
この映像も妙な感覚も、フレディから、やって来る。
つまり、元オネーサンから、やって来る。なんだなんだなんなんだ?

「元オネーサン、これは、いったい、いい、い、い、い、気持ちいいです」
思ってたことと違うこと、言っちゃった。

そうなんだ、気持ちいい、まいった、どうしよ、オネーサンは男なのに、そうか、目をつぶれば気にならないか、って、ほんとに目を閉じるなよ&うっとり目をあけるなよ、ヒトミ!

「女性の手が、一生のうちにコレを触る回数なんて、たかが知れている。わたしの手は、男の手。一日3回コレを触るとしても、3×365×23。つまりわたしの手は、男を知り尽くしている計算になる」なるほど、どおりで。
あと、元オネーサン、23歳だったのね。どうでもいいが。
でも、いいこと聞いた。男の手なら、ぼくも持っている。

ぼくは、自分でするときは、左手でする。右手だと、すぐにイッちゃうから。すぐイッちゃうタイプではないんだけど、ぼくの右手が、すさまじく優秀だということ。
大事なこと忘れてた、封印してたんだ。すごいよ。

とにかく、この勝負からは、逃げるわけにはいかない。
つぎはこっちの番だ。
男の人のアレだと思うと、ちょっとひくが、自分のアレだと、思えばよい。
瞬間主観チェンジ@ヒトミ。
久しぶりの右手だなぁ。思うぞんぶん、暴れて来い。
アウェーだけど。

小指、薬指、中指、人差し指、親指と、順番に動かす。いろっぽい女の人が、こっちイラッシャーイ、ってするときの指ね。
ぼくがそのスピードをマックスにすると、5本の指が1000本に見えるほどだ。その1000本が、フレディにからみつくのだ。どうだ。
フレディは、逃げられない、逃がさない。

これぞ、「秘儀、千手観音」(いま名づけた)。元オネーサンは、驚きに、目を見開いている。
どうせぼくが泣き言でも吐くと、思ってたんだろう。
ぼくはもう逃げない!

おつぎは、「肉球攻め」ぼくの右の手のひらの、指の付け根に汗をかかせると、まるでぷにぷにした肉球という感触になるんだ。
それをフレディに、ぺたぺたぺったんこ、としてやるのだ。
張りついては離れる感触、やわらかいのに十分な弾力、そしてなによりも、猫に触られているみたいな、メルヘンドリーム。
ぺたぺたぺったんこ、ぺたぺたぺったんこ、元オネーサン、目がうつろになってきた。
さて、そろそろ終わりにしようか。

フレディの根元を手で絞めて、血を止める。
元オネーサン、「これは!」
そう、これは、神社で元オネーサンにされた、というかしてもらった
(気持ちよかったなぁ)の、手バージョン、
「血液バキュームインスパイア」だ(いま名づけた)。

しかも、ただ握り締めているのではない。内部の毛細血管だけを締めて、フレディ本体には、影響を与えない。だから、痛さや圧迫感は、いっさいないのだ。
しかし、血だけは確実に止まっている。ほら、フレディが青ざめてきた。

「元オネーサン、3つ数えるよ」
元オネーサンの顔も、フレディと同じくらい青ざめている。
「3」
元オネーサンの顔が、恐怖で引きつっている。
「2」
・・・ここまで、長かった。
「1」
いま、エンディングのとき!

ぼくがフレディを握りしめる手を緩めると、元オネーサンの全身の血が、フレディめがけて殺到する。

どどどどっどどどどどどど。
隣の町まで音が聞こえるほどだ(イメージ)。
ダイナミックにして、毛細血管レベルからわきあがってくる快感。マクロとミクロが織りなす、絶妙のコンビネーション。
元オネーサンがヒザから崩れ落ちる様子を、ぼくはスローモーションのように見た。
これじゃまだ、終わらない、終わらせない。
床にヒザをつくと同時に上がる、悲鳴。

いや、悲鳴じゃない、歓喜の叫びだ。
ぼくは手で攻撃を加えながら、ちょうど元オネーサンのお尻の下に、ファンタジスタを配しておいたのだ。
そして、崩れ落ちる元オネーサン、そのお尻に、ファンタジスタ、チェックイン!
そう、これは、元オネーサンが演出した、ミカの結末。
このフィニッシュは、ミカからのプレゼントだ。

元オネーサンは、それでも、10秒ガマンした。
そして、イッた。出た。飛ばした。

ぼくの足に、ちょっとかかった。

つづく

| | コメント (2)

XII.最終編1:ヒトミの卒業式。

そう、ぼくはいま、「卒業パーティー」に向かっている。
「午前0時スタート」と、招待状には書かれている。
ずいぶん遅いスタートだ。

「準備の都合があるので、30分前には会場に来てください」
なにを準備?卒業生からのスピーチとか、あるのかな?
「卒業できればの話ですけどね」

ぜったい卒業してみせる。そして、おかあさんを、元どおりにしてみせる!って、そもそもぼくは、どこにいつ入学したんだろ?
とにかく、同封の地図を頼りに、会場へ向かう。

指示通り、30分前。九段下から坂を上って、
「たぶん、このあたりのはず・・・」
ふと、ぼくの視界を埋めつくす建造物・・・ブドーカン?ブドーカン!

「ヒトミくん卒業パーティーは、こちら→」の張り紙。
やっぱり、ここだ。ほかにだれか出席するのかな?

関係者入り口のドアを開けて、月明かりを頼りに、廊下を歩く。
やがて、ホールの入り口へ。そーっとドアを開けてみると、ありゃ、ここも真っ暗だ、どこでどうすりゃいいんだろ?

そのときだ!
一面に畳が敷きつめられた、広いホールの真ん中に、ピンスポットライト。
よく見ると、神社のオネーサン!
「招待状は、届いたようね」

天井からのライトで、顔に、しまの陰影ができて、歌舞伎のくまどりみたい。
つまり、コワいです、いつもより。

「卒業パーティーは、あとのお楽しみ。まずは卒業試験に、パスしなきゃね」
準備って、その30分、か。

オネーサンは、スタンプカードを投げてよこした。
このオネーサンと、深夜の神社で会ったときから、この冒険ははじまった。
スタンプカードを見ると、はじめのころ、ツバサさんやアユのころのハンコは、色があせてしまっている。

長い旅だった。11個のスタンプひとつひとつが、ぼくが生きてきた証だ。
いろいろな女性がいた・・・みんな、喜びも悲しみも悩みも夢も抱えて、生きていた。
その、ひとつひとつと向き合うことで、ぼくはつよくなれたような気がする・・・。

「あのね、ヒトミくん、そんなうっとりした顔で、感動のグランドフィナーレをセルフ演出してる場合じゃないよ」
、、、すみません。

「あと、思い出しダチ、してるよ、キミのピエールくん」
ピエールって名前つけてくれたのも、オネーサンだ。

「キミ、やり残していることが、あるでしょ?」
「そういえば、いちどもイッてないしなぁ」
「そんなことじゃなくって」
「わかってますよ、もちろん」ああ、わかってるさ。

スタンプカードに、ただひとつの空欄・・・。
「だれですか、最後の一人は?」

オネーサン、さっきにも増して、妖気大盛で、
「目の前にいるじゃないの」
えっ?

「わたしじゃ、ご不満かしら?」
来たね。
「わたしアゲイン。わたしリローデッド。わたし大好評につき、キャンペーン再び!」

、、、大好評ではないですが、そうそう、神社では、あやうくイキそうになっちゃったんだ、♪まあるい緑の山手線、を思い出さなければ。でも、あれからぼくも、成長している。はず。

「ぼくも、もういちどくらいならシテもいいなって、思ってたところです」
「ウンッモー、ジョートー言えるようになったねー。不愉快!」
あわわわ、、、怒った?

「とにかく、ここまでは、よく来れた。でも、卒業パーティーは、きっと中止になるわ!」
ほんとに怒ってる、指ポキポキやってる、帰ろかな。。。

「&キミ、招待状を、ちゃんと読んで来なかったようね」
なんだろ?

「正装、って書いてあったはずだけど」
今日のぼくは、一着しかない黒いスーツに白いシャツ。
精一杯なんだけど、これ・・・あ、ネクタイか。

「このあいだ友達にネクタイを貸して、まだ返してもらってないんです」
オネーサン「そんなこと言ってるんじゃなぁーい!」
今日はやたらと怒りっぽいなぁ。

ぼく、「ごめんなさい、でもこんなのしか、持ってないんです」
「持ってるはずよ」
ぼくが、正装の服を?

「どんな高価なものでも、豪華なものでも、服など、しょせん虚飾。そんなもので人の目をあざむくよりも、ありのままの自分のすべてを、さらけだす。それが、男の生きる道。ならば、これ!ハダカこそが、男の正装!!!」

オネーサン、いきなりいっきに、着ていた服を脱ぎ捨てた、見事に男らしく、、、って・・・・・・エッ・えっ・エッ・ええエええエぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!
うわっうわっうわっ、、、、、、、、、つい、て、るん、です、が、ぼく、と、おなじ、モノ。。。

「さあ、立ち上がれ、フレデリック14世!」
、って、あのーソレのことですか?っていうか、もう立ち上がってるし。
でも、ぼくのには、ピエールってのんきな名前(ごめん、ピエール)つけといて、ご自分のには、フレデリック14世(以後、フレディとする。フレチンも、可)ですか、あーそーですか、いいお名前ですね←いじけている。

オネーサンのきれいな顔の、数10センチ下で、ドッカンズッカンそびえている物体。。。シンプルにフクザツ。このオネーサン、というか、オニーサン、もー、フクザツ(以後、元オネーサンとする。オネチンも、可)いったい、なに者?

「ヒトミィっ!」
仁王立ちする(本体も、オトモダチも)その様子は、まさしく阿修羅だ。美しく、気高く、そして、まぎれもなく男。

「ちょっと聞くが、コレ(フレディ)ついてたら男か?」
こっちが聞きたい。それついてたら、男ということになってるんじゃないのか?

「カラダが男で、ココロが女だったら、男か?」
それは難しいなあ。

「ニワトリが先か、卵が先か?」
それは難しくない。完璧に、どっちでもいい。

「アレのことは、明記を避けて、ち〇ち〇と書くべきなのか?」
、、、たぶん。

「〇ン〇ンでもいいのか?」
カタカナになってるけど、たぶん。

「18歳未満は、セックスしちゃイケナイのか?」
個人的には、べつにいいと思うけど。でもやっぱり、モテるやつうらやましいから禁止。

「80歳以上は、セックスするとヘンなのか?」
人それぞれ、じゃないかなあ。

「イチロウが、区役所の戸籍係だったら、どうなのか?マイケル・ジョーダンが最初にプロになったのがバスケットボールじゃなくて、野球だったらどうなってたのか?みのさんがNHKのアナウンサーだったら、どうなってたのか?」
元オネーサン、もうぼくの答えを、求めていない。自分で自分に、問いかけているようだ。

「人には、人それぞれの場所がある。いちばんの場所がある。たいせつなのは、探すこと。そして自分で、選ぶこと」

なんかよくわからないけど、よくわかる。
ぼくは、考えこんでしまった。求めなくても、与えられたもので生きてきた。その場所が自分の場所なのか、自分にとっていちばんなのかを疑いもしないで、生きてきた。
でもさいきんは、そうじゃない。

ぼくは、なんなんだ、誰なんだ?
ぼくは、なにができて、なにができないんだ?ぼくはどこから来て、どこへ行くんだ?
知りたい知りたい知りたい。

「あなたは、それを見つけるために、ここにいるの」
そうだといいな。

でも元オネーサン、いったいなにを語らんとしているのだろう?
(実は、その発言の中に、ぼくの最大のヒミツが隠されていた。ぼくはまだこのとき、それを知るよしもなかったのである)

つづく

| | コメント (2)

XI.サクラコ編3:ヒトミの作戦。

だいじょうぶ。ぼくがなんとかする。
考えてみよう。ポクポクポクポク(それは、一休さん)。
濡れてはいるのだ、いまのところきっかけは、そこにしかない。
(ということは・・・ははーん)
おともだちに協力してもらおう。

リュックの中をがさごそやって、カエルさん登場。
浮気妻相手に(第7話)あわやのぼくを、救ってくれたカエルさん。
彼はアソコの中の水分を吸って、濡れる→吸う→大きくなって刺激する→さらに濡れる→さらに吸う→さらに大きくなって刺激する、というとんでもない無限ループを実現するカエルさんなのだが、今回のケースでは、中へ入ることはできない。

じゃ、どうするか?いい?ちょっと見てて(←アメリカの料理番組ふう)。
サクラコのアソコの、わずかに開いたすきまに、カエルさんの前脚を差しこむ。
そのくらいなら、痛みもないし。
それで、水分吸って大きくなるのを待つかって?NOだね(←アメリカの通販番組ふう)。

前脚を無事イレ終えたら、またリュックの中をがさごそやって、ファンタジスタを取り出した。
そしてカエルさんに、ファンタジスタを抱えこませるように、セットする。
で、スイッチを入れる。するとファンタジスタの動きが、カエルさんのボディを経由して、前脚からサクラコのアソコに伝わるという
「手に手をとって希望をつなげよう大作戦」である。

ヒトミ、アッタマいいいー。
問題があるとすれば、そのセッティングに時間がかかって、サクラコが眠ってしまったということだけだ。
作業は順調に進行しているようだ。カエルさんの、前脚が大きくなっていくのでわかる。

ファンタジスタとカエルさんは、リトルリーグからのバッテリーのように、実に息のあったプレーを見せてくれる。
ぼくはといえば、サクラコの手を握りながら「痛くない?」って聞いてるだけ。
まるで出産に立ち会った夫。そして、カエルさんがぼくに目配せ(ふう)。

濡れた水分を吸収して、すでに彼の前脚は、直径3センチを超えようとしている。
ぼくの出番だ、って、なんにもしてないやん。

ともかく、直径3センチにピエールを調整する(小さかったら、Hなことを考えて、大きくなりすぎていたら、男ばかりの工場の昼の休み時間を、想像したりするのだ)。
ここからの、ぼくの動きは敏速だった。

カエルさんをクイックに引き抜いて、カエルさんの前脚とクイックな握手をかわし(GOOD JOB!)、せっかく開いたところが閉じようとしないうちに、クイックにイン。
入った。
サクラコがぼくを見て、うっすら涙ぐんでる。

サクラコのはじめての男になれた!って、でも、もしかしたら、はじめてはカエルさん?
ところがそこで、あらたな問題。やっぱり、動くと激しく痛いらしい。
ちょっと動く。ぎゃっ。
ちょっと動く。うげー。
ちょっと動く。ぐきゅーん。。。
どうする?

ヒントは、第二話でツバサさんが言ってくれた、
「セックスは、コミュニケーション」
中学生のサクラコは、ココロとカラダ、8対2で感じたって、言ってた。
できるかもしれない。

ぼくとサクラコは、じっと見つめ合っている(イレたまま)。
ぼくは静かに、話し始める(イレたまま)。
「サクラコはセックスしたのが、うれしかったのかな?ぼくとこんなにくっつけたのが、うれしかったのかな?」
サクラコは、じっと聞いている(イレたまま)。

「ぼくは、セックスはとっても大切なものだと思う。ここしばらくの体験で、はじめてわかった。でも、セックスが大切なのは、人と人がこんなにそばにいられるから。鼓動や体温や吐息を、ダイレクトに交換できるから。気持ちよくなろう、気持ちよくしてあげよう、って、ココロをひとつにできるから。ぼくの、はじめての人が教えてくれたんだ。セックスはコミュニケーション。動かなくっても、じっとしていても、それは叶えられるはず」
サクラコは、目に涙をためて、じっと聞いている(イレたまま)。

「さっきサクラコの話してた、オナ時のストーリーって、あのときのことじゃない?」
それは、ぼくが中3、サクラコが中1のときのことだ。

「サクラコはぼくと下校したかった。でも、ぼくはいつも友達といっしょで、声をかけられない。あの日も、あとからそっと、ついてきた」
サクラコ、じっと目を閉じている。あの日を、思い出すように。
あの帰り道に、立っているように。

「友達と別れ、ぼくが一人になっても、サクラコにはぼくに声をかける勇気がない。そのまま、ぼくの家に着いちゃった。ぼくは気づいていたんだよね。だから、サクラコに、もういちど、いっしょに帰ろうって、手を差し出した。サクラコの手は、汗でびっしょりで、つないだ手がひとつになったみたいだったね」

そして、そのときとおなじように、彼女の手をにぎりしめた。彼女はつよくにぎりかえした。・・・濡れていた。

サクラコは、わき出る涙で声にならない。と同時に、ぼくを、つまりピエールを拒絶するように硬直していたアソコが柔らかく、ぼくを、つまりピエールを迎え入れてくれた。

そして涙が出尽くしたころ、声にならない声を上げて、サクラコはイッた。
「ありがとう、ヒトミくん」
6年前の夕方と、同じ笑顔だった。(ありがとう、ヒトミくん。またいっしょに帰ってね)

最後の言葉は、「でも、なんで、それが、わかったの」。

その問いに、
(あのあと、サクラコの汗のしみついた手で、ぼくもオナニーしたから)
ってことは言えない。

教訓⑩「想像力には、チカラがある」

残念、こんども出せなかったな、と思って部屋の外に出ると、もう、さっきのオジサンはいない。
そのかわり、着ていた服と、靴と、かつら。
その上に一つの、封筒。開けると一枚のカード。
そこには、「招待状」の文字。
・・・「卒業パーティーへの招待状。卒業できればね、えへへ」と書いてある。
、、えへへ、はよけいだ。

しかし、ということは、あのオジサンは、つまり・・・。

泣いても笑っても、あと、一人。行こう。もうなにも怖くない。
 
 
XII 最終編

| | コメント (1)

XI.サクラコ編2:フクザツな再会。

「初恋の人と、再会できて、うれしい。こんなカタチだけど」
初恋の人?ぼく??きょとんとしているぼくを見て、「相変わらずねー、ヒトミくん、二中のころから、ずっと」。

「二中、って、海風二中?」
「そうよ」
そういえば、どこか見覚えがあるような。

「ヒントは、名前」
チェリーさん・・・チェリーは日本語で・・・だから、サクラ・・・あ!

「わかった?」
「サクラコ?」
「ピンポン」
「うわー、久しぶりー、うれしいなぁ、いまなにやってるの?」
「なに、、、って」
あ、そうか、ソープのオネーサン、、、ぼくはそのお客。。。ヒトミ、大バカ。
サクラコは笑っているけれど。

彼女は、ぼくとおなじ中学校。海風二中ってのが、それ。ぼくが中3のときの、中1。
というより、ぼくの親友シンジの妹。
昔はあんなに子供だったのに、ってあたりまえか。だって、6年ぶり?こんなところで、こんな会いかたするなんて、うれしくって、フクザツです。
しかも、なにがどうなって、「例の女」。

「運命のいたずら、だね」
「違うよ、運命じゃないよ、ずっと前から決められていたこと」

「決められていた、って、決めた人がいるの?」
「いる。それも、ヒトミくんにとても近い人」
どうせ聞いたって、教えてくれないんだろう。ぼくのことを、ぼくがいちばん、知らない。

「それで、結局、ぼくたちはスるの?」
「しなきゃヒトミ君のミッションは、遂げられないでしょ?」
「でもなあ、サクラコとなあ、シンジのこともなあ、なんだかなあ」
「これでも、まだ迷う?」
いきなりサクラコが、スルスルって感じで、ハダカになった。

なに、その、カラダ!?
恥ずかしそうに、顔を赤らめるサクラコ。
でも隠した手を押しのけるように、盛り上がっている胸。そこから下へ流れるカラダの曲線は、ウエストに向かって急激にカーブし、くびれきった瞬間、外に向かってはじけるように、豊かな腰を描いている。
あどけなさのどこか残る顔と、このボディーは反則だ。
よし、罰を与えてやる。

「まあ、一回くらい、調子見ておくか」ぼくは、クールに言い放った。
「でもね、」サクラコ。
「わたしが相手っていうことは、ヒトミくんにとって、いいニュースではないよ」
、、、わかっている。

「わたしには、そもそも、イレられない。もしかしたら、最強、最凶の敵」
敵って口にしたわりに、やさしい目で、ぼくを見る。

「でもなんで、サクラコがその役柄をやらなければならないんだ?もっと別の出会いかたもあったはずなのに」、、、悲しいね。
「すべては、ヒトミくんのため」
ぼくのため?

「でも、その秘密は、いまはまだ話せない。でしょ?」
「・・・うん」
わかった、シよう。サクラコとなら、どんな結果が出ても、受け入れられる。

二人ハダカで、ベッドに横たわる。
「ヒトミくん、昔よくわたしの胸、触ってたよね」
「あの頃は、板みたいだったのに」

「わたし、感じてたのよ」
「子供でも感じるの?」
「もちろん!でも、ココロとカラダ、8対2くらいだけどね」

「ちょっと、はずかしいんだけど」
「なに?」
「告白。ぼくのはじめてのオナニーの主人公は、サクラコだった」
、、、はずかし。

でも、サクラコ、にっこり微笑んで、
「光栄デス。どんなストーリー?聞きたいな」
「空想の話だからね。妄想の話だからね。笑わない?」
「もちろん」

「朝、シャワーを浴びて出てきたばかり、とても気持ちのいい朝なんだ。ぼくはスッパダカで朝食の準備をしている。トーストの焼けるいいにおいがしてきた」
「あのー、なんでスッパダカで朝食なの?」
「だから、空想だって」

オナ時に、空想するだけなら、なにをやっても逮捕されない。これは、基本的オナ権だ。

「続けていい?トーストのいいにおいがしてきた。ところが、トーストって、ぴょーんと出てくるよね、で、それが、ぴょーんとぼくのピエールに命中したんだ。ピエールって、事情があって、ぼくのアレの名前なんだけど、焼きたてだから熱いわけ、わかる?」
サクラコは、別にわからなくてもいい、て顔をしている。

「そこへ、ドアを開けて入ってきたのが、サクラコ!」
サクラコは、わたしはそんなところにいたくない、って顔をしている。

「やけどをしたピエールを見て、やさしいサクラコは、すぐに冷やそうとしてくれる。
氷で冷やしたタオルで包んでくれたり、バターをぬってくれたり、その手触りったら・・・」
ぼく、はぁはぁ、言ってる。

「ヒトミくん、落ち着いて、空想の出来事ってこと、忘れないでね」
「それでも痛みは取れない。でも両手は、タオルとバターでふさがっている。さあ困った、サクラコ。真っ赤にハレたピエール、ハレてるのは、やけどのせいだけじゃないんだけどね、ぐふふぐghつgh、さあ、どうする、サクラコ!」
「ヒトミくん、目がイッてるんだけど」

「当然のように、慣れた様子で、ピエールを口の中にしまい」
「慣れてないって」
「傷を癒してくれるのは、氷でもバターでもない、人肌だ!そして傷口にサクラコの唾液がしみこみ、イタッキモチイイタッキモチイイタッキモチイチイーチイーチイーーー・・・」
ヒトミくんっヒトミくんっ、ってサクラコの声で、ぼくは正気に戻った。トランスしていたようだ。

「お口の中までは聞いたけど、その先はどうなるの?」
「どうなるのかなぁ、いつもこの辺でイッテたから」
サクラコ、本格的にあきれている。

「じゃ、わたしも告白するけど、わたしも、はじめての主人公は、ヒトミくんだったの」
「へぇ、そうだったんだ!どんな話か、教えてよ」
「中学生時代のこと。実話」
実話?

「はずかしいから、ここまで。あとはナイショ」
サクラコは、小指の先までまっかっかに赤面している。小指も赤面・・・そんなにすごいストーリーなのか?

「それって、濡れるの?」
「(赤面)どぶんどぶん」

「それで、イッたの?」
「(赤面)ずどんずどん」
知りたい、、、どんなストーリーなんだろ。

「じゃあ、そろそろスタートしようか」
と経験者の余裕で初心者に声をかけてみたのだが、そろそろスタ、のところで、
サクラコはピエールを口で捕獲していた。
あのなぁ、処女!しかも、メチャウマ。

「店長に特訓受けたの」
ぬぁにおー、あの店長!オネーサンに手をだしたことない、とか言っといて、でもサクラコこんなにぐちゅぐちゅぐちゅうまいと気持ちよくって、、、店長、さすがです。

「ちょっと待って、サクラコ、イレないと」
あべないあぶない。
「あ、そうか」
じゃもういちど、キスから。。。
そして胸に触れる。その手のひらから、彼女の緊張が伝わってくる。
プレッシャー、あるもんな。はじめてだもんな。
わけのわからない任務もあるしな。キツイよな。
あちこち触っているうちに、愛撫というよりも、マッサージになっちゃった。
サクラコが、アエギ声を上げる。

「そ、こ、きもち、い、い、ヒトミく~ん」
首が、こっている。

「やめて!痛い、ダメ、痛い」
足裏、胃のツボ。

「どーかなっちゃうぅぅ」
背中を、オイルマッサージ。

ぼくは、なにしに来たんだっけ?
まあいい、とりあえず彼女のカラダもほぐれた。すこし濡れてきたぞ。

「ちょっと練習してみよう」
サクラコが、不安そうにうなずいている。
サクラコがあおむけになって、ぼくが上になって、脚を開いて、と、ここまでは通常どおり。
でもピエールをサクラコの中に、5ミリチェックインしただけで、「うギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」。

立ち入り厳禁だ!→タッてるだけに、うぎゃぎゃぎゃははへyひふは、って場合ではない。
サクラコが、申し訳なさそうに、こっちを見上げている。

つづく

| | コメント (0)

XI.サクラコ編1:チェリーの問題。

欲求不満なんだ、ぼく。
って単刀直入なんですが、単刀を直入したいんだ、って単刀直入スパイラルですが、まあ、そうなんです。イレるには、イレている。確かに。でも、出してはいない。
モロダシの言いかたですが、ダシてはいない、ってモロダシスパイラル。

だって、「例の女」ばかりなんだもん。出しちゃいけないんだもん。
それ以外に、そういうきっかけ、ないんだもん(号泣)。
というわけで、大人っぽい対応をとることにしました。21歳。

クロートのオネーサンに、お願いしようというのです。さすがだ、ヒトミの依存心。
なにごとも経験だしね、ソープってとこもね(自己言い訳)。
ネットで思いっきり(3日徹夜)調べて、
① 怖そうじゃないところ。
② 高くはないが、安すぎず(安すぎるものには理由があるのよ、って、おかあさんの言葉、こんなタイミングで思い出して、ごめんなさい)。
③ クレジットカードで分割にできる(せこ)。

で、決めました。「大奥パート2」将軍様、どうぞ奥の奥まで(キャッチフレーズ)。
腰元プレイ、が名物だそうだ。帯持って、グルグルやって「あ~れ~」ってやつ。
ぼくはやらないけど。たぶん。

とりあえず、予約の電話。プルルルル。
「はい、毎度ありがとうございます。お客様は、将軍様。大奥でございます」
これが、決まり文句なんだろう、このオジサン。

「すいません。予約をお願いしたいんですが」
「予約でございますねー、当店は、おはじめてでございますかー?」
「はじめてのはじめて、です」

「はじめてのはじめて様、でございますねー、だいじょうぶでございますよー、はじめてのはじめて様も、当店では将軍様でございます」
将軍タイプじゃないしなあ・・・ぼく。

「どのようなタイプをご希望ですかー?」
「いつも笑顔でやさしくて、でも芯が強い人」
「あのー、結婚相手とかそういうなのじゃございませんでー」
「じゃ、テキパキと動けて、ぼくを引っぱってくれるリーダータイプの人」
「あのー、当店、運動部ではございませんでしてー、まあ広い意味の運動はやりますけどー、ぐふふ」
自分でウケてる。

「では、テキトーに選んでおきますのでー」
テキトーでもなんでもいい、「例の女」じゃなければ。
予約は、来週の月曜日。月曜日は、半額サービス。雨なら、さらに半額。

残念、当日はヌケるような(そういう意味じゃなくって)晴天。
目的地は、ベルサイユ(ソープ)とホワイトハウス(ソープ)の間にありました、大奥パート2。
「わからなかったら、お電話くださいねー」って、わかりますよ、だってピンクの天守閣の建物。。。
「あのう、すみません」

大奥の奥(ややこし)から、不機嫌そうなオジサンが出てきた。
「アンタねえ、30分遅刻だよ」

ありゃ、やっちゃったか、でも・・・そうだっけ?
「まあいいから、そこの中で待ってて」と、玄関脇の部屋を指さす。

入ってみると、小さな事務室みたいなところ。こういうとこ経験者の友達に聞いたら、
豪華な待合室があって、お酒とか出してくれて、とか聞いてたのに、えらい違いだな。。。やっぱりビギナーは、ここからスタートしなきゃならないんだ。
5分後、事務室にオジサンが入ってきて、ぼくの前に腰を下ろした。

「先週電話くれた人だね?」
「はい」

オジサン、鼻毛抜きながら、
「なんでウチ来ようと思ったの?」

理由を聞かれるとは、思っていなかったけど、
「正直に言うと、イキたいんです」
「はぁん?」
「出したいんです」
「なにを?」
「なにを、って、ネバ液、、、ですか?」
「ネバ液、って、アレのか?」
「ネバ液って、アレ、のです」

「ぶぁっかむぉーーん!シタいなんて、100年早いわっ!!!」
オジサン、ヅラづらしながらの、大激怒。縮みあがる将軍様、のはずのぼく。

「オレだってなあ、この商売25年やってるけど、一回もオネーサンに手ぇ出したこと、ねーんだぞぉ!」
そういうことじゃないんだけど、なんか言ったらまた怒られるので、あやまる。ヒトミ流。
「ごめんなさい」よわ。
「とにかく、これに記入しろ」って一枚の紙を手渡される。
名前、住所、履歴を書け、と。

こんなことまで、ビギナーはしなきゃいけないんだ、ま、しょうがない、半額の日だしな、それにしても、カラオケで得意な歌まで書くのか、、、あとで歌うのかな?

「オマエ、アホか?」
なんだ、いきなり!?

「自分の名前、間違えてるぞ」
どゆこと?
「姉小路って、どこのお公家さんだよ、バカ。お前の名前は、ウエダだろ?ボケ!」
あ、そうか、ぼくはウエダなんだぁ、って、いつから?

「あのぉ、ぼくウエダじゃないです。ほんとうに、姉小路といいます。姉小路ヒトミ。
ほら、これ」と、定期券と、クレジットカードと、AVしか借りたことのないビデオ屋さんのカードを見せたら。
「ア・ネ・コ・ウ・ジ・ヒ・ト・ミ」
って、たしかめるように読んでみて、
「あ、あ、あ、ご、ご、ご、めん、めん、めん。バイトの面接に来た高校生じゃないのね?」

ぼくは、高校生に見えるのか?それより、高校生が、こんなとこで働くのか?
「ぼくは、今日予約した、お客です。はじめてだけど(←言い訳の必要なし)」
「お客様ァ!もう、ほんとうにイジワルなお客様でございますよ、もう、どちらの貴族のおぼっちゃまかと思いましたよ、まさかこんなみすぼらしいソープに来ていただけるとも思わず、わたしとしたことが」
そのみすぼらしいソープの、半額の日に来ているのですが。

「貴族も、閣下も、殿下も、大統領も、お客様は、みなさま将軍様。大奥でございます」
もうわかったよ。

「では、上様、今日の姫を、お選びください」って言って、アルバムを持ってきた。
写真を見せてくれるらしい。

「選んどいてくれるって、言ってたのに」
「はて、そうでございましたっけ?」
すっとぼけてる。

パンジーさん。クッキーさん。ジェニファーさん。サンディーさん。
みなさんキレイなんだけど、あのこれ、写真に修正入れてません?
しかも、修正してもバレるくらい、みなさん、立派にオネーサンのような、つまり年齢が・・・のような。

「この人たち、おいくつなんですか?」
「パンジーさんは、25。クッキーさんは、26。あとの二人は、27」
もうすこし上に見えるけど・・・。

「プラス10!」
やっぱり。

「以上!」
なぬーーー!

「年上がイヤだってわけじゃないけど、ですね、あの、その、、、」
「だってお客様、リーダータイプがいいって、おっしゃってたじゃないですか」
やっぱ、覚えてるじゃん!

「サンダさん、いい人ですよ」
「サンダさん?」
「あら、間違えた。サンディーさん」
「サンダさんなんだ」
「三田秀子」
、、、普通の名前。ちなみにジェニファーは、銭田さん。

「じゃ、この人、チェリー、あ、どうしようかな、うーん、じゃ、やっぱり、うーん」
一枚、写真を隠してる。見せてくださいよー。
「チェリーさんは、3日前に入ったばかりの超新人で、しかし、ちょっと問題が、・・・見ます?」
見ます見ます。

うわあああああ、キャワイイイイイイーーー、じゃないですか!隠してるなんて、ひどい。
「実物は、もっとカワイイでございますよ」
ほんと!?

「でも、チョト、モンダイ、アルね」
なぜか、古い中国人風。
「少々の問題なら、慣れているし」
「少々じゃ、ございませんよ」

「すごい年だとか?」
「このコは、正真正銘の19歳」

「男だとか?」
「それはない」

「子連れだとか?」
「それもない」

「全身イレズミだとか」
「それもない」

「後頭部に、もうひとつ口があるとか」
「そうです」
「ギョヘー!」
「ウソです」びっくりした。

「わかりました。今日は、お代はいただきません」
ほんと?でも、それくらいの問題、ってことなんだろう。
「でも、あとで文句を言わないでくださいませね」
はーい。

ダメだったら、よそ行けばいいや、くらいの気持ちでいたのだが、ところが。
「ちょっと待っててね」とオジサンがいったん大奥の奥(お気に入り)に引っ込んでつぎに大奥の表(それほど気に入っていない)に出てきたときは、白馬を引いて現れた。

ぼくは、将軍様なので当然だ(か?)それにまたがって、大奥の奥(お気に入り)に行くのだ。そして、ある部屋の前で、「ここでございます」綱吉の間。犬でもいるのか?

ふすま柄のドア(!)を開けて、ゴタイメーン。
うひゃー、「実物はもっとかわいい」はウソじゃないよ。
にっこり笑ってるし、愛想が悪いわけでもなさそうだ。
超ラッキー!このコと、数分後には、むふふふ・・・と思ってたら、

「わたしの問題のこと、聞いてくれました?」
やっぱり、問題は存在するのだ。
でも、男ではないし、とりあえず子連れではないし、後頭部にもうひとつの口も、
いまのとこ、発見に至らず。

「わたし、セックスできないの」
へえ、そうなの、、、なぬー?!

「できるできない以前に、したことないの」
ということは?

「処女」
処女のソープ嬢!

「痛くて痛くて、入らないの。アソコが貝殻みたいにぴったり閉じてて、小指も入らないの。箸も、ボールペンも、クルマのキーも、ガリガリ君の棒も入らない」
試したのかよ。

「これまでに入れられたのは、耳かきくらい」
入れてんのかよ。

「これまでに、何人かとシようとしたんだけど、そのたびにわたし、大出血&失神→救急車」
格闘技か、事件現場。

「だから、今日もムリ」

この問題は問題だ。
こんなところまで来て、セックスできないなんて、ごはん切れのカレー屋さんだ(ちょっと違うか)、揚げ物のないトンカツ屋さんだ(ちょっと違うか)、お寺にお参りできない京都観光だ(もういいよ)。
しょうがないなって感じで、帰ろうとしたら、

「でもヒトミくんは、わたしとシなければならない」
どゆこと?
あと、なんでぼくの名前??しかも、「くん」づけ。

「だって、ヒトミくんは、わたしを乗り越えていかなければならないでしょ?これまでに、10人乗り越えてきたように」
つまりキミも・・・。

「例の女」
もう、驚かないよ。

つづく

| | コメント (2)

X.ソフィア編3:わかりあいたい。

ソフィアが、お茶したいと言う。
目的は、お茶じゃない。さっき買った、おみやげグッズをチェキラしたいのだ。

四十八手を、一枚一枚手に取りながら、「こぼれ松葉」はミーシャにあげよう、とか、3人のプレイには名前はないのかしら、とか、ああもうワンセット買っとけばよかった、とか、ぶつぶつハァハァぶつぶつハァハァ言っている。
それを観光客が、エロかおなごやねえ、と、また写真を撮っている。東京の思い出2008=ソフィア。

ぼくは、できるだけ他人のふりをして、お店にあった1ヶ月くらい前のフライデーを、へえ、あのアイドル、こんなおじさんと付きあってるんだあ、なんて見てると、、、れれれ、ソフィアがいない。

カルタは、テーブルの上に、シテみたい順にならべられたまま。
心配になって、探しに行ったら、別のテーブルにいる。しかもだれかと話しこんでる。

なにやってんだ?と思って相手の顔を確認したら、出た!神社のオネーサン。
つまり・・・!
そーっと近寄り、腕組みをして仁王立ちのぼく。
それを見て、「あ!」&「ア」

神社のオネーサン、
「今年は、平成何年だったけなあ、それがわからないと平静でいられないなあ、うぎゃつはっっはっはっはっはひーんjdk」
と、ひとりウケをぶつぶつ言いながら、店を出て行った、っていうか、逃げやがった。

残されたソフィア、
「隠してて、ごめんなさい」
いいよ、隠されるのには、慣れているから。

「ワタシは例の女」
知ってる。

「フロム東欧支部」
支部?何か所あるんだ?でも、まあいいや。

「ソフィアは、旅館って知ってる?」
「ニンジャとクノイチがセックスするところでしょ?」
またあのガイドブックか。。。まあいいや。

「ここにくる途中に、小さな旅館があった。おなじスルのなら、せっかくだから、タタミの上でシよう」
「ヒトミは、怒ってないノ?」
「ぜんぜん。それよりも、ぼくも確かめたいことがあるし。ぼくとキミはちがうけど、やっぱりおなじだ、で終わりたいし」

その小さな旅館は、大胆にも「金閣寺」という名前で、ソフィアは「ワオ、コレが世界遺産デスね」写真パチパチ撮って大騒ぎ。
ぼくはめんどくさくて、「そうだよ」って言っちゃったけど、あのガイドブックに載るのかなあ、首相、ごめんなさい。

部屋に入って、浴衣の二人。お風呂上りのソフィアは、ほのかにミルクの匂いがした。

ソフィア、フトンの上にきちんと正座をして、
「ふつつかモノなれど、よろしくオネガイモウス」
彼女の、日本語の先生は、武士か?

ぼくも正座して、「拙者こそ、お願い申す」
握手のかわりに、甘い接吻。
それでは、「いざ!」

ハダカになったソフィア。
チクビもそのまわりも淡いピンクで、白い肌とのコントラストは、まるで、ヨーグルトとピーチジャム。あまりにおいしそうだったから、食べてみた。
ソフィアは、普段より1オクターブ高い声を出した。
やっぱりおなじだ。ピーチジャムみたいな女の子に出会ったことはなかったけど、ソフィアも、やっぱりおなじなんだ。
そうだよな、これでちがったらさみしいもんな、どうしていいかわからないもんな、ソフィアの言ってたとおりだな、ありがとう。

さあ参るか、比絵衛瑠殿。そろそろ、ソフィアに院する也。
ソフィアのナカも、やっぱりあたたかい。うれしい、やっぱりあたたかい!

おたがい遠い国で生まれて、食べ物も習慣もぜんぜんちがう環境で育って、ある日偶然出会って、こうしてカラダを重ねている。どんな二人でも、ひとつになれる。
(妄想中)
人種や宗教や経済や政治や、人が争う理由には事欠かない世界だけど、セックスだけは、ワンルール。

触れば、濡れる。濡れたころには、タッている。その二つ揃えば、イレるしかない。
イレたら、動く。動いたら、気持ちいい。気持ちいいと、声が出る。
みんなおなじだ。肌の色や宗教がちがっても、みんなおなじだ。
そうか!愛だ。まったくちがうところから、愛にたどり着ける!!!
(妄想中)
争いは、ひとりひとりのモノサシがちがうから起きる。
だったら、セックスをモノサシにすればいい。
戦争をやめて、セックスを!差別をやめて、セックスを!夫婦げんかをやめて、セックスを!
さあ、みんなで、(ギブ ピース ア チャンスのメロディで)♪ワンワールド オブ セックス!ワンワールド オブ セックス!ワンワールド オブ セックス!(こんどTシャツつくろかな)ワンワールド オブ セ、、、

「あのォ、」
あ、ソフィア、ごめん、イレてるの忘れてた。
「やってみたいコトが、あるんだケド」
フトンの横に、並べられた48枚のカルタ。いいよ、そう来ると思ってたから。

「サイショは・・・コレ」
目をつぶったソフィアが指差したのは、「八ツ橋」。
なんて雅な名前のプレイなんだろ。ぼくもソフィアも、初四十八手にわくわくしている。ところが、だ。日本文化は、甘くない。

「八ツ橋」は、別冊解説書「モアベターなフィーリングのために」を読むと、「カラダは不自然だが、密着感はバツグン」と書いてある。
たしかに、あのポイントは密着はするが、比絵衛瑠殿は、骨折しそうである。江戸時代の人は、これでイケたんでしょうか?

「〆込み錦」「〆込み千鳥」「御所車」「浮橋」・・・どれも芸術点が高そうな技で、日ごろの練習が不可欠。
もちろん練習不足のぼくは息が上がってるけど、ソフィアは、それなりに楽しんでるみたい。だって、吸う息で、ハゥウハゥウって声出してるし。あと、二十五。

「押し車」は、まんま部活のトレーニング「手押し車」。
「釣瓶(つるべ)落とし」は、なんとかサンダーボムって、プロレスの必殺技。ソフィア、あたまうちまくり。

「横笛」は、ぼくがキツかった。エキベンの、横になった版、って感じで、腹筋がつりました。両足は、それまでにつってました。笑顔はなくなっていました。カルタが裏向いていくのだけが、楽しみでした。
それでも、ソフィアとチカラをあわせて、カラダをあわせて48枚めを目指すのは、幸せな気分でした。

そして、最後の一枚。
ふたりで、最後はこれにしようねって決めてた、その名も「虹の架け橋」
出会えたことの感謝と、ここまでたどり着いたよろこびを抱えて、虹のアーチのそのてっぺんで、ソフィアはイッた。フィニッシュのセリフは、「ハラショー」だった。
 
 
XI サクラコ編

| | コメント (0)

X.ソフィア編2:二人はちがう。

電車に乗って、浅草へ行った。
こういうジャパニーズなところって、ガイジンなら喜んでくれるんじゃないかなあ、って浅い考え(浅草だけに。うひゃひゃひゃひゃひゃはやはやgsdb)。
でもでも、ソフィアは大喜び。世の中、思うほど深くない。

おみやげ屋さんで、お姫様のカツラや、殿様のチョンマゲをかぶってみたり、屋台で、りんご飴食べたり、輪投げして自由の女神像ゲットしたり(これはあまり喜んでなかった)、もう子供のような大騒ぎ。

でも、いちばん喜んだのが、浮世絵のポストカード。子供のころから憧れていた、らしい。
ソフィア、なにやら、お店のおじさんにこちょこちょ耳打ちすると、おじさん、奥から小箱を持ってきた。
それを開けると、うひぁー、「強烈ノーカット浮世絵鼻血ブー」。これ、憧れ?子供のころから。。。
おじさんに、なんて言ったの?とソフィアに聞くと、「オッちゃん、キツイやつたのむデ」と言ったらしい。「ガイドブックに書いてアル」そうな。こういうところはナイス、憎いぜガイドブック。

ソフィアは、おじさんの手から、浮世絵(ノーカット)を奪い取って、浮世絵(ノーカット)の、スイートスポットを指差しながら、というよりグリグリしながら、「ココ、ココ、ハイッテマス、ハイッテマス、ハヒッテマフ」声も裏返って、ぼくのピエールを「ウタマルウタマル(あのね、一文字ちがうよ)」って握りしめている。

通りがかった観光客が、どえりゃーおもろいもん見つけたやんけ、とばかりに、写メ撮られたりして、ちょっとした東京珍名所。
そんなの関係ねーと、おみやげ屋さんのおじさんに、ソフィアさらに耳打ち。
おじさんまた別の箱を、奥から取り出してきた。
彼女に「こんどはなんて言ったの?」と聞いたら、「モアキツイやつたのむデ?」わかってます、それもガイドブックに書いてあるんでしょ。
ソフィアの国の人に、日本はどんな国だと、思われているんだろ?ヨーグルトラーメン、ノーカット浮世絵、ウタマル・・・。

それはおいといて、箱のふたを開けると、「絶倫四十八手カルタ鼻血ブーパート2」!って、
!をつけたわりに、ぼくも3/48くらいしか体位の名称も知りません。
ところが、ソフィアは、四十八手一手一手を手にとって、なめまわすように見ながら、というよりなめまわしながら、

「鳴門後ろどり、アハーン、コレ前からやってみたかったノ。でもこのポージングは、身長の低いニホン人じゃないとできないのよネ、」
はあ、そうなんですか。

「燕返し、ウフーン、このポーズすることを考えただけで、もうワタシもうワタシもう」はあ、そうなんですか。

「四十八手はモノノケだと、ワタシ思いマス。カタチとワザがつくりあげる、精神性の美学デス」
※モノノケ→モノノフ(武士のこと)

「ヒトミは、何手くらいイタシましたか?」
「0かなあ、いつも、上に乗るか乗られるかばかりだから」

「オーーーーもったいなーいデース。このセックスの奥深さこそ、日本が誇る文化デス!」
文化ねえ。よく聞いてみると、彼女が大学で専攻しているのは、日本は日本だけど、日本のセックス。

「学問のジャンルでいうと、比較文化みたいなものデス」と、ソフィア語る。
「ニホン人は古来、スバラシイ性文化をつくってきたのに、現代社会はソレを悪いものであるかのように、封印してイマス。ソレはマチガイです」と言う。

「快楽をバカにしては、イケマセン。キモチイイことはイケナイことという発想は、ムセイしていマス」
※ムセイ→ムジュン
「次世代をつくるのは、子供たちデス。子供をつくるのは、セックスデス。世の中は、激しいセックスを前提に成り立ってイマス」
なるほど。激しいかどうかは別にして、だけど。

「つまり、快楽が未来をつくりマス」
フムフム。

「ムカシのニホンは、そのことをわかってイマシタ。ニホン中に、エッチなお祭り、たくさんありマス。浮世絵には、性と芸術のユウゴウが実現してイマス。まさしくコレは、聖と生と性の3Pヤァ」
フムフム。いちいちボケてくれなくていいけど。

「ところが、イマの日本はそうじゃありマセン。快楽を、みんなハァハァ好きなのに、ウラヘウラヘと隠そうとしマス」
フムフムフムフム。

「だから、少子化なのデス」
唐突な結論。でも妙な説得力。

「日本のセックスと、キミの国のセックスと、どこがどう違うの?」
「たとえば、シテいる最中、ワタシたちは、男も声を出しマス。ウオーーーン、って」
それはなんとなくわかる。→ぼくもでるから、あ~う~、って。ちょっとだけ。

「日本の女の人、感じると、アアアァー、って息を吐くデショ?」
うん。

「ワタシたちは、ハゥウハゥウハゥウ、って息を吸うの、知っテタ?」
知らなかった。

「ワタシの国でいちばんモテるのは牛乳屋さんで、毎朝配達中に、奥さんたちとヤッちゃうの、知っテタ?」
知らなかった。

「ミルクマン、って呼ぶノ」
へえ。

「ワタシの国のバイブは、モッツアレラチーズで出来ているの、知っテタ?」
知らなかった。

「ワタシの国の新婚家庭では、朝のトーストにバターなんか塗らないで、おたがいのアソコの・・・アーんもうこれ以上言わさないデェ、って知っテタ?」
、、、知らなかった。

「では、コレまでで、ホントウの話はどれでショウ?」
クイズかよ!

「間違いがひとつありマース」
ひとつだけかよ!

「でもね、ちがってあたりまえ。オナニじゃ、ツマラナイ」
※オナニ→オナジ

「そうかなあ、ちがいばかり目立つと、さみしいんじゃないかなあ」って、ぼくの少数意見(すでに負け犬)を無視するように、
「ワタシ、すこしのあいだ、ニホンのオトコのヒトと、お付きあいシテタ。ニューヨークに留学していたコロ、相手も留学生だったノ。とてもやさしいヒト、そして、とてもつまらないヒトだった」
どういうこと?

「なんでもワタシを優先してクレテ」
それダメなの?

「いつもキレイだよって言ってクレテ」
それダメなの?アゲイン。

「セックスのトキだって、大声出すシ」
ぼくもちょっと、出ます。さっきも、言いましたが。

「ワタシはニホン人のオトコと付きあい始めたハズ、でも途中から、カレがダレだかわからなくなっちゃッタ」
よくわからないけど。なんかわかるけど。

「それじゃ、それまでにワタシが付きあってきた、やさしいオトコたちと変わらナイし。セックスもタンパクだっタし」
それじゃないの?原因。

「ウタマルも小さかっタし」
それじゃないの?原因。アゲイン。

「ムリしてあわせなくていいノ。ちがうことが、タイセツなノ。ちがうカラ、興味を持てるノ。ちがいを理解しあうことカラ、愛は生まれるノ」
愛、か。ぼくには、まだわからない。

ぼくが小さなため息をつくと、ソフィアは、
「ヒトミは、ソフィアってぼくとちがうなあって、今日ずっと思ってたデショ?」
あ、気づいてたんだ。

「ジブンとのちがいを確かめて、納得しているダケ」
ちょっと、さみしそうな顔。

あれぇ、
「さっきぼくが、ちがうが目立つとさみしいよね、って言ったら、ちがってあたりまえって、言ったじゃん。いまだって、ソフィアはちがうことがタイセツだって、言ったじゃん。それとこれと、どうなの?」
久々の、反論。でも、声小さめ。

「オナニじゃない!ヒトミは、ちがうってことが、結論。フムフム、そうかやっぱりちがうんだな、って。ワタシは、ちがうってことが、スタート」
ぼくは黙った。続きを聞きたかった。

「ヒトミが、ジブンとワタシとちがうなあ、って思うのは、そのとおりなの。ヒトミはヒトミ、ソフィアはソフィア。それは、あたりまえのこと。ヒトミもタイセツ。ワタシもタイセツ。だから、おたがいのちがいを、リスペクトするところから、始めたい。OK?」OKだよ。

「でも、ワタシタチ、ぜんぜんちがうけど、たくさん、オナニ」
どういうこと?

「ヒトミ、さっき、困ってるワタシ助けてくれたヨネ?ダレだって、困ってるヒトは、助ける。オナカすいたら、なんか食べるヨネ?ヒトミも、飼っているイヌが死ぬと、泣くデショ?」
ほんとだ、オナニだ、じゃなくて、おなじだ。

「ヒトはみんなちがう。だからこそ、わかりあいタイ。オナニだと思ったけど、やっぱりちがう、で終ったら、いちばんサミシイよ」
そうだね。わかった。ありがとう。

教訓⑨「人はちがう。だからわかりあいたい」

「もし、モッツァレラチーズのバイブ使っても、感じるとこは、オナニ」
まあそうだね。

「ミルクマンが、奥さんヤリまくっても、やっぱりダンナはカンカン」
まあそうだね。

「四十八手をマネシテモ、使用するカショは、アソコとアレ」
露骨だけど、まあそうだね。

つづく

| | コメント (4)

X.ソフィア編1:遠くから来た女の子。

日曜日。
お昼を食べようと、おなかペコペコで歩いていた、そのとき。

「ゲンキカナチンコマンは、どこデスか?」

えっ?「元気かな、チンコマン」?
と聞き返すぼくに、うなずいているガイジンの女の子。

コバルトブルーの瞳。透けるような白い肌。プラチナブロンドのボブカット。作り物のように完璧な造形。お人形さんと言うよりも、ドール。(英語で言ってるだけやんか)

そんな初対面の美女に、「チンコ」の調子を尋ねられることは、貴重な経験だ、って貴重?

「ゲンキカナチンコマンは、おいしいデスか?」
おいしい?まあねえ、ぼくは食べたこともナメたことも、ないけどね。

「口の中がドロドロデスか?飲み込まなきゃダメデスか?」
とりあえず、起きぬけに、この会話はキツイです。

「ワタシおなかすいてマス」
ぼくも、おなかすいてます、が、ドロドロは、、、ちょっと、ね。

困った顔のぼくを見て、彼女、さらに困ったようで、「イキたい場所は、ここデス」と、手に持っていたガイドブックを開けて見せる。

ロシア語?なに語?チンプンカンプン。
でも彼女の指差すところに「ゲンキカナチンコマン」らしき文字と、写真・・・あれれ、これはラーメン?!
しかも、見覚えがあるようなルックス・・・あ、わかった!これ、すぐそこにある「男のど豚骨 玄海灘一番」じゃないかなあ。

もしかして、ゲンカイナダイチバン→ゲンキカナダイチバン→ゲンキカナダイチンコバン→ゲンキカナチンコマン、ってこと?

あんな、豚骨臭で味がよくわからない/オッサンの指が、かならずスープに入っている/味玉がいつも品切れで、もともとないんじゃないのってウワサの、ラーメン屋さん、なんで外国のガイドブックに?

店の前まで連れて行ってあげて、「アリガトございました」「じゃよい旅を」って会話をしてお別れでもよかったんだけど、でもなんか下の毛、じゃなくて、後ろ髪が引かれて。
おなかもすいてたし、思い切って、

「誰かと一緒?それとも、ひとり旅?」
(ヒトミがナンパしてるよ、ヒトミがナンパだってよ、ヒトミがナンパするようになったんだ、ヒトミがナンパヒトミがナンパヒトミがナンパヒトミがナンパ)脳内他人が大騒ぎ。

「ランチ(ど豚骨だけど)付きあってもいいかな?」
(ヒトミがナンパヒトミがナンパヒトミがナンパぱんぱんぱーん)最後は、脳内花火。

「もちろんOKデス。ワタシもニッポンのウタマルと、出会いたかったカラ」
ウタマル?もしかして、それ、ウタマロ?

でも、ウタマロって、アレ的なことじゃなかったっけ?じゃないよなあ、いきなり、にしては、ぼくのピエール付近をじっと見つめてる。

彼女の名前は、ソフィア。22歳。
東欧の知らない名前の国(単にぼくの勉強不足)から来たんだって。
大学で、日本についての学問を勉強している。なるほど、だから、日本語が流暢なんだ。
でも、日本に来たのは初めてだそうだ。

「ラーメンを食べたことはあるの?」
「ワタシの国にはラーメン屋さんはないノ、だからずっと食べてみたかったノ」

「日本の食べ物は、食べたことあるの?」
「たくさんあるワ。だっていまニホンショクの大ブーム。ワタシの家族、みんなニホンショク、大好きデス」

「ソフィアは、なにが好き?」
「オイナリサン」
珍しいもの好きだな。
「キャンタマブクロに似てかわいいから」
、、、珍しい理由だな。

「オトーサンは、ジンギスカン」
それ、日本食じゃないし、たしかにラーメンもちがうけど。

「オカーサンは、ロコモコ」
それ、思いっきりちがうし。

「オネーサンは、タイ風カレー」
それ、タイ、って言ってるし。

「あと、ワタシの国で、キツネウドンはとてもポピュラー」
へえ、日本に住んでても、なかなか食べる機会ないのに。

「森にキツネがいっぱいいて、ワタシの国、とても寒いから毛皮にするから、あまった(後略)」
首相!はじめて、お便りします。日本はとても誤解されているように、思うのですが。

「ラーメンはヘルシーね」
また、誤解があるような。

「スープは、真っ白に近いベージュで」
まあ、そういうのもあるけど。

「なぜなら、ヨーグルトでできているカラで」
できていません。

「ウエに、焼いたおモチと、すき焼きがのってイテ」
本格的にちがう。

「で、味は甘酸っぱい、ハツコイの味」
徹底的にちがう。

その時点で、店の外に連れ出そうと思ったんだけど、出てきちゃった、ど豚骨。
あまりの想像していたものとの落差に、ソフィア呆然。

「これ、ラーメン、じゃないですヨネ」と言われても困るんだ、ユメを壊す(ユメか?)ようで。
でも、日本人として、真実の日本を知ってもらわないと(おおげさ)。

「これが、日本でラーメンと呼ぶものだけど」
「このエロ臭いスープは、ナニで出来ているんデスか?」

「豚骨、つまり豚の骨」
「オマエのようなどこの豚の骨ともわからんヤツに娘はやれん!の、豚の骨デスか?」

ソフィアの国ではいま、日本の時代劇が大ブームらしい。中でも、「暴れん坊将軍」。
「マツダイラは、ソウ セクスイィ」だそうだ。それはそうと、正解は、馬の骨。

おそるおそるかわいい鼻を近づけて、ソフィア、小声で、「信じられマセン」と言う。

玄海灘一番は、博多本場の味が売り物だ。東京の人でも、ちょっとね、って人がいるくらいだから、東欧の人にはね・・・。
でもせっかくだから、「ちょっと食べてみたら」とすすめると、スープをれんげで一口飲んだ。顔をしかめている。(しかめてもかわいい←ヒトミバカ)
やっぱり、口に合わないか。

ソフィア、「シャワー浴びる前のアレを、口に押し込まれたトキの味がシマス」そのたとえはいかがなものかだが、やっぱりダメなんだ。

「そう割り切れば、なかなかイケマス」
、、、わからん。ストレンジャー。イングリッシュマン イン ニューヨーク。とくに意味なし。

「おいしかったデス。ごちそうさまデシタ」
彼女、替え玉までして、小さく手を合わせた。

日本人の女の子でも、ちゃんとごちそうさまが言えないのに、やっぱりかわいいな。
おなかも一杯になって、ぶらぶら歩きながら、ソフィアに質問してみた。
ぼくと同世代のちがう国の人が、なにを考えているか、興味あったから。

「ソフィアは、将来は何になりたいの?」
「おかあさん」
そりゃまた古風な。

「ツギの世代を育てるって、ニンゲン一生の仕事だと思う」
そう考えるか。視点がちがうな。

「でも日本の勉強が、あまり役に立たないかもね」
「おかあさんになって子供が出来たら、ニホンの子守唄を歌ってアゲタイ」
日本の子守唄を聞いて、遠い国の子供が育つなんて、いいなあ。
しっかりしてるなあ。たぶん、育ってきた環境から、ちがうんだ、ぼくなんかとは。

「ぜんぜんちがうね」
ぼくがそう言うと、
「ちがうのが、あたりまえじゃナイ?」
あなたって、なんにもわかってないのネ、って顔をされた。

そんなときだ!話に夢中になってて、すれ違いざまに、ドシーン、誰かとぶつかった。
どちらかと言うと、相手が角から飛び出してきたんだけど。

ヤべッ、見るからにあまりにコワい人。もちろんぼくは、0.03秒でごめんなさい、だ。
すると、ソフィアが、
「ヒトミは、コノ人がコワいからあやまるノ?自分がヨワいからあやまるノ?」
ぼくの答えは・・・両方です。

「あやまるのは、自分が悪いときダケ。ね、そうデショ?」
と、コワい人にまで同意を求めている、おいおいおい。。。
でも、そしたらその人も「オネーチャンいいこと言うなあ」って握手して行っちゃった。

なにがなにやら、これまで知ってる女の人たち(そう多くはないですが)とも、ソフィアはまったくちがう。知らない国の街角で起きている、出来事みたいだ。

つづく

| | コメント (1)

IX.タマキ編3:天国の3P。

その夜、これまた彼女の思い出の、和食やさん「のの字」へ。

タマキさんは、ご主人が、トロが大好物だったってことや、自宅でよく女体盛りした話とか(でもわたしは、食べにくいのよー。←そりゃそうです)、太刀魚が夕食に出たら、今日はセックスしょうね、のサインだったとか(太刀魚って、すごく精のつく魚らしい)、ここでフグの白子を食べたとき、口の中に白濁ドロリ汁があふれただけで、もうガマンできなくなって、お店のトイレでセックスしちゃった、とかの話を、うれしそうに、懐かしそうに、ときどき涙ぐみながらした。

ぼくも、もらい泣きしたり、もらいダチしたりした。
幸せな日々だったんだな。それがとつぜん失われたら、ぼくだって思い出の中に引きこもってしまうかもしれない。

「でもね、ヒトミくん」
「はい」

「思い出は、大切。わたしの宝物。だから、今日決めたの。あたらしい思い出をつくろう!宝物を増やそう!って」
・・タマキさん・・・。

教訓⑧思い出は、多いほうがいい。

「ちょっと試したいことがあるんだけど、ヒトミくん、手伝ってくれる?」
「ええ、もちろん」

「あのね、わたし、濡れるかどうか、確かめたいの」
遠まわしな言いかたですけど、つまり、あのぉ、アレ、ってことですよね。
「わたしは生きてる、ってことを実感したいの」
大げさな言いかたですけど、つまり、アレ、ってことですよね。

しかも焼いた太刀魚、いつの間に注文したのか、出てきてるし。
こっちに、食べなさいって、押しやってくるし。

「いい?ヒトミくん」
「ぼくはいいですけど、ご主人のこと、ふっ切れたんですか?」
「ふっ切れるわけないじゃないの。でもね、あの人、とてもやさしい人だったから、わたしが元気がないと、とても心配してくれたから。わたしはあの人に、元気なわたしを見せてあげたいの」
なるほど。

「ヤキモチやいて、遊園地ではちょっとイジワルしたけれど、やっぱり応援するって、言ってくれてるし」
???

「ヒトミくんなら、やさしそうだし、いいんじゃないかって」
「どうしちゃたんですか?」
タマキさん、悲しみのあまりおかしくなっちゃったのかも・・・。

「どうもしてないよ。今日も一日、彼とずっといっしょだもん」
そのときはじめて、お箸とお茶がなぜか3つ来ていることに気がついた。

まままま、ま、さささ、かかかかかかか!!!!!
「そうよ、今、ヒトミくんのとなりにいるよ」

どしぇーーーーーーーーーーーーーーーーっ!

ホテルに向かうタクシーの中。
そっと、タマキさんのほうへ手を伸ばしたら、手の甲をだれかにつねられた。
、、、やっぱり、いるんだ。
こんばんは、って、あいさつはいらないか。
でも、こんなんで、セックスできるのかなあ?邪魔されるんじゃないかなあ?
タマキさんは、にこにこしているけど。

「あとひとつ、ヒトミくんに秘密にしていたことがあるんだけど」
「いいですよ、もうなに聞いても、驚きませんから」

「えー、自己紹介が遅れました。わたしも『例の女』です」
「ああそうですか、、、って、えーーーーーーーっ!」

「ほらやっぱり驚いた」
タマキさんも、そうだったのかぁ、今回はこう来たか・・・
それにしても、いろんなパターンがあるんだなあ、『例の女』。
だれが差し向けてくるのか知らないけど、ご苦労様です。

で、ホテルの部屋。

「うまく濡れるかなあ、わたし」
どうですかねー。ぼくもこのシチュエーションでタツかどうか、心配です。

「さあ、キスして」
なんか、だれかに見られてるようで、やりにくいなあ。
とりあえず、すみません、いただきます。

喪服の未亡人イメージとは真逆の、ラテン系情熱的キス。長い舌は、ぼくの奥歯まで届く。舌圧が強い。ムチのようにしなる。唾液が多い。口からどんどん、こぼれていく。そして、甘い。
感じるキスなんて、はじめてだ。

あのぉ、タマキさん、さっき、濡れるかなあって、不安そうな声出してましたよね、足元が水たまりなんですけど、、、ってぼくも、タッてます。
準備は整ったようだ。よし、ぼくも男の子、覚悟を決めてがんばる、か。

でも、やっぱり、気になる。
タマキさんがぼくのトランクスを下ろして、ピエールに熱烈キスをしているとき、右の手は宙を(アレを握るように)握りしめているし、ぼくが上半身を攻めているとき、タマキさんは下半身を、だれかに向けておっぴろげているし、ぼくがどこも触っていないのに、アエギ声を上げたりする。
もう一人いるんだな、見えないけど、なんかやりにくいなあ、、、
って待てよ、これ3Pってことか!そう考えれば、ちょっと新鮮かも。

なんとか前半戦を終え、いよいよチェックインまできた。
タマキさんは仰向けになり、せかすように息を荒げている。
ここで、ぼくは考えこんだ。

ご主人との思い出、つらい出来事、もういちど前向きに生きていこうという決意、・・・そんな大切なイベントに、ぼくが相手でよかったのかな、ぼくみたいなお子ちゃまで、果たしてよかったのか・・・。
そのとき後ろから、ぼくの腰を押す力が!振り向いても、もちろんだれもいない。
そうか、行け、ってことだな。頼んだぞ、ってことだな。

ぼくは、今度こそ意を決して、イレた。ズドーン(おおげさ)。

ぼくが動いてる間、タマキさん、ずっとだれかの手を握りしめている。
もうなにも怖くない、なににも遠慮しない。ぼくはタマキさんを、天国にイカせてあげるのだ。
天国への階段を上りつめる3段くらい手前、つまりタマキさんがイク直前、ぼくはピエールをひっこ抜いた。バスーン(おおげさ)。

このあとのフィニッシュワークは、ぼくの仕事ではない。
いちばんふさわしい人が、ここにいる。やがてタマキさんは、ふたたび腰を振りはじめた。なにも入ってないように見える、が、そうじゃない。
魂がアソコに入っている。激しく、愛情に満ちて、感動的なエアセックス。
ぼくは、我を忘れてじっと見ていた。
(こんなの、見たことない。←あたりまえだ)

そして、タマキさんは、イッた。天国に到着したらしい。
だれかがぼくの耳元で、(ありがとう)と言った。
男の人の、やさしい声だった。たぶん、気のせいではない。

ぼくが服を着おわっても、タマキさんは眠ったままだ。
だれかに腕枕されてるようなポーズ。
(今夜は、お幸せに。でもきっと、つぎの幸せもありますよ)

ぼくが外に出ようとドアを開けると、そこに神社のオネーサンが立っていた。
無視して脇をすり抜けようとすると、
「まだ怒ってるの?前回のこと」

怒ってないと言ったら、ウソになる、でも、なんか、怒れなくなっている自分がいた。
ぼくはオネーサンに首を横に振って見せた。

「ひとつ質問していいですか?」
「いいわよ」

「愛って、なんですか?」

オネーサンは黙ったまま、こっちを向いている。
でも、もうぼくを見ていない。自分自身を見つめているんだ。
この人も、答えを探し続けている。この人も、ぼくと同じ。

ぼくは彼女に背中を向けて、また歩き出した。
 
 
X ソフィア編

| | コメント (1)

IX.タマキ編2:旅ハメの記憶。

「主人との共通の趣味が、ふたつあった」
なんだろう?

「旅とセックス」
いい趣味ですね。。。

「ふたつあわせて、旅ハメ」
ほんと、いい趣味ですね、、、旅ハメ。。。

「温泉で旅ハメ。世界遺産で旅ハメ。グランドキャニオンで旅ハメ」
スケール、でか。

「寝台車で旅ハメ。新幹線で旅ハメ。エアフランスで旅ハメ。丸の内線で旅ハメ」
最後の、旅じゃないですし、日常ですし、、、それにしても、丸の内線でどうやって!?


「夜の動物園で旅ハメしたときは、おもしろかったなあ」
なにがあったんですか?

「わたしたちのセックスを見て、動物たちが興奮しちゃって、動物園中で、うぉーうぉー、があがあ、ぱおぱお、めーめー、もう大騒ぎ」
すごそう。

「翌年、その動物園、史上空前のベビーブーム、って新聞で読んで、笑っちゃった」
アブない夫婦。
でも、以前のタマキさんは、明るい人だったんだな。


「ハプニング〇んこそば、っていうの、知ってる?」
知らない、なんだろう、それ?ってか、文字隠さないで、わんこそば、って普通に言ってくださいっ、まぎらわしいから!

「広間に大勢の男女の客が集められて、みんなおなかペコペコにしてね、ちいさなおわんでおそばを食べるの、何杯も何杯も」
わんこそば、でしょ。

「真っ裸で」
なにぃ!

「カンタンに言うと、おそばを食べながら、セックスするの」
いろんな催しがあるものだ。

「セックスしながら、何杯食べたかを、競う大会」
「動かないと、快感はない。でもおなかは、どんどん一杯になっていく。おなかが一杯になると、動くのが苦痛になってくる」
楽しいのかな、それ。

「食べられなくなったら、そこでセックスも終了。セックスするためには、食べ続けるしかないの」
楽しくないような、気がする。

「性欲が、おそばを食べさせる。食欲が、腰を動かす権利をくれる。人間の二大欲望が、ひとつになって、かつて体験したことのない快楽を目指す」
わかった、これ、楽しくない、絶対。

「二人でおそばを分け合い、励まし合い、いたわり合い、心と体で愛をたしかめ合う。名づけて、『ずっと、おそばに』、、、うまい!」
、、、うまい!って。

「つぎつぎに、カップルが脱落した。最後に残ったのは、わたしたち。そして、みんなの声援を受けて、ついに、イッた。沸き起こる『昴』の歌声・・・」
すごいんだか、なんなんだか。。。

「記録は、1122杯」
やっぱり、、、すごい。

「い・い・ふう・ふ、でしょ?」
はい、たしかに、いい夫婦です。

「それなのに、あの人、わたしひとり残して、『ずっと、おそばに』じゃなかったの・・・」
あちゃー、ふりだしに戻っちゃった。


「お友達やわたしの親は、しばらくのんびりしていたら、って言ってくれるけど、ひとりになると、彼のこと考えるしかなくって、それがつらくて・・・」
だから、デメ金で働いているんだな。

「すこしでも、人の中にいようと思って。レジ係って、まいにちたくさんの人と接するから、それが、わたしは生きてる、って実感になるから」
人の中にいよう、って気持ちがあるのなら、だいじょうぶ。

「でも、ときどき人生をあきらめそうになる。もう幸せな日々は戻ってこないんだ、って」
「あきらめたら、それで終わりです。もうなにも、変わらない」

「ありがとう。わかってる」
「わかってる、でも・・・ですよね。タマキさんには、あと50年残されています。これまでよりも、長いです。なのに、もう思い出の中だけで、生きようとしている。ぼくはずっと年下だし、大切な人を失った経験もないし、なにも言う資格はないけど、運命って、ガチガチのものがあるんじゃなくって、自分でなんとか変えられるくらいには、柔軟なものだ、って感じがするんです。うまく言えなくて、ごめんなさい。でも、タマキさん、いまのままだと、柔軟な運命も、ガチガチに固まっちゃうんじゃないかって、思うんです」

「どんな素敵な人が、現れるかも知れないしね」
そうですよ、そう!

「でも、スーパーデメ金じゃ、イケメンも来ないけどねー」
って、ぼくも含めて、、、ですよね。やっぱり。ぐすん。

タマキさん、それに気がついて顔を真っ赤にして、
「あ、あ、あ、違うの、違うの、ヒトミくんはね」
ぼくは、ぐすん、なんなんですか?

「ヒトミくんは、特別。だって、わたしに、勇気をくれる」
そうかな。

「おかあさんのために、戦ってる。自分の力で、運命を変えようとしている」
なんで、それを?もしや・・・まあいい、なんとかしてあげたい。

「じゃあ、ぼくとデートしませんか?こんどの日曜日。ぼくじゃ、もの足りませんか?イケメンじゃないから?」
「ヒトミくんは、ハンサムよ。ちょっと頼りないけど」
お世辞+本音。

「じゃあ、日曜日のお昼12時に改札口でいいですか?」
「わかった。ありがとう。楽しみにしてる」

どこ行こうかな、大人の女の人の喜ぶとこなんて、わかんないや、ていうか、なんか上空からの視線を感じるんだけど。

「大人の女性がアヘアヘ喜ぶデートスポット特集」読んで準備してたんだけど、結局彼女が行きたいって言ったところは、遊園地。ご主人とよく行った場所だそうだ。
・・・ということは、そこでもシテたってこと?想像だけで、ピエールはもうムズムズだ。

とにかくフシギな一日だった。
① 入場のチケットの行列に並んでも、かならずぼくの番で、窓口が閉められる。
それが3度!ぼくらの入場を邪魔するように。4度目に、列に割り込みまでして(ごめんなさい)やっと入れた。
② タマキさんにソフトクリーム買ってあげたら、3秒で溶けた。おかげで、手はビチョビチョのネトネト。
③ ホットドッグを食べようとしたら、パンは温かいのに、ソーセージが凍っている。
④ 園内のキャラクターの着ぐるみに、足を引っ掛けられて転ぶ。
⑤ 起き上がろうとしたら、こんどは、ぼくのスニーカーの両足のヒモがいつのまにか結ばれていて、また転ぶ。
⑥ ハトにフンを落とされる。
⑦ さらにカラスに、つつかれる。
⑧ 雲ひとつない晴天なのに、ぼくの頭上だけ雨雲。どしゃぶり→ずぶ濡れ。

いったいなにがなんなんだ?
でもタマキさん、今日は楽しいって、何度も何度も言っている。
まあ、よかったとするか。

二人で観覧車に乗った時のこと。
頂上の近くまで上がったころ、風なんか吹いてなかったのに、ぼくらの観覧車がすごい勢いで揺れ始めた。
ものすごく、恐ろしく、ぐるんぐるん。
彼女は悲鳴をあげて(ぼくもあげました)観覧車の中で七転八倒。

なんとかタマキさんの手をつかもうとして、バランスを崩し、タマキさんがぼくのひざの上に乗る格好になって、顔と顔が至近距離、そして揺れに身をまかせて、キス。
すると、さっきまでの激しい揺れは、あきらめたようにおさまった。

つづく

| | コメント (0)

IX.タマキ編1:哀しみの未亡人。

うちの近くのスーパー「デメ金」。
目が飛び出るくらい安い!がキャッチフレーズの、さえない店。
そんなスーパーの、レジ係の女の人。

いつも素顔、つまりノーメイクで、ポニーテール。というよりも、髪の毛を無造作に束ねただけ。パッと見、グレーな印象しかなくって、彼女の頭上の天井の照明も、そこだけ心なしか暗いような。スーパーの地味な制服を彼女が着ると、喪服に見える。

ぼくがいつも彼女のレジを選ぶのは、ワケがある。混んでる時でも、行列がないのだ。
お客さんのおばさんどうしが話してた。

「不幸そうで、あのレジの人、イヤ!」
「そうそう、お魚の鮮度まで落ちそうだし」
「きっと、サゲサゲよ」
「不幸って、うつるって言うしね」
そんなもん、うつるわけないじゃん!でも、だから行列なし。

でもなんか気になるんだなあ、だって、あの人、そばで見たら、実はすごいきれいだよ、もったいない。
ぼくには想像もできないような事情があるんだろうなあ、とはうっすら思っていたが、あんな信じられないドラマに引きずり込まれるとは、そのときは知るはずもなかった。

ある日彼女を見かけた。@駅前のカフェ、日曜の午後3時。
清楚な服。薄いけど、きちんとほどこされたお化粧。ゆるいウェーブのかかった長い髪。
どこから見ても、美人若奥様。読者モデル合格。
それにしても読者モデルって、、、はぁはぁ。

(ほらね、きれいな人でしょ?!)
ぼくは自分の眼がたしかなことを、思わず自慢した。→だれに?
遠くから眺めていると、なんか目があっている感じが。微笑みかけられている感じが。
そばに来てって、言われてる感じが。もうびしょびしょなの、って感じが。(ないない)

「ヒトミくんでしょ?」
「はい、そうですけど」
どうしてわかるんだ?

「よく忘れ物とか、落とし物とか、よくするでしょ?」
そうなんだよな。

「うちのスーパーで、よくヒトミくんの名前を目にするわ。先週は、定期券。先々週は、名前が刺繍してあるマフラー。その前が、名前の縫い取りのあるトランクス。落とし物ぜんぶに、名前が書いてあるんだもの」
、、、はずかし。

「うちのスーパーの店員で、ヒトミくんのこと知らない人いないわよ」
もう行けない。。。
「あだ名は、落とし物王子」
ぜったい行けない。。。

「ヒトミくんは、一人暮らし。彼女なし。あまり外食もしないが、自炊もしない。子供のころから大切に育てられた。たぶんおかあさん。シャワー派じゃなくて、湯ぶね派。飼ってはいないけど、ネコ好き。って推理したんだけど、違う?」
うひゃー、なんでわかるんだ?

「だってデメ金に寄って、夕食買って帰るでしょ。いつもひとりで、一人分。もし彼女がいたら、たまには一緒に買い物に来るはず。おかあさん子だっていうのは、買ってるモノ見ればわかる。サトイモの煮っころがし。カレイの煮付け。ほうれん草のおひたし。そんなのが好物だなんて若い子、少ないし。それと、ヤクルト。子供のころからの習慣でしょ?」
大正解です。すごいです。

「湯ぶね派を見分けるのはカンタン。だって入浴剤買ってるし。ネコは、ヒトミくん、たまにネコ缶買うでしょ?ほら近所の神社に、ノラの一家いるじゃない?わたしもたまに、エサあげに行くんだ」
お見事!

「主人が探偵だったの。過去形、、、だけどね・・・去年事件に巻き込まれて・・・」
悲しい顔。いきなり地味度大幅アップ。っていうか、いつもどおり。

「わたしが病室に駆け込んだとき、彼、最後のちからでわたしの手を握りしめ、『死ぬのは怖くないが、オマエにもう会えないのが、死ぬほどイヤだ』って」
(涙)

「死にそうな人が、死ぬほどイヤだ、なんて(ぷっ)」
泣きながら吹き出さないでください。
余計に悲しくなっちゃうじゃないですか。

「あの日わたしは、終わったんだと思う。自分で、終わりにしたんだと思う」
(涙)

「ほんとうに好きだった・・・あの人のこと・・・死ぬほど好きだった」
(涙)

「あの人が死んで、死ぬほど好きだったわたしが、こうして生きてるなんてね・・・」
いつまでも泣いてちゃダメだ、話題を変えないと。

「今日はなにかあったんですか?おめかしして」
「高校の同窓会だったの」
だから、いつもと違ったんだ。リフレッシュできたのかな。
「最近は外見なんて、ぜんぜん気にしてなかったけど、久しぶりに美容室へも行ってみたの」
「その髪型、とてもよくお似合いです」
「ありがとう。長い間ほったらかしにしてたんで、うぶ毛がヒゲみたいになってますよ、って言われちゃった。耳毛も伸びてますよって、2センチ」
うぶ毛が、ひげ、、、耳毛2センチ。。。

「アソコの毛も、もう、ぼうぼう。」
そんなこと聞いてませんって。なんですか、いきなり。

「河川敷のススキ」
だから、聞いてませんって。

「閉園したテーマパークの芝生」
たとえ直さなくても、いいですって。

「キレイにすると、わたしもまだいけるかなあ、って思っちゃった。」
そうですよー。まだまだいけますよー。それにしても耳毛2センチ。。。

「じゃあ今日は、エンジョイできたってわけですね」
って聞いてみたら、また暗い顔。

「主人が、高校の同級生だったの。今日も、その話題ばっかり」
ダメだこりゃ。

「とにかく!」このままじゃ帰せない。
「お茶しましょうよ、もうすこしお話したいから」

名前を教えてもらった。タマキさん。29歳。ご近所のマンション住まい。
結婚前は商社勤めで、趣味はお料理。そして、、、未亡人。

なんか話さなきゃ。すこしの間でも、ご主人のこと、忘れさせてあげなきゃ。思いつめると、タマキさん、病気になっちゃうよ。さっきから、ため息ばかりついてるし。

でも、共通の話題と言ったって、うーんと、スーパーで有名な万引きおばあさん、なんでもかんでも万引きする人で、おすもうさんに見えるくらい、服の中に野菜やらお肉やら魚やらトイレットペーパーやら詰め込んで、もちろん発見されて、逃げるときにバッグ落っことして、中を開けたら100万円くらい入ってたって伝説の人。
「でしたよね?」
「そうね」
第一話終了。

うーんと、鯛の頭を切って売るのは、残酷だ、動物愛護に反する、って店にクレームつけたイギリス人。
「っていましたよね」
「いたわね」
第二話終了。

うーんと、「年金問題って、困りますよね」
「困るわね」
もう、まったく会話がはずまない、、、どうしよう。

「セックス好きですか?」
ありゃ、ぼくなに聞いてんだ?
でも、タマキさん目を輝かせて、
「好きよ、正確には、好きだった、かしらね」

清楚な外見でそんなこと言われると、、、素敵ですね、はい、タッてます。
ついでだ、聞いちゃえ。
「じゃ、最近はどうしてるんですか?」
「ぜーんぜんしてない、相手もいないし、する気にもならない、濡れもしない」
もったいない。

つづく

| | コメント (0)

VIII..ミカ編3:残酷な運命。

二人とも、いつでも準備OK(はぁはぁはぁはぁ)だったのだが、タイミング悪く週末の22時。
どこも満室で、ようやく1部屋空いてたのが、「ホテル銀河鉄道69」
キャッチフレーズは、「無重力?すぺーすせっくす大性交!」

目玉は、コンドーム使い放題と、ゆで卵食べ放題。
正直、気分は凹みました、二人とも、はい。
しかし、ぼくのピエールは凹みませんでした。
で、レッツゴートゥザスペースセックス!って、けっこう、気に入ってる?

部屋に入ると、お約束どおりの、蛍光&夜光塗料の宇宙壁画。
でも、ぼくらには関係ない。宇宙でも、砂漠でも、オフィスでも、することはひとつ。

抱き合う二人。そして、熱く、長い、キス。
ぼく。「おお、これが、キスだ!」
ミカ。「そうよ、あなたのキスで、わたしの人生は始まった!」
ロミオ!ジュリエット!カンイチ!オミヤ!世紀(性器じゃなくって)の恋の、始まりだ。
終わりのない始まり、永遠の恋だ。

右の手、左の手。うわくちびる、したくちびる。そして、舌。
そのすべてが、単独の意思を持つように、自分のパートナーをまさぐり引き寄せあう。

二人の距離が、限りなく近くなる。
いきなり、ロマンチックな抱擁もそこそこに、彼女がぼくのからだを滑り降りてくる。
つまり、ピエールのところに!

喜びと、驚きと、失望が、7対2対1でブレンドされた複雑な気持ちで、成り行きを見守っていると、・・・やっぱり、ピエールはお口で捕獲されました。

これがまた、なんとも、気持ちいいのです。けっこうな、テクなんです。
でも、気持ちよさが、また、悲しい。

ミカは、だれに教えてもらったんだろう。きっと、これまでの男にも、こうやってきたんだ。男たちはみんな、いまのぼくと同じ気持ちよさを、味わってきたんだ。

なんだよ。ぐすん。
恋の、痛さ、か。
恋を得た喜びは、やがて苦しみに変わるって、坂口安吾も書いてたしな。

でも、気持ちいいよ、うますぎるよ、ミカ。バカ。ミカ。
ぼくは、自分ですっぽんぽんになって、彼女をベッドに寝かせた。
彼女も、下着だけになっている。

「ぼくは、」
彼女のチクビを、右手の人差し指と中指の間にはさみながら言った。
「キミが初めての人だと、思いたい」
これは本心からだ。

いろんな女の人が、ぼくのところにやって来た。
魅力的な人ばかりだったし、学ぶことも多かった。でも、ぼくが選んだ人じゃない。

ぼくは、ミカを選んだ。1億何千万の中から、ミカを選んだ。
自分から誘った(断られ続けたけど)。好きだって、言えた(さき越されたけど)。
こんなに意思をはっきりさせたなんて、初めてだ。
だから、彼女が、初めて。そう、思っている。

でもミカは、目をエッチにトロンとさせながら、
「わたしは、いまのヒトミくんが好き。これまでもぜんぶ含めて、ヒトミくんが好き。一部じゃないの、ぜんぶ好き」

、、、やられた、ヒトミ、負けてるじゃん。
ぼくは、男のちっこさを恥じる。ケツの穴のちっこさを恥じる。見たことないけど。

ありがとう、わかったよ。ふっきれた。過去も未来も、もうどうでもいい。
ぼくは、ミカが好き、ただそれだけ、ほんとうにそれだけ、あとはいま、二人ひとつになるだけ。
ハダカになった彼女は、あどけない少女っぽさも、脱ぎ去っていた。

好き、という気持ちをセックスに表現すると、この激しさになるのだろう。ぼくのからだを、むさぼるように求めてくる。以前のぼくなら、そんな女性の変貌にビビッてしまってたんだろうが、ぼくはもう半年前のヒトミではない。

彼女の欲望を真正面から受け入れ、ぼくも硬く大きく膨らんだ欲望をぶつける。
セックスは、コミュニケーション。求め、求められて、ふたつはひとつに。
キミに、チェックイン。

ピエールを深く押し入れると、彼女のアソコが抱きしめるように包み込む。
そのチカラで、その熱で、彼女の気持ちが手に取るようにわかる。どれだけぼくを求めているか、どれだけぼくを愛しているか。幸せの喜びに満ちて、そしてそれを失う恐怖に満ちている。

そう、恐怖・・・。
彼女がイクか、ぼくがイクか。おかあさんをとるか、彼女が残るか。
どちらにしても、幸せなストーリーは、もう綴れない。

なーんて、あたまの中はブルーでも、
カラダはチョーーーーー気持ちいいから困ったもんだ。そうだ、こういうときは、
「参照→教訓①考えるな、カラダに聞け」だ。
カラダに聞いた。答えは、動け、だ。

そう言うわなあ、カラダだもん。やっぱりカラダは、快楽主義者!わかった、動こう。
あたまの中のブルーが、真っ白になるまで。

彼女、ぼくの上に乗ってきた。
そして、ピエールを包み込んだまま、激しく腰をシェイクする。
長い髪を、振り乱しながら、自分で自分の意外とええ乳、をわしづかみにしながら、あえぎ声もフルボリュームで。大胆。濃厚。発情。やっぱり、ぼくより上級者かも・・・。
って、どうもそういうことじゃないぞ、ヒトミ!

ミカが、激しく腰をシェイクし始めたのは、彼女は、自力でイこうとしている。
ぼくを、これ以上苦しませないために。
さきにイッて、自分から、身を引く覚悟を決めたんだ。彼女の気持ちが、伝わってくる。

(おかあさんを、助けてあげて。あなたに会えてよかった。わたしのことは、忘れないでね)

イヤだイヤだイヤだイヤだ!どこにも行かないで!どこへも行かせるもんか!

ぼくは、腰の動きをフルスロットルで、加速させた。彼女に追いつくように。
彼女を追い越すように。彼女よりも先にイクように。
おかあさん、ごめんなさい。
でも、わかってくれるよね。ぼくに、好きな人ができたんだ。
とってもとってもいいコなんだ。おかあさんは、喜んでくれるよね。

そういえば、セックスで、ちゃんと射精したこと、なかったな。
どんな感じな、んだ、ろ。本、かくてき、に、きもち、よく、な、ってきたぞ。
あと少し、あとすこしで、結論が、ぴゅっと出る。

さあー、ぼくがイクよ。これで、もう、ふたりを引き離すものはない。ミカと目が合った。やさしい微笑が、うなずいている。
や否や、気絶してぼくに覆いかぶさるミカ・・・イッてる。。。

突然のことに大混乱のぼく。視界に、神社のオネーサン、手には、バイブ。
アイツ、なにやったんだ!
後ろから、バイブを、ミカのオシリに突っ込んだんだ。

その刺激で、ミカが、いっきに境界を越えてしまったんだ。

「なんてことしてくれるんだあああ!」
泣きながら抗議するぼくを無視するように、スタンプカードを投げてよこす。

こっちを、見た。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
泣いている、なんで?

そしてミカを肩にかついで、部屋から出て行った。
ぼくは、ただ、ベッドに座り込んでいた。
教訓⑦「永遠なんて、ない」
 
 
IX タマキ編

| | コメント (5)

VIII.ミカ編2:天国から地獄。

そして、ついについについに、初めてのデート。

バイト代も出たので、今日はちょい高級イタリアン。
ツバサさんにつれて来てもらったところ。
ほかの女の人と来たところってどうかなあ、とは思ったけど、ほかに知らないから・・・ごめん。

でも、やっぱり、会話がはずまない彼女は、ずっと、うつむいてばかり。
ぼくは、話題もなく、話術もなく、好きな女の子ひとり楽しませることができない自分が、情けなかった。
パスタも伸びた。キャンドルの火が、今にも消えそうに、弱々しく揺れている。

(やっぱり、そういうことなんだろう、きっと)

「今日付き合ってくれたことは、とてもうれしい。今だって、ユメのようだよ。でも、もし、たぶんそうだと思うけど、あの日のことの恩返しとか考えてくれているんだったら、無理しないで。こうやって会えただけでも、ぼくは幸せだったから」
彼女は、しくしく泣き出した。

この店では、よく泣かれるな。

「そんなことない!わたしは今日の約束を、約束したときからずっと待っていた。昨日だって、夜中まで、なに着ていこうって、とっかえひっかえ服を着たり脱いだりして、やっと決まって、これでやっとヒトミくんに会えるって寝たんだけど、わたしって、バカ」
なにがバカなの?

「靴のことを考えるの、忘れてた。うちを出るとき気づいて、でももう手遅れ」
それ、かわいい靴だと思うけど。

「ほんと、失敗。さっきから靴のことばかり気になって、、、ごめんなさい」
なんだ、だから、うつむいてばかりいたんだ、ああよかった、って意味で、ちょっと笑ったら、

「ヒトミくんは、女心がぜんぜんわかってない!」
叱られた。。。

「いちばんキレイな自分を見て欲しいって気持ち、わかる?」
わかるようで、わからないようで。。。

「ごめん、でもね、ぼくには靴よりもキミなんだ」
パニクると、ヘンなことしゃべる傾向あり。ぼく。

「キミがいるから、靴があるんだ」
意味不明。

「ぼくはキミの靴を、温めてあげたいんだ」
木下藤吉郎。ますます意味不明。

「ぼくも今日靴下が、左右バラバラなんだ」
これは、事実。

ようやく彼女、くすって、笑ってくれた。

「キミを悲しませる靴なんて、脱いじゃおうよ。シンデレラだって、裸足で帰ったんだよ、って、ぼくの提案、おかしい?よね」
「すてきな提案だわ」
よかった。

「でもね、シンデレラはイヤ」
強い口調。
怒ってる?また、ぼく、余計なことを?

「わたしは今夜、12時になっても、帰りたくない」
???

「わたし、ヒトミくんと、ずっと一緒にいたい」
!!!

「わたし、ヒトミくんが好き」
ほぼ、気絶した。

遠ざかる意識の端っこで、彼女の声が響いていた。

「好き、でもそれを言うわけには・・・。もう怖がらない、わたし、ヒトミくんが好き」
「ぼくも、ぼくもだよ、ぼくもキミのこと・・・」

あ、電話だ。ケータイが、ポケットの中で、ぶるぶる振動している。
いいときなのに、ったく。。。
しかも、非通知。・・・きわめてイヤな予感、悪寒。

ごめんちょっと、と席を立って、電話に出ると、この声は・・・。
「ダメよ」
神社のオネーサン。
今回は、登場が早いですね。

「ダメよ、好きになっちゃ」
「なんでですか?人を好きになることは、すばらしいことだって、モモコさんも言ってました!」

「状況を、考えなさい。キミがすべきことは、恋じゃなくて、戦うこと」
、、、そう、だった、けど。

「女たちは、甘い恋の相手じゃなく、乗り越えなければならない存在のはず」
「でも、ミカは、」
ぼくの声をさえぎるように、

「彼女も、キミの前から消えていく女、いいえ、キミが消さなきゃいけない女」
「それは、いったい、、、」

プープープー・・・切られた。

彼女は、、、まさか、彼女が。。。
テーブルで、彼女は待っていた。よかった、消えるわけないさ。

「いま、電話があったでしょ?」
ぼくはなんとかごまかそうとして、
「うん、なんか、意味不明」
でも彼女は、
「いいえ、意味ははっきりしている。つまりわたしが、例の女だっていうこと」
キャンドルが消えた。
(暗転)


重いムードが、ぼくたちを覆っていた。なによりも重いのは、自分の気持ちだった。
天国から地獄とたとえるには、天国滞在時間が短すぎた。
ケータイが、トラウマになりそうだ。

彼女が、ぼくの誘いにつれなくし続けた理由も、わかった。彼女も、いや、彼女のほうが、もっと辛かったんだろう。すべてを抱え込んで、ひとり耐えていたんだ。ミカは、さっきからずっと、泣いている。

「参照→教訓③とにかく自分で動くのだ」
ぼくが、動くのだ。

あの神社の夜から今日まで、いろんな苦難があった(ぜんぶセックス関係だけど)。
ぼくは、強く鍛えられた
(ラッキーもあったけど。~第2話参照)。
自分の力で、乗り越えてきた
(ファンタジスタの力も借りたけど。~第5話参照)。

不可能なんてない、渡れない川なんてない、叶わないユメなんてない、止まない雨はないし、濡れないアソコなんてない。そう信じたいし、いまのぼくには、そう信じられる。

「さき越されちゃったな」
ぼくは、笑顔で言ってみた。

「ぼくは、キミが好きだ。大好きだ」
ミカが、目に1リットルくらい涙をためて、ぼくを見ている。

「ミカが、例の女だとしても、例の女がいったい何者なのかも、ぼくはどういうストーリーの中で、どういう役柄を与えているのかも、実はぼくにはわからない。ぜんぜん、わからない」
ミカは、じっと聞いている。

「ぼくはずっと、そうだった。なにが起こっているかも、だれも教えてくれなかった。
ただ言われるままに、生きてきた」
レスランには、もう誰もいない。真夜中のような、静かさだ。

「でも、いまは違う。もう、引き返さない!この気持ちを、どうすることも、できない!」

ミカが、ようやく口を開いた。
「わたしは、初めてヒトミくんに会ったときから、好きだった。昼会えたら一日幸せで、夜会えたら必ず夢に見た」
・・・うれしいな。

「ヒトミくんが、勇気を出して誘ってくれたとき、小躍りしそうになった」
「勇気を出して、って、わかった?」

ミカは、にっこり微笑んで、
(ぼくのいちばん好きな顔だ)

「だって、声が裏返ってたんだもの」
はずかし。。。

「しかも、わたしの名前間違えてるのよー、ミキさン、こ・コ・コン夜、予テイは、、、って」
あーもー、アナがあったら、入りたい、、、って、いや、そういう意味じゃなくて。

「ミキって、だれ!?」
怒ってる?ミキミキミキミキミキ・・・だれ、だっけ?

「、、、ごめんなさい」
ぼく、ちっちゃくなっちゃった、って、いや、だから、そういう意味じゃなくて。

ミカは、さっきよりおおきく微笑んで
(ぼくの、2番めに好きな顔)、

「冗談。ヒトミくんって、おもしろいね」
ホッ。
「そういうところも、好き」
ドキッ。

もうすっかり、「相思相愛の幸せなカップル最初のデート」の会話だ。よかった。

「ヒトミくんって、どんな子供だったの?」
「ふつうだと思うよ、人と較べたことないけど」

「兄弟は?」
「いない」

「ご両親は?」
「おかあさんだけ。おとうさんは、ちゃんと記憶にないんだ。手のぬくもりとか、ぼんやりした輪郭は、うっすら覚えてるんだけど、顔がのっぺらぼう」
ミカは、ぼくのぜんぶを知りたがってる。

「わたし、おかあさんに似てる?」
まったく、似てない。面影も、求めてはいない。自分でも、それは新鮮だった。
マザコン卒業、か?と言うか、マザコン、カミングアウト?

「わたしでいいの?」
「ミカがいい。ミカで、じゃなくて、ミカがいい!ぼくは、胸を張って言える」
「あ・り・が・と・う・・・」

「だから今夜、キミを、帰さない」
似合わないけど、こんなセリフ。。。言っちゃった。

「ぼくは、どんな逆境にも立ち向かえる、その覚悟で、言っている」
さあ、答えてくれ。ミカ。

「わたしも、その覚悟がなければ、ここにいない」

イタリアンレストランを出たぼくらは、まっすぐにホテルへ向かった。

つづく

| | コメント (0)

VIII.ミカ編1:ヒトミの初恋。

ミカには、ひとめぼれ、だったわけじゃない。

おおきくって、泣き出しそうな目。ちいさくって、カタチのいい鼻。かわいい口。
よく見れば、余裕で美形なんだけど、アピールに熱心なタイプじゃないようで。
でもいつか、気になるようになって。気になって気になって、しょうがなくなって。

出会ったのは、ファーストフードのアルバイト。
彼女が、いらっしゃいませ、のカウンターで、ぼくが、ハンバーガーのパテを焼いたり、ポテト揚げたりする仕事。

ミカは、頑張り屋さんだ。
若いバイトの子たち(ぼくもそうだけど)は、まじめに働くのが、バカバカしいって思ってるんじゃないかな(ぼくはそうじゃないぞ)って感じ。

社員の人の目を盗んで、どうやってラクするか、いかにサボるか、その研究にむしろ熱心だ。でも彼女は、ラクも、サボりも、興味ない。

与えられた仕事をテキパキとこなし、時間が余れば、その他のこともやろうとする。
とくにみんながイヤがって後回しにする、ゴミ出しなんかも黙々とやってしまう。

そんなときの、彼女の顔がいい。
面倒くさそうでもなく、誇るでもなく、ただ自分の目の前が、キレイになっていくことを楽しんでるようなんだ。

ミカにお疲れさまって言うと、にっこり笑って、お疲れさまって返してくれる。
彼女が、ぼくの元気になった。彼女の顔を見ない日は、1日が10日に思えた。
でもまだ、それが恋と呼ばれるものであることには、気づかなかった。

彼女について、ちいさなことが、いつも気になった。
彼女が、バイト仲間(男)と楽しげにしゃべっているだけで、イライラした。
お客さん(男)に親切なだけで、あたまにきた。ポテトの塩を、多めにかけた。
そして、ぼくは生まれてはじめての、重大な決心をした。
彼女を、誘ってみるのだ。お茶だけど。

バイトの上がりの時間が同じ日、思いきって、
「今日終わったら、お茶しない?」と言ってみた。
自分の声じゃないみたいだった。
なんどもなんども練習したのに、それ言うだけで、心拍数の針は振り切れた。

でも、
「ごめんなさい、約束があるの」
10秒で、終了。

またある日、
「つぎのお休み、渋谷でも行かない?」
「ごめん、予定が」
5秒で、KO。

男の意地で(もしくは、未練で)またまたある日、
「来月、いつでもいいんだけど、ランチってできない?」
そしたら、
「ごめよて」
それ日本語か?の1.5秒で、秒殺。

ぼくはと言えば、
「そうだよねー、来月は寒いかも知れないしねー」
えへへへへ、と、ミジメな一人笑い。。。つら。
そりゃ、鈍感なぼくだって、完璧に拒絶されていることくらいわかるよ。

たぶん、彼氏がいるんだ。そして、そいつの束縛がきついんだ。
「今日誰と口をきいた?」
「バイトの人たちと」
「なんかイヤらしいこと話したんだろ?」
「そんなことしてないわ」
「ウソつけ!このちいさなお口は、汚れているんだ。オレのハードスポンジで、掃除してやる、さあ口を開け」
「お願いします。わたしのお口に、ハードスポンジを突っ込んでください」

なんてことやってるんだああああああああああああああああ。
くやしいいいいいいいいいいいいいい。
妄想で、タッちゃった。。。ミジメなミジンコ。。。

ああ、ほんとうに好きになっちゃったんだ。
フラれたのも、それどころか、その段階にもたどりつけてないのも、わかってる。
ただ、上手に引き返す方法が、いまのところ、見つからない。

悶々としながら、いい加減あきらめないとストーカーになっちゃうな、
ってころ、その事件は起きた。

バイト終わって、てくてくと夜の街を駅へ歩いているとき、ミカと出会った。
一人じゃない。ぼくの知らない男二人と。ぐすん。
いちばんの問題は、彼女も彼らを知らないことだ。
つまり、酔っ払いサラリーマンに、からまれているみたいだ。

うわーーーーどうしよう、、、なんとかしなきゃにんとかしなきゃぬんとかしなきゃ、ってこれがうまくいくおまじないだったらいいんだけど、じゃないんだから、もう、って・・・パニック。

「ねーちゃん、意外とええ乳してるなあ」
って、おっさんサラリーマンが彼女の胸に触ろうとする。

ぼくの好きな人になにするんだよー、って怒りに震えながらも、目は胸にくぎづけ(バイトのときは、ユニフォームに隠れてるけど、ほんま、意外とええ乳や)なぜか、関西弁。

もう一人の、やや若手サラリーマンが、
→課長ばっかりずるいなあ、そや、課長が右の乳、ぼくが左の乳、でどうでっか?
→なに言うてるねん、会社は年功序列、わしが定年なってから触らんかい、
→年功序列は崩壊じゃ、会社出たらオマエは単なるおっさんやっ!
→よう言うた。今期ボーナス、50円
→それは職権乱用あんまりやあ!

なんてもめ始めたから、よし、いまだ!
大またで、一歩二歩三歩、(人から見たら、硬直しきったブリキの兵隊)。

こういうとき、どうぶちかますんだっけ?ケンカしたことなんて、ないもんなあ、たしか、「俺(漢字気分)の女に手を出すな!」とかだったような、
コミック「いまさらツッパリ男子校暗証番号は4649」で見たような。
おおきくひとつ深呼吸をして、思いっきり目と眉を、10時10分の針くらいに吊り上げて、「オイッ!オマへら!!」

、、、ちょっと失敗。

それでも、全員(含、ミカ)が一斉に振り向いた。
や否や、as soon as、ぼくは叫んだ。

「俺(漢字気分)の女に手を出すな!」
って言った、つもり、だったんだ、、、
なのに0.3秒のミュートののち、大爆笑。
あらま、ミカも笑っている。意外とええ乳も揺れている。

どうやら、ぼく、緊張のあまり、
「オラの女に手を出すなー」って叫んじゃったようなのだ。
やっちゃった、、、ってこと。
大爆笑の後は大乱闘、but、一方的。

生まれて初めて、人に殴られた。鼻血出ちゃったし、口の中も切れた。
けっこう痛いもんだな、リアルは、痛い。
これまで、人生、あんまりリアルじゃなかったもんな。
でもそんなこと、どうでもよかった。

彼女が、ごめんねとありがとうを交互に繰り返しながら、ぼくのくちびるの血を、自分のハンカチで拭いてくれている。
かなり距離はあるが、ある意味、間接キス!
しかもぼくの背中に、意外とええ乳が、むぎゅっ。

お気に入りの上着が破けたのも、それから1週間固形物が食べられなくなるのも、どうでもよかった。
くちびるの血が、このまま止まらなければいいのにと、本気で願った。

つづく

| | コメント (3)

VII.ユミ&マミ編3:ヒトミの秘密兵器。

昼の連ドラ。
同性愛の女が、兄の別れた妻(元義姉)のあたらしい夫を誘惑して、元義姉の気を引こうとする、複雑すぎてなんじゃこりゃドロドロドラマ第42話/全52話が終わって、「どっちもどっちよねー」という、二人の明快にして簡単な結論を合図にするように、彼女たち、ぼくに襲いかかって来た。

ぼくが、下着まで剥ぎ取られるまでに、10秒もかかっただろうか。
すっぽんぽんでベッドの上で正座するぼくの目の前で、一枚残った、お揃いの(!)豹柄のTバックに手をかける二人。
豹柄じゃない、、、豹だ。

ぼくのからだが、ビーチバレーのコートであるかのように、二人は激しく拾い、つなぎ、打ち、めまぐるしく入れ替わる。
ユミさんが、ぼくの左のチクビ(弱点、もしくは、ラッキーストライク)をくちびるで攻め、て、る、う、う、う、と思いながら目を閉じて、5秒後目を開くと、ありゃま、そこにはマミさん!ユミさんは、もう、ピエールのところ。
縦横無尽左右上下斜め裏表。点が線につながり面となり、快感がからだを覆う。
それはそうと。

あのー、ピエールを二人のオッパイではさむの、やめてくれませんか?
あのー、ビーチフラッグみたいに、部屋の隅っこから走りこんで、ピエール争奪戦するの、やめてくれませんか?
あのー、足の先から舌を這わせて、首筋のゴールまで競争するの、やめてくれませんか?
あのー、ピエールを舌で、メトロノームみたいに左右に揺らすの、やめてくれませんか?

「楽しいパーティーの途中だけど、」
ユミさん、「そろそろ、イレとく?」
ぼくにじゃない、マミさんに聞いてる。

おいおい、ぼくはなんだよ、って思ってるうちに・・・ピエール、ネイルアート輝く指先で、ひょいとつままれて、イントゥ!・・・ウエルカム!

もともとの、力量差×多勢に無勢。二人のファンタスチックなプレイの、単なる観客だ。
しかも、無理やり、舞台に上げられたような。しかし、受けてばかりも、いられない。

ミッション。彼女たちを、イカさなきゃならないのだ。
どうする、この1本vs2個という現実・・・あ、そうだ、ファンタジスタ!すぐ誰かに頼るとこが、ぼくらしい。

で、どこだっけ?どこだっけ?手を伸ばして、リュックの中を探してみても、、、ない!
なんだよ、ファンタジスタ、かんじんな時に!すぐ他人を責めるとこが、ぼくらしい。

かわりに手に触れたのが、硬くてちいさいもの。
このあいだ、神社のオネーサンがくれた、・・・カエルさんだ。
(困ったら、これ使いなさい)
こんなカエル、こんな状況で、役に立つとは・・・。

下→ユミさん、まん中→ぼく、上→マミさん。横から見ると、「三」の字、というか、仮装大会のサンドイッチというか、ぼくはタマゴサンドが好きなのだが、二人の柔らかで甘く匂いたつ肉体に、もみくちゃなのだ、きもちいいのだ。

とりあえず、イレてないほうのマミさんを、攻めよう。
頼りなさげな、カエル。
でもいまは、オマエが頼りだ、と、マミさんのアソコに、カエルさんイン!
1分経過・・・何も起こらない。
2分経過・・・何も、、、起こらない。
やっぱり、ダメか、ああどうしよう、と思ってた2分45秒後突然!
マミさんの動きが止まった。

ぼくもユミさんも、動きを止めて見守っていると、大きなアエギ声をあげて・・・
え?イッちゃった?

なにしたの、カエルさん?カエルさんは、ただのカエルではなかったの?

つまりこういうことだ。
縁日のお店で売っている、水槽に入れると大きくなるスポンジの動物。基本は、あれだ。

このカエルさんも、水分を吸って大きくなる。つまり、カエルさんを、アソコにイン。→濡れ液を吸って、大きくなる。→アソコの壁を刺激して、また濡れる。→そしてさらに、カエルさん、大きくなる。大きくなると同時に、カエルさんから、特殊ファイバーの触手のようなものが、無数に伸びるのだ。それが、水分を吸うことで、大きくなる。そして、壁を刺激する。→そしたら、また濡れる。→濡れ液をさらに吸って、大きくなって、刺激する。

この無限ループを、アソコの中で、カエルさんが実現していたとは!

悪く言って、ごめん。でも、どこで売ってるの、こんなの。
一人倒した。もう、一人。
ほんとうの闘いは、ここからだった。

マミさんの、思いがけない脱落を見て、ユミさんの目の色が変わった。
ぼくのマタのあいだに、からだを割り込ませて(イレたまま)、ぼくを抱え込むようにして(イレたまま)、立ち上がった(イレたまま)。
これは・・・なんと、掟破りの、逆エキベンではないかっ!

そのまま、腰のスナップをきかせるユミさん、、、
本気にさせてしまったようだ・・・日本チャンピオンを。
にしても、これって、きもちいいいいいですね、こんなことしてもらってる男って、もしかするとぼくだけ?って幸せ・・・なんて言ってる場合ではないぞ!
言ってる場合ではないのだが、防戦一方打者一巡の猛攻撃を受けながら、

どうしよう、こんなにこんなにこんなにこんなにこんなにこ(壊れそうです)
ほんとうに、きもちんこいいきもちんこいいきもちんこいい(壊れました)
(うわあ、おかあさーん、これまでなんとか、0から頑張ってきたけど、ついにダメかもしれないよー、おかあさんごめんなさい)

そのとき、ふと伸ばした右手が触れたもの、・・・ファンタジスタ!
(ありがとう、来てくれたんだね)
スイッチを、オン!すると、、、テレビがついちゃった。

あー、これ、テレビのリモコンだよー。
ちょうど、4時の時代劇の再放送が始まったとき。
すると、それまで激しく動いていたユミさんに変化が、と思う間もなく・・・イッちゃった。。。なに、この、展開。
そして、気絶していたマミさんを起こして、あわてて服を着る。

「どうしちゃったんですか?」
「もう4時になっちゃったから、イッといたの。時間ないのよねー、主婦って。晩御飯のしたくがあるの」
ユミさん、「買い物買い物、今日は、ビーフシチュー」
ユミさん、時代劇で、時刻に気がついたんだ・・・助かった。ありがとう、黄門様。

二人は、持って来たエコバッグを片手に、
「結婚したら、また、浮気しようね」って、そそくさと、出て行った。
ぼくは、すっぽんぽんのまま、タチ尽くしながら、立ち尽くしていた。


「あんたって、ほんんんと、情けないコねーーー」
神社のオネーサンだ。

「二言めには、どこなのファンタジスタ?だもん」
、、、そうだけど。

「あぶなくなると、おかーさーーん、って、べそかく」
べそはかいてないさ、かきかけてたけど。。。

「教訓⑥人に頼るな」
ぼくの悪いところ、わかってるよ。

「つぎは、いいとこ見せてよ。あなたのミッションは、
おかあさんを救うことだけじゃないんだから」
どういうこと?

もちろん答えずに、オネーサンはいなくなった。
窓から吹き込む風で、ベッドのシーツが揺れていた。
つわものどもが、夢のあと。
 
 
VIII ミカ編

| | コメント (1)

VII.ユミ&マミ編2:浮気道。

ユミさん「つぎは、街へ出て、実技。テーマ、『1日に何人と、浮気できるか?』@浅草」
「で、何人とシたんですか、お二人は」

「わたし、16人」ユミさん。
「わたしも、16人」マミさん。
、、、すごい。

ユミさん「場所がら、お年寄りが多くてねー。最高齢は84歳」
マミさん「そうなの、タタせるまでに、時間かかっちゃって。渋谷だったら、40人はいけたわね」
、、、そうですか。

「そして最後の難問、ホンモノの夫との、面接」
「夫って、って、って、ご、ご、ご主人のことですか?」
ユミさん&マミさん、「ほかにだれがいるのよ、このコ、やっぱり、ウワサどおりのヒトミくんだわ、うわっはっはっは」
・・・・・・・・。

「実際に、浮気相手とのメールを、夫に発見させるというシチュエーション。
(問)その日はダメ。主人が休みで家にいるの。お願い、会わないで。←これを読まれてしまう、というか、実際読ませてしまう。どのような言い訳をして、納得させるか、というテスト」
命がけの、荒行。この人たち、僧、か?

マミさん「わたしの答えは、こう。→二人の結婚記念日に、あなたを驚かせようと思って、素敵なドレスをオーダーしたの。真っ赤な、背中が大きく開いたデザイン。お願いしたのが、お友達なんだけど、仮縫いの日があなたのお休みと重なってしまって、ウチでやるっていうのをお断りしたの」
ウソつきなれてるな、この人。

ユミさん「わたしの答えは、こう。→これまで黙ってて、ごめんなさい。わたしには、母が二人いる。育ての母と、1歳のわたしを捨てた実の母。その母が、さいきんわたしにメールで連絡をつけてきた。会いたいと。いまさらなによ、と思う反面、会いたくないわけがない。どうして捨てたの?なぜ戻ってきたの?100時間あっても、聞ききれないくらい。
でも、母には悪いうわさが。人と会っては、お金を無心しているらしい。会いたい、お金ならあげたい、それでもうやめさせたい、でもあなたに迷惑をかけたくない」
・・・もらい泣き、、、でも、これもウソ。

二人に聞いてみた。
「どうしてそんなに、浮気するんですか?恋愛する気もないのに」
「まあ、ずいぶん素朴な質問をするのね」
と二人で顔を見合わせて、

マミさん「夫をフレッシュに保つため」
フレッシュ?

「わたしは夫を愛しているわ。でも、どんなおいしい大トロのお寿司でも、まいにちじゃ飽きるでしょ?だからたまには、ハンバーグも食べなきゃいけないの」
なんちゅう理屈だ。

ユミさん「わたしの場合は、修行かなあ」
またわけわからんことを。

「常に自分を高めて生きたい。それが、人生の究極の目的だと思う。ここまではいいかしら?」
、、、はあ。

「セックスは、普段の生活と別物、と整理しちゃってる人いるけど、それは違うと思うの。お買い物行くことも、お料理つくることも、本を読むことも、セックスすることも、同じ。だって、ぜんぶ一人のわたしがやってることだから」
はあ。

「自分を高めるためには、常に新しい価値観や自分とちがう価値観と、自分を対峙させなければならない。本を読むように、あたらしいお料理にチャレンジするように」
はあ。

「ヒトミくん、あなたもセックスからいろんなことを、学んできたはず」
はあ。

「だからわたしが、浮気を続ける理由も、わかっているはず」
、、、わからない。

パチパチパチ!マミさん、すかさず拍手。
「さすがです。哲女!そのあたりに、わたしがユミさんを追い抜けないなにかが、あるんですよね」
哲女、ねえ。

「それにしても、哲、っていう字、折ってお口に入れる、って書くのね、そんな大きいのかしら、いや~ん」
入れる、なんてどこにも書いてないけど。。。

ユミさん「まだ、あなたは若い。このまま浮気し続ければ、きっと見えてくる」
「はいっ」
二人で、固く握手しているぞ、やれやれ。

ユミさん「さて、ヒトミくん、問題です」
「全浮選の問題ですか?」

ユミさん「これは、わたしたちから、ヒトミくんへの問題。ヒトミくんも結婚後は浮気界入りするわけだし」
結婚も浮気も、予定ないです。

マミさん「WELCOME TO UWAKI-WORLD!」
歓迎してくれなくって、いいです!

ユミさん「浮気するときに、ゴムはつけるべきでしょうか?その理由も、挿入しなさい」
「うーん、つけるべきだし、理由は、やっぱり病気と妊娠じゃないでしょうか」

ユミさん「半分だけ、正解ね」
あと、なんだろ。

「それはそうなんだけど、浮気、ってポイントを見失ってるわ」
ポイント?

「子供をつくる、という視点から考えると、セックスって、体液の混ざり合いだと言える」
はあ。

「逆に言うと、体液を混ぜなければ、セックスではない」
はあ。

「ゴムをしていれば、体液は混ざらないし、セックス的には、なーんにもしていないのと同じ」
そんな。

「せいぜい唾液が混ざり合うくらいだから、万が一浮気がばれても、ごめんなさ~い、うっかりキスしちゃったの~テヘッ!って、言えるでしょう?」
、、、言えないと思いますが。。。

マミさん「わたし、その言い訳、使ったことあります。夫はわかってくれました」
、、、ったく。

「ヒトミくん、旅ってなんだと思う?」
哲女が、さらに問う。
「遠くへ行くこと、ですか」
「半分正解」
またか。

「あと半分は、そして、戻ること」
哲学やなあ、・・・ここまでは。

「帰るべき家があるから、わたしたちは、旅ができる。帰るべき家がなければ、それはもう、旅じゃない、流浪」
なんか、話のこのあと、読めてきたぞ。

「愛すべき夫、守るべき家庭があるからこそ、わたしたちは浮気ができる」
ほら、やっぱり。↑勝手な理屈。

「そう、浮気は旅!非日常への、小旅行!未知の文化との、ふれあい!」
パチパチパチ!マミさん、いちいち拍手はいいよ、さらに、立ち上がらなくていいよ。

「詳しくは、『月刊浮気道(うわきみち)12月号特集2泊3日のチン道中』を参照!」
マミさん「ハイ、読みます」
・・・ぼくは、読みません。

ユミさん「こんど旅行社と組んで、『札幌小樽白い浮気の恋人たち昼はカニ食べ放題夜は
イキ放題ツアー』ってやるんだけど、行く?」

マミさん「行く行きますイッちゃいまーす!」
ったく、もう帰ってこないでいいです。。。

つづく

| | コメント (1)

VII.ユミ&マミ編1:浮気妻選手権。

徹夜明けで、朝寝坊。
今日はとくに用事もないから、ゆっくり寝るぞー、と、まどろんでいた昼下がり。
なのに、ピエール(神社のオネーサンに、ネーミングされたぼくのアレ)の悲鳴で、目が覚めた。

なんだなんだなんだ?
下半身に目を向けると、知らない女の人が二人。
テレビを見ながら、ピエールをウキウキウォッチングしたり、もてあそんだり。
ピエールの上げる声は、悲鳴じゃない、快感に身もだえしていたのだ。ライトな男だ。

目を覚ましたぼくに気がついた一人が、

「おはよう、お寝坊さん。お友達は、もう起きてるぞ」
確かに、、、もう、タッてる。。。

眠い目をこすりながら、
「あのー、あなたたち、誰、ですか?」と、たずねると、

「わたしはユミ、30歳」と、お姉さん風の人。
170センチくらいあって、胸もドッカーン、って感じ。
巻いた髪の毛が、ゴージャスな美人。
からだにぴったりフィットした(ノーブラだ、、、)黒のニットのワンピース。
手には、エコバッグ。

「わたしはマミ、25歳」と、隣の人と並ぶと、かわいい妹タイプ。
グレーのカシミアのセーターが、やっぱり大きな胸を、やわらかく包んでいる。
手には、エコバッグ。
二人とも、買い物の途中なんだろうか?

「わたしたち、」ユミさん
「意外かもしれないけれど、例の女なの」

はあ、なるほどねえ、意外じゃないですが。
「そしてしかも、」マミさん
「浮気妻」
自己紹介で言うことかなあ。

「その辺に転がっている浮気妻じゃなくて、」
転がってるんですか?

「全日本浮気妻選手権若熟女部門ワンツーコンビ!」
そんなのがあるんだ・・・それにしても、若熟女。。。
ユミさんが優勝、マミさんが準優勝ってことらしい。すごい!・・・のか?
にしても、今回はまた厄介な「例の女」が、来ちゃったようだ。しかも、二人。

「ところで、」いちおう聞いておこう。
「その浮気妻選手権って、なんなんですか?」

ユミさん「1年にいちど開催される、浮気妻日本一を決める、まあ、アスリートで言うと、国体みたいなものかな」
国体、ですか。アスリート、ですか。

マミさん「全国参加者3万人を超える中から、予選を勝ち抜いた一流の浮気妻たちが、グランプリを目指して戦うの」
3万人!一流!グランプリ!

ユミさん「もちろん世界大会もある。INTERNATIONAL UWAKI-ZUMA CHAMPIONSHIP」
浮気妻、って国際語なんだ・・・スシ、カラオケ、ウワキヅマ。。。

「こっちは4年に1回。言ってみれば、オリンピック。来年開催なの。それに向けて、いま、あちこちパワーアップ中」
「いや~ん、ユミさん、あちこち、って、エロいぃぃ」
はぁ。。。

ユミさん「キミ、エロ主婦の、ノンキな大会だって思ってるでしょ?」
「いやあ、あ、あ、とんでも、、、」

「筆記、実技、面接。乾く暇のないハードコアサバイバル大会、それが全浮選!」
、、、略してるし。

「まず、筆記。こういうときどうするか?今年の問題は、『いつも行きつけのスーパーで、店長から誘われました。そのときとるべき行動は、つぎのどれでしょうか?』3択ね」
なんだそりゃ。

「①すぐに、ホテルに行く。
②これからいろいろ、安くしてくれるぅ?と条件を付ける。
③とりあえず、スーパーの事務所に行く。
さあ、ヒトミくん、どれ?」
ってぼく、浮気妻じゃないし、妻ですらないし。

「はやくっ!」
「②ですかねえ、せっかくだから」

「ああ、もー、がっかりするなあ。そんなセコイことじゃ、もてないぞ、大物になれないぞ、アレもおおきくならないぞ!」
ほっといてくれ。

ユミさん「浮気に、お金的な損得をからめては、なりません。かならずあとで、もめるから。正解は、」
「じゃかじゃかじゃかじゃかじゃん!」
って、マミさん、そういうの、いりませんから。

「正解は、③。今回の浮気相手は、スーパーの店長であるってことに着目しましょう。
つまり、事務所に行く。→いきなり、わたしじゃありません、すみませんやりました、出来心だったんです。と泣きわめく。→そうすると店長は、職業上の条件反射で、奥さーん、ここにも隠してるんじゃないですかぁ?ってわたしの下着に手を入れてくるはず!」
条件反射、、、入れてくるはず、、、。

「バーチャルプレイじゃない。ほんものの万引き妻になりきって、ほんものの店長に店ちょおううう、に」
ユミ、さん、白目むいちゃって、イッちゃった、です、か?

「イクわけないでしょ、おバカちん。そのくらい正解、ってこと。さあて、第2問」
まだあるのー。

「出会いサイトで知り合って、会ってみると、これがまた、まったくタイプじゃないときたもんだ。さあ、どうする、ヒトミくん!」
また、ぼくが答えるんですかあ。

「適当に、30分くらいしゃべって、帰っちゃえばいいんじゃないですか」
「ぶあっかもーん!」
なんで怒るんですか。

「浮気妻たるもの、男を好みで選んでどうする!」
武士の妻、ですか。

「タイプで選ぶ、つまり、好きなタイプを選ぶ。好きな人を選ぶ。浮気に、『好き』という言葉は禁物なの。だって、それは恋につながる。恋したらもう、浮気じゃない」
なるほど。とりあえず。

「浮気に、『好き』が混じると、浮気が濁る。わたしたちが目指すものは、純粋浮気」
純粋浮気。。。

マミさん「そう言いきれるところが、ユミさんの強いところよね。もはや、哲学」
ユミさん「ありがと。あなたの、浮気トップブリーダー理論もすばらしいわよ」
仲いいんだなあ、って場合じゃないよ、ったく。

つづく

| | コメント (2)

VI.シルビア編3:マチコとの再会。

「オマエら男は、ヒヨコだ、アメンボだ、ちょろQだ。自分一人では何にもできない、どこへも行けない、そのくせに、自分をライオンか何かのように勘違いしている」
「・・・そういうとこあるかもね」

「愚かな小動物!」
「ぼくも頑張らなきゃね」

「子羊ども!めーめー鳴いてろ!」
「めーめーめーめーめーめー」
「めーめーうるさいんだよっ、この小粒納豆!」
「あ、ごめん、うるさかった?」

シルビア様、ちょっと、マチコに戻って、
「あのねヒトミくん、さっきも言ったけど、いちいち返事してくれなくていいのよ」
「だって、キミがいろいろ話すから」

「あのねえ、これSMだから、久々の同窓会じゃないから」
「でも、SMって、攻めと守りでしょ」

「・・・あのー、ヒトミくん、もしかしたら、SMのこと、EMEとAMORIだって思ってない?」

「あ、いけね、ASEROとATTE、だったっけ?」
「それも、、、違うけど」

「えーっ、じゃあ、AKURAとOMIJI?」
彼女、ちょっと怒ったように、
「ふざけてるの?それとも、その程度の理解で、わたしのSMに参加してるの?」

「すみません。。。でも、でもだよ、SMってすばらしいコミュニケーションだと思うんだ。だって、需要と供給のバランスがちゃんととれてるし、あうんの呼吸ってあるでしょ、打てば響く、っていうか。おたがいわかりあおうとしなければ、できないよ」

マチコ、もといシルビアが、怒声を浴びせた。

「男たちへの復讐だ!そのために女王様になったのだ!これはけっして、コミュニケーションなんかじゃない!ましてや、わかりあおうとするわけがなああああい!!!」

見事な激怒。花びんが倒れて、壁の絵が落ちた。さすが。
でも、勇気をふりしぼって、言ってみた。

「ぼくには、女王様のなさってることって、」
急に敬語。こわいから。弱虫。

「わたしのほうを向いて、わたしの話を聞いて、わたしの責めを受け入れて、わたしのメッセージを受け取って、って叫んでるようにしか思えないんだ」

シルビア様、天井に亀裂が入るような声を張り上げて、
「わたしは汚らしい男どもが、心底憎らしいんだ!滅ぼしてやろうとしてるんだ!
地上から消えてなくなれ、って叫んでるんだああ!!!」

「でも、男たちは、消えてなくならない。だって気持ちいいから。幸せだから。キミが幸せにしてくれるから。キミがすてきだから。キミが必要だから。キミとわかりあいたいから。キミとつながっていたいから」

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさーーーーいっ」
シルビア様は、涙声だ。
ぼくは、容赦なく続けた(ぼくって、S?)

「SMって、おおきな愛だと思う」
「愛なんかじゃない、愛なんか、、、じゃない」

「SもMも、異常なもの。もともと、世の中に許されてなかったこと。つまりSMって、異常な存在そのものを認めないと、始まらないでしょ?すべてのセックスを肯定する、異常も正常も認める。それって、おおきな愛。違う?」
シルビア様は、わーっと泣き出した。

「SMは、すべてを肯定することだもん、いじめとは真逆のものだもん、復讐なんかにはならないよ」
シルビア様は、ぼくの胸に顔をうずめて、泣きて続けている。

「だいいち、マチコは、復讐するには、やさしすぎるいいコだよ」
シルビア様は、濃いメークを涙でドロドロにした顔を上げ、
「シャワー浴びてきていい?」と言った。

シャワールームから出てきたシルビア様は、すっかりマチコだった。
ぼくは、彼女のカラダをおおっているバスタオルをはずした。

顔やからだに十数個付いていたピアスはぜんぶはずされ、例のウナギがバラをくわえたタトゥーもきれいさっぱり消えていた。「シールだったの」だそうだ。
・・・どこで買ったんだ?

あどけなさが残る素顔を赤らめて、マチコは、「電気を消して」と言った。
こころとからだを解放&開放するのが、セックスの醍醐味とするならば、復讐という呪縛から解き放たれ、シルビアという仮面を脱ぎ捨てたマチコは、その夜、最高のコンディションだったのだろう。
のびやかな長身がしなやかに動く様子は、まるで水の中を泳ぐようだ。

ぼくのからだに彼女の長い手足がからみつき、あちこち密着させてきて、、、
気持ちいいんん。なのに、つかまえようとすると、するりと手の中から逃げ出す、さすがウナギ(ごめん)。凶暴な女王様ではなく、奔放な王女。

やっとのことでつかまえて、ウナギに串を打つように、ピエールを彼女の奥深くチェックイン!
すると細面の顔が、ドキッとするほど色っぽい。
さっき感じたあどけなさは消えうせて、大人っぽい流し目が、彼女のもうひとつの顔なのか(参照→教訓②女の顔は、ひとつじゃない)。
男たちがウナギ祭りをした、ほんとうの理由を見たような気がした。

寝てしまっていたらしい。マチコが電話する声で、目が覚めた。

「はい。すみません。いまからすぐに向かいます」
ぼくと目が合うと、
「ごめん、起こしちゃったね」

そして、例のボンデージスーツの上に、トレンチコートを着て、
「隣の部屋と、間違えて来ちゃったみたい。でも会えてよかった」
ぼくも。

そして、「じゃ、ちょっと、コミュニケーションして来るね」
とにっこり微笑んで、ドアを開けた。

入れ違いに入って来たのは、おなじみ神社のオネーサン。
「今日ヒトミくんが使った技は、」
技?

「SM業界では、幻と言われているものなの」
幻?

「女王様の責めに、誠実に反応する。こころをこめて、相手を肯定する。
そうすると、SとMは、最後にはSもMもなくなって、ひとつの存在になる。
実はSとMは対極じゃない、表裏一体のもの。その境地にたどり着いた二人は、神と呼ばれる。でも、快感のあまり、頭がヘンになることもあるの。
だから危険な禁じ手として、封印されてきた」

禁じ手?封印?

「その名は、言葉責めに対して、こころ返し!」
こころ返し、か。いい名前じゃないか。

「教訓⑤すべてを肯定してみよう」
「はい」

「まぐれだろうけどね、まぐれを引き当てられるのも、実力だから。
・・・伸びたね、ヒトミ」
あれ、おねーさん、涙ぐんでる。

「あら、スタンプが5個たまったね。じゃあこれあげましょう」
もらったのは、1センチくらいの、小さなカエルの人形。

「ファンタジスタや、キミの役立たずピエールがダメなときに、使いなさい」

また、意地悪に、逆戻り。でもありがとう、頑張るよ。
さあ、もう寝よう。ぐっすり眠って、今夜は夢精だ。

 
 
VII ユミ&マミ編

| | コメント (1)

VI.シルビア編2:女王様の誕生。

ぜったい、そうだ。
マチコのしゃべり方には、クセがあって、「でしょう」とか「しましょう」の「う」が、ふつうなら「しましょー」のような音引きになるのに、彼女の場合は、「しましょう」というように「う」にアクセントがある。
そんなしゃべり方する人なんて、ぼくは生まれてからマチコしか会ったことがない。

「ぼくだよ、西3中の同じクラスだったヒトミだよ」
「お黙りっ!」

発見!黙らないよ。
「ほら、右目の下の、泣きボクロ!」
「お黙りったら!!!」

バシイイイイーーーンって振るったムチが、あいかわらずハダカで四つんばいの、ぼくの手に当たった。
「痛てっ」

女王様あわてて、
「ごめんなさい、だいじょうぶ、ヒトミくん?!・・・あっ」
目を合わす二人。

「ばれちゃったようね」
女王様が、初めて笑った。

「う、には気をつけてたんだけどね、そのせいで、ずいぶんイヤな目にあったからね」
そんなことだろうと、思ってた。たぶん、男にだ。

「わたし、いじめられてたの、ずっと」
「西中のときは、そんなことなかったじゃない、マチコはいつもやさしくって元気、って記憶しかないけど」

「問題は、高校生のとき」
たしか、彼女は工業高校に行ったんだ。

「わたし、ユメがあった。大人になったらロケットをつくって、宇宙に打ち上げたかった。だからわたしは、稲工に入った」
稲工とは、稲川工業高校のことだ。校長が稲川淳二のファンで、そういう名前にしたらしい。偏差値は高くない。

「学校の中で、女はわたし一人。モテモテかなあ、って最初はちょっと期待したの。でも、真逆。男って、サイテー」
なにが、サイテーなんだろう?

「わたしが、いつかは宇宙にロケットを打ち上げたい、って自己紹介したら、みんなゲラゲラ大笑いするの。こいつユメ見てるよ、そんなのできるわけねーよ、バカじゃねーかって」
ユメを見て、どこが悪いんだ?

「じゃあ、あなたたちは何になりたいの、って聞いたら、ラクしたいとか、金持ちになりたいとか、そんなのばっかり。バカはどっちだっていうの。でも他人は他人、わたしはわたし、おたがい好きに生きればいいって決めたんだけど、ヤツら、頑張るわたしが目ざわりだったらしくてね」
ひどいね。

「まず、ひどいあだ名をつけられた」
どんな?

「わたしのしゃべり方のクセの『う』と宇宙の『う』、さらに背が高くって細長いから、結局、ウナギ。ほら、これ」
指差したタトゥー。
赤いバラをくわえた蛇じゃなくて、赤いバラをくわえたウナギだったのか!

「ほんと、男って、サイテー」
、、、サイテーだ。

「卑劣ないじめも、もちろん、いろいろされた」
いじめは、ぜったいに、ダメだ。

「上履きに、生きたウナギを入れられたりとか」
そりゃ、ひどい。ウナギも、いい迷惑だし。

「ノートの間に、蒲焼はさまれたりとか」
ひどすぎる&もったいない。

「誕生日に、うな重もらったりとか」
それは・・・ひどい・・・か?

「クラスの全員から、40個よ」
やっぱり、ひどい。

「宇宙へのユメも、いっきに墜落したわ」
、、、かわいそう。でも、うまいこと言う。

「自分にユメがないからって、ユメを実現するための努力をしないからって、他人のユメまで邪魔するなんて!だから男は、みんなサイテー」
サイテーだ、たしかに。

でも、いじめは最悪、かわいそうだけど、異性がみんなサイテーに見えてたら、それこそタイヘンだ。
だって、恋もセックスもできない。そっちのほうが、かわいそうかも。
なーんて思いながらも、ぼくはまだ、ハダカで四つんばい。

「そろそろ、座ってもいいかなあ」
「うーん、仕方ないなあ、今日だけは特別ね」
今日だけは、って、、、今日だけでいいよっ。
「でも、もう少し話を聞いて」
マチコがどのようにして、シルビアになったのか、ということだ。

「ばかばかしい、エッチなこともいっぱいあった」
ありそうだな。

「いちばん多かったのは、わたしのあだ名にかけて、ウナギダンス」
なんとなく、想像つくかも。

「男たちが、自分のアレにウナギのペイントをして、毎朝見せに来るの。そして、ぶるんぶるん振り回すの。そして嫌がるわたしを見て、みんなで笑う。信じられない」
想像どおり。そんなことして、楽しいか?

「わたしとなにかしたいのなら、正々堂々と誘えばいいのに、いつも大勢で子供みたいに」
もしかしたら、みんな、ウナギ、、、じゃなかったマチコのこと、好きだったのかもな。

「男が、どんどん、イヤになった。うんざりうんざりうんざり!」
わかるけど。

「いじめられたら、もちろん、つらいわ」
いじめは卑劣。

「でも、それ以上に、女一人をよってたかっていじめる、男心が情けなくて」
男心か・・・まったく。。。

「男って、男って、男って、サイテー」
そういうことだったのか。。。

「そして、ついにわたしがキレる日がやって来た」
マチコは、その日のことを思い出しながら、かみしめるように話した。

「いつものように、ウナギダンスが始まって、うんざり顔のわたしの前で、アレをグルングルン振り回しながら、ひとりの男が『ウナギのかあちゃんアナゴ』って言ったの」
、、、小学生か、ったく。っていうか、わけわからん。

「わたし、自分のことならガマンできたけど、親のことは許せなくて、」
わかるよ、わかるよ。

「ウナギのかあちゃんは、ウナギ!って叫んで、」
なんちゅうリアクションやねん。

「そばにあったモノサシで、そいつのアレを、ビシーーーーン!」
痛ててててて。

「そしたら、さっきまで騒いでいた男たちが黙っちゃって、みんなビクビクしちゃって、モノサシで叩かれたヤツなんてイッちゃって、なあんだ、やっぱり、こいつらみんな弱虫じゃないか、これからこうやっていたぶってやればいいんだ、ってわかった」

シルビア様の誕生、ってわけだ。

「男たちはもう、そばに寄っても来なくなった。そばに寄るなら、わたしのほうから。モノサシを持ってね」
マチコ、しゃべり方も表情も、シルビア様に戻ってる。

「すぐにわたしは高校をやめた。1年生の秋だった。そして、わたしは女王様になった。もっともっと男たちを懲らしめてやろう、痛めつけてやろう、そう思ってねぇえひゃひゃひゃはやは」

顔が、(例)虫の居所が悪いと、駐輪場の自転車をなぎ倒す女、の顔になっている。

「わかったかぁ、このチビダコ!」
シルビア様、完全復活。
「なるほどね。わかったよ。いろいろあったね」

つづく

| | コメント (4)

VI.シルビア編1:深夜の訪問者。

とある地方都市。
今日は、イベントのアルバイトで、出張中。
東京を離れて、ちょっとしたいい旅夢気分だったのに、まさかイベントがマンホールの展示会だとは!
朝5時から会場の準備を始めて、日付が変わるころに、後片付けが終わった。
力仕事は向いてないんだ。握力左右17kgだよ、ぼく。

もうヘトヘトのクタクタで、泊まっている小さなビジネスホテルにたどり着き、服も脱がないでベッドに倒れこみ、眠りに落ちようとしたその時。
ピンポ~ン・・・
(誰か来た?でも、無視しちゃお)
ところが、ピンポンピンポンピンポンピンポン!もおぉぉぉぉぉぉしつこいっ。

フトンかぶって無視し続けると、ゴンゴンゴンゴンゴン、ドアを叩く激しい音。
何事!と、あわてて開けると、叩いてるんじゃない、ヒールでドアを蹴り続けている女の人。
夜なのにサングラス。男物のトレンチコート。ヒールが高いから、身長もぼくより高い。

「オマエなんでまだ服なんか着てるんだよっ!」
なんだなんだなんだ?

「あ、ちょっと、疲れてたんで、、、すみません」
「んなこと聞いてんじゃねー!どうして、わたしが来る前にハダカになって、お利口さんで待っていなかったかって、聞いてんだよっ!」
!マークの多い人だ。

あ、中に入って来ちゃった。
いやな予感、、、つーか実感。

「脱げって言ってんのがわかんねーのかよっ!」
「はははいっ!」
ぼくは大急ぎですっぽんぽんになった。

「なに立ってんだよ」
ピエールを見た。まだタッてない。

「バカヤロー!四つんばいになれって、言ってんだよっ!」
ぼくは仕方なく四つんばいになった。こんなカッコ、中学生のマスゲーム以来だ。
あ、マスってそういう意味じゃなくって、ってだれも聞いてないか。

「なにニヤニヤしてるんだよっ!」
すみません。。。

「オマエには、そのカッコがお似合いだよ」
って、言いながら、その人トレンチを脱ぐと、なんと驚くことに!ってわけがないくらい、やっぱり女王様。お約束どおりのボンデージ。

「わたしにいじめて欲しかったから呼んだんだろ、ヨシダぁ?」
ヨシダ?この人、やっぱりなにか重大なこと、間違えてる。。。

「あのぉ、お名前なんておっしゃるんですか?」
と、ぼくが聞くと、
いきなり持ってたムチを、バシーーーーーンってやって、
「オマエが、シルビア様お願いしますって電話したんだろうがあああああ!」

電話、してないし。シルビア様、お願いしてないし。
あらためて、彼女・・・失礼しました、シルビア様を見ると、
濃厚なメイク、鼻ピアス×2、へそピアス×5、それから太ももに派手なタトゥー。
真っ赤なバラをくわえた・・・へび・・・おおこわ。。。

「さあどこから責めてみようかねぇ、ヨシダ」
と、ムチをバシーーーーン。

ヨシダじゃないんだけどなあ、、、それ言うと、また怒られそうだしなあ。
それはそうと、さっきからムチが部屋のあちこちに当たって、モノをこわさないかって、ひやひや。シルビア様自身も、なんだか気になるらしく、持ってきたバッグの中から、違うムチを取り出した。前のに比べて、約半分の長さ。

「いつも二つ持ってるんですか?」
って聞くと、

「うん、こっちはシングルルーム用。さっき間違えちゃった」
と、今日はじめてのまともな会話。
でもぼくは、もちろん、ハダカで四つんばいのまま。
「ごほん、んん、ん」
咳払いして、仕切りなおし、って感じでシルビア様、リターンズ。

「オマエ、どうせいつも、ずるいことばっかり考えているんだろう?ブタヤロー!」
、、、ブタじゃないけど。
「ずるいこと、って?」

「金とか女とかそんなことだよ、このロリコンヤロー!」
、、、ちょっとロリコンかな。だな。

「なにスケベ笑いしてるんだよっ!」
「、、、すみません、でもお金とか興味ないです。女の人も足りています」

「モテモテぶりやがって、このウソツキチビ!」
ムチを、ビシイイイイイーン。当たったら痛そう。。。

「オマエの汚いケツの穴に、このとがったヒールをぶちこんで、ウソのかたまりをダップンさせてやろうか!?」
「うわーー、結構ですよ、やめてください、でもそれ気持ちいいんですか、って聞いてみたりしますけど、女の人のこと、ウソじゃないんです。勝手に押しかけてきて、上に乗ったり下になったりして、ぼくも困っているんです」

「困ってる?勘違いスンナよ、来てやってるんだ、ぜんぶオマエのためじゃないか、このチンカスヤローがっ!!!」
「・・・来て・・・やってる・・・?つまり、シルビア様も、例の女?」

「これまでの人たちから聞いてはいたが、」
はい。

「オマエ、ほんとにわかってないな」
はい。。。

「さあて、どう料理しようかねぇ」
料理されるんだ・・・どうせならおいしく・・・なんて思ってたら、
ん?なんだこのデジャヴュ、もしくは聞き覚えのあるしゃべり方・・・。
「オマエ、女のこと好きになったことないだろう?」
・・・この、「う」のアクセント・・・。

「早く答えな!」
ツバサセンパイは、憧れと好きは違うって言ってたな。

「ありません」
「それはオマエが、メメしいヤツだからだ」

「そんなことないよ」ちょっと、カチンと来た。
「はい、だけで答えろ!」
「はい」
もう負けた。

「男なんて、みんなそうだ、みんなメメしいヤツばかり!」
「はい」←メメしい。

「いつもウジウジ悩んでばかり!」
「はい」←ウジウジ。

「男らしいとか、聞いてあきれる!」
「はい」←男らしくない。

「親の顔が見たいもんだねっ!」
ぷちっ。そればかりは許せん。
「おかあさんのことは言うなぁぁぁ!」

「わかったよ、わかった」
女王様、ちょっと困ったような顔をして、
「なんかペース狂うなあ」
ってもらして、軽く深呼吸、さあつぎのお題行くよ、って感じで、
「政治が腐敗してるって、思ってるだろう!」
なんだ、この展開?

ま、とりあえず、言いつけのとおり、
「はい」

「どうせ選挙にも行ってないのに、エラソーなこと言うな!」
「行ってますよ」
「、、、じゃあ、その1票で、オマエはなにができたんだ?!」
女王様というよりも、新橋駅前SL広場の酔っ払い親父だな、こりゃ。

ぼくが返答につまっていると、
「傍観者!」
なんかリアルに責められてるな。正論って、結構、責め言葉。
「たしかに、、、そうですね」

「そうだよ、男はみんな、卑怯な傍観者だよっ!」
男、ってとこになんかあるな、この人。

「無責任で、いつも言い訳を考えているんだ」
「たしかにそうですね、ごめんなさい」
ぼくが素直にあやまると、シルビア様、また困った顔で
「あのさあ、あやまらないでくれる?それ以上責めにくくなっちゃうから。あと、いちいち返事されると、プレイが成り立たないから、ふつうのキツめの会話だから、そうなると」
「すみま、、、あ、はい」
返事は、はい。
そして、女王様、また軽く深呼吸。

「ハンバーガー好きなんだろう?」
なに、それ、また、なんちゅうプレイ?

「腹減ったんだろう?」
おなかはすいてるけど、それよりも・・・「う」だ。

「なんだろう?」「減ったんだろう?」「思ってるだろう?」
もしかして、たぶん、いや、きっとそうだ。

「マチコ?」

女王様の厚化粧の奥の顔色が、一瞬変わったように見えた。
「だれだそれ!?」

つづく

| | コメント (0)

V.モモコ編3:ベテランの底力。

「ヒトミくん、21だったっけ?」
「はい、そうです」

「いいなあ、まだまだたくさん、恋ができる」
「モモコさんも、恋すればいいじゃないですか」
「もうできないわ、だって、もうこんなに、おばちゃん」

ぼくは、今日ずっと感じていた違和感の正体が、やっとわかった。
この人は、昔話しかしていない。今を生きていない。自分から、あきらめている。
恋なんて、もう自分には関係ないと思っている。それじゃまいにちを、これからを、
楽しめるはずがない。
ぼくは、勇気を出して、質問をした。
「年をとることは、恥かしいことですか?」
いきなりの質問に、ぼくを見つめるモモコさん。

「もしそうなら、ぼくはもう年をとりたくない。生きていく意味なんて、ない」
モモコさん、じっと聞いている。

「恋は、とてもすてきのものなんでしょう?ぼくはまだ、恋を知らない。だから、恋をしてみたい!一生していたい。ずっとずっと恋をし続けたい!」
モモコさん、うつむいた。

「恋に適齢期なんて、あるんですか?」
モモコさん、顔を上げた。

「モモコさんは、今、とてもとてもとてもとても、すてきです!うつくしいです。昔とは、すてきさやうつくしさの種類が、違うだけです!」
モモコさん、うなずいた。

「恋は、いつも適齢期だと思います!」
モモコさん、にっこり微笑んでくれた。

「エラそうなこと言って、すみません」
いいのよ、と、小さく首を振って、口を開いた。

「ヒトミくん、今のわたしでいい?」
「い・ま・の・モモコさんがいい。今のモモコさんが欲しい」
「準備は整ったようね、部屋に戻ろうか」
そう言って、モモコさんは席を立った。

おいおいおいおい、欲しい、だなんてよく言ったもんだよ、ヒトミ。
裸で逃げ出したくなるくらい、レベルが違う。
年を取ることと衰えることは、別のことだ、すくなくとも、セックスに関する限り。

熟れすぎの柿の果肉に指がめり込む感触、と言うか
(なんじゃそりゃ)

創業以来継ぎ足し続けたタレの深み、と言うか
(わけわからん)

アナログレコードのノイズの豊かさ、と言うか
(なんのこっちゃ)

セックス白帯のぼくには、筆舌に尽くしがたい
(あ、こういうときに使うんだ、この言葉。いろいろ勉強になります)

いちばんすごいのは、イカないこと。
気持ちよくない感じないのではなくって、通常このへんでイキますよね、のポイントを通過して、そろそろイカないとからだこわしますよ、のポイントを楽に超えて、第一象限の右ななめ上彼方に向けて、上昇直線が伸びて行く。

離陸した飛行機が、大気圏の突き抜けんばかりに、上昇し続けるように。
体位変えても、攻守変えても、彼女の頂上がまったく見えない。
2時間・・・酸欠で意識が遠くなるのと入れ替わるように、快感がぼくを支配する。
ピエールが悲鳴を上げている、違う、悲鳴じゃない!キモチイイイイイー、の雄叫びだ。

しかし、ここで負けるわけには、、、ここで負ける、わけには、、、こ粉、で、負ける、
輪、家、には、、こ、こ、こ、こ・・・。

そのとき、なにやら激しい振動が!じじじじじじーーーーーっ、薄れ行く意識の中、
(おや、なんだろう?ケータイかな)
→→→ファンタジスタ!!!

ぼくは、自分のバイブ力を前進力に変えて、リュックの中から這い出してくるファンタジスタを見た。黒光りした、筋肉質のボディーが、こっちに向かって来る。
そして、ぼくの脇で、ぴたっと止まった。

(ありがとう、ファンタジスタ!)
ぼくがモモコさんからピエールを引き抜くと、自分からモモコさんの中へ、
吸い込まれていった。

最初は、モモコさんを確かめるように、堅実に、
やがて、読めた!とばかりに、激しさを増し、
突然ピタリと動きを止め、
(たぶんこれも演出だ)
そして、ゆっくりと回転を始めた。ゆるりと、ゆるりと。

この動き、どこかで見たことがある、、、あ、そう、そう、そう、走馬灯!
あきらかにモモコさんの反応が、変化した。そして、聞こえてくるもの・・・。

モモコさんのアソコと、回るファンタジスタとが、奏でる音が、メロディーに!
オルゴールみたいに!

これは!
(あまりの驚きに、息もできない)

モモコさんのデビュー曲
「コンチネンタル・ダーリン」!!!
モモコさん、小さな声で、口ずさんでる、たのしそうに、思い出すように、、、超オンチに。。。
モモコさん、絶頂の一歩手前。

ファンタジスタが、不意に、動きを止めた。
どうした、ファンタジスタ、もうすこしだぞ。
そして、自ら、スポッと抜け落ちた。

オマエ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんて、、、ヤツだ。。。

最後は、ぼくが決めろと、促している。
見つめあう、ファンタジスタとぼく。
見つめあう、ファンタジスタとピエール。。。
友情。。。ひたっている時間はない。

ぼくがもういちどイレてからモモコさんがイクまで、10秒もかからなかった。
イク直前、モモコさんは、ぼくに抱きついて
「いつだって、、いま、が、、、いちばん!」←教訓④
そう言って、目を閉じた。

ドアが開いて、だれかが入って来た。だれかは、想像がつく。

「いやー、おつかれちん」
神社のオネーサン。今回やけに、フレンドリー。

「あのー、質問があるんですが」
聞いてみた。
「こんなことやってて、ほんとうにおかあさんは助かるのでしょうか?」
「そうねぇ、信じることね」

「そんなぁ、、、セックスばかりやってて、いいのかなぁ」
「重要なのは、セックスじゃなくて、それを通してキミが成長することなの。
それに、姉小路家の運命がかかっているの」
「運命、、、って」

「それは、最終回まで、秘密」
「えーっ」

「大切なのは、続けること。夏休みのラジオ体操と同じ」
と言って、スタンプカードにはんこを押した。

そばで見て、ふと気がついたのが、
「あれぇ、オネーサンのアゴに1本はえてるの、ヒゲ?」

オネーサン、顔を真っ赤にして、
「イヤーーーーーーン」
とマッハで外へ飛び出した。
・・・・・と言うことは。。。。。おいっ!
 
 
VI シルビア編

| | コメント (1)

V.モモコ編2:モモコさんの恋。

「電車に乗ったことがない。正確に言うと、乗せてもらえない。どこへ行くにも、トイレ行くのも、ずっとマネージャーが付きっきり。バリバリのアイドルだったから」
へー、かわいかったんだろうな~~~。

「歌手だったのよ。50万枚売れた曲もあるの。レコードの時代・・・。ヒトミくん、
レコードって知ってる?」
知ってますよー。

「でも、超オンチ。人前でなんか歌ったことないもん」
「えっ?どういうことですか?」

「ぜんぶ、口パク。あ、口パクって言っても、アレをお口でモグモグすることじゃなくってよ」
この人、ぼくがなんにも知らないと思っているようだ。

「まいにちまいにち、口開いて笑っているだけ。いまのレイカより、ヒドイ。
それなのにあのコ、わがままばっかり、、、あなた、叱ってくれたんですってね、エライ、ありがとう」
わーい、ほめられた。

「あらま、もうこんな時間!」
ほんとだ、午後6時。

「おなかすいたわね。なんか食べに行きましょう」
賛成!なに食べさせてくれるかなー、
とペコペコのおなかを期待でふくらませながら、3度めの渋谷で、山手線を降りた。

ところが、入ったお店は、ぼくがよく行く居酒屋チェーン、
1杯め生ビール100円の店。
モモコさんが、若い人が行くようなところに行きたいっ!と主張したからだ。

黒毛和牛ステーキも、大とろ1コ3000円お寿司も、食べ飽きたんだと。
ああそうですか、っと。

フォアグラもキャビアも、「そんなおいしいもんじゃないわよ」だと。
・・・ガッカリちゃん。

若者たちのバカ騒ぎの中で、モモコさん、あきらかに浮いている。
でもモモコさん、ほんと楽しそう。

メニュー見ながら、
「なんで、大トロのお刺身が、780円なの?」
安すぎる、ってことらしい。

「ほんとにマグロ?こんにゃくじゃないの?」
お店の人に聞かれると、怒られますよ。

「生しぼりレモンサワーって、なに?ゴムしぼりレモンサワー、もあるの?」
ペロッと、舌なめずり。
そういう話は、熱心に掘り下げますよねぇ。。。
あ、店員の女の子、あきれて行っちゃった。

「よろこんでぇーよろこんでぇー、って言うけど、みんな喜んでくれてよかったねー」
でも、かわいい人。

「どこまで話したっけ?」
「マネージャーがきびしくって、いつも監視されてた、ってあたりです」

「でもわたし、恋におちたの」
彼女、少女のように、はにかんで見せた。

「17歳のとき、お相手はプロ野球のN選手」
うわあ、ぼくが子供のころ、大ファンだった人だ。

「あなたが知っている彼は、大打者になってからの彼だけど、私たちが出会ったころ、まだ彼は新人で、ニキビ面で、、、ふふふ」
思い出してる。

「雑誌の対談で会って、その日のうちに連絡とって・・・私のほうが、積極的だったかな、ふふふ」
レモンサワーのせいか、顔がほんのり色づいている。

「初めて好きになった男の人。人を好きになることを、教えてくれた人」
いい話だ。

「処女ではなかったけどね。故郷の町で、わたし、ワイルド淫乱美少女として有名だったから」
・・・いい話じゃない。

「妙な色気出して、悪い虫がつかないようにって、マネージャーがオナニーの仕方まで
教えてくれるような生活よ。もう、バレないようにバレないように、必死」
でも、バレちゃうんですよね。

「きっかけは、毛」
???

「夜遅く、部屋に帰ったわたしの歯と歯の間に、彼の陰毛がはさまってたのねー」
あちゃー。

「それでバレて、彼が呼びつけられて、うちの事務所、もう会わないと誓約書を、彼に書かせたの」
・・・悲恋。

「それから、一月ほどたって、彼から短い電報が届いた。今日の試合を見てほしい、って。彼を見るのはつらいから、やめようと思ったけど、やっぱりガマンできなかった。
彼はその夜、3本のヒットを打った。どれも、外野フェンス直撃。
その3本の当たった場所を見たとき、わたし、涙が止まらなかった。
フェンスに書かれた、スポンサーや商品の名前。
一本め、アイスもなかの、も。
二本め、ライオンモータースの、モ。
三本め、吉田興業の、興。
三つ並べると、も・モ・興!そう、モモコ!!!」
モモコウ、だと思うけど。。。

「彼からの、最後のラブレターだった」
「それからいくつも恋をしたわ・・・恋は、つらくても、、、すてきなもの」

憂いたっぷりの横顔は、昼の連ドラ「ふたつの乳首」で、夫の弟と恋に落ちる主婦の顔だ。こんな居酒屋「村まつりエッサッサ道玄坂2号店」でも、さすが、女優。

「コートダジュールの砂、って曲、知ってる?」
なにそれ?

「そんな曲がヒットしたことがあったの、あなたがちょうど、おチンチン丸出しで
生まれたころかしら」
みんな丸出しですっ。

「Pって歌手、知らない?」
知らない。

「その1曲で消えちゃったんだけど、わたし、お付き合いしてたの」
はい。

「でも短いあいだ。8回くらいかなあ」
回数で言わないでください。

「Pにはヘンなクセがあってね、セックスするとき、かならず、コートダジュールの砂をかけるの、枕元で」
たしかに、ヘンなの。

「しかも、小さな声で自分でも歌いながらね。♪カエルはカエルぅぅぅ海じゃぁぁ生きていけないぃ~」
なんちゅう歌だ。

「そして、その1曲ちょうどで、イッちゃうのよ。これがほんとの、一発屋。
きゃはははははははは、、、いまのどう???」
・・・まあおもしろいですけどぉ、、、それも、「つらくても、、、すてきなもの」なんですかぁ?

モモコさん、こんどは熟女デカが、殉職した上司を思い出すときの顔。

「忘れられない男、、、大物俳優の、W」
その人なら、ぼくだって知ってる。

「当時わたしは28歳。下手な歌に見切りをつけて、女優の仕事を始めていた。
いい役ももらえて、すべては順調、彼に出会うまではね・・・」
なにがあったんだろう?

「Wには、奥さんがいた。当時は、史上空前の不倫ブーム」
史上、って言われても。しかも、空前。

「不倫をテーマにした映画のお仕事で、初めて彼と会った。彼はそのとき40歳。
大人の男のフェロモンがギャランドゥから噴出して、1秒で気絶するくらい」
Wさん、出しますねぇ。

「わたし、撮影期間中、ずーっとずーっと泣いてた。映画のお話が現実の出来事のように思えて、主役の女性がわたしそのものに思えて、あまりの恋の切なさに・・・。
すごい演技だって言われたけど、あれは演技なんかじゃなかった。。。
そして二人が初めて結ばれる日が来た」
もうエッサッサの喧騒が、耳に入らなかった。

「撮影のクライマックス、べちょべちょの濡れ場」
べちょべちょ、は、いらないです。

「スタジオには、ダブルベッド。二人には、監督のスタートもカットもいらなかった。
わたしたちは、二つの生き物だった。わたしはもちろん、濡れていた。
そのことを彼に気づかれまいと体勢を入れ替えたら、手がなにか硬いものに・・・さてなんでしょう?
はいっ、ヒトミくん!」
、、、答えたほうがいいんですか。

「彼も同じ気持ちでいてくれたことが、気絶するほどうれしかった。
わたしたちは、この台本を渡されたその場そのときから、すでに恋に落ちていたのだ」
これだ!すてきな話って、これだ。

「そして、イレちゃったの」
・・・イレちゃう、ん、、です、、、かぁ。

「ただひたすら、むさぼりあったわ、居合わせた人にバレるとかお構いなしに。
昭和最高の濡れ場、と賞賛され、数々の賞をいただいた演技の真相は、これよん」
よん、って。

「でも幸せは、長くは続かなかった。週刊誌に、嗅ぎつけられたの。彼の奥さんが激怒して、大勢の人の前で土下座させられたけど、ぜんぜん苦痛じゃなかった。演技したから、不倫女の役。現実と演技が、あべこべよね」
モモコさんは笑おうとしたが、こんどはうまく笑えなかった。

「・・・つらくても」
のパートだ。

つづく

| | コメント (3)

V.モモコ編1:女優降臨。

「レイカの紹介で来たんだけど」
その人は言った。

「モモコです」

日曜日の、12時前。
前の夜のバイトが遅番だったから、ぼくはまだ寝ぼけていて、
(宅急便かなあ)
目をこすりながらドアを開けたら、ビックリした。

そこには、サスペンスドラマで女刑事役の人が、立ってたんだもん。
たしか「熟女デカ網タイツ事件簿-犯人はアソコだ!」だったかな。
あまり芸能人くわしくないけれど、おかあさんが、そのドラマよく見てたんだ。

ぼくを逮捕に来たのかと思った。
もちろん逮捕されるようなことは、やってないはずだけど、さいきんいろんなことが起こりすぎるので、たいていのことは驚かない。

「ちょっとあがっていい?」
なんとなく刑事口調。

「男の子の部屋って感じねー」
散らかっててすみません。

「いつまで寝てるの」
ごめんなさい、ってこの人に、あやまるケース?

「あのレイカが、ほめてたからねー」
そうなんだぁ(嬉)

「で、こんな男の子の、どこがよかったんだろう?」
朝一のお客さんとしては、最悪。

「冗談。かわいいと思うよ」
いずれにしても、最悪。

「これ、おみやげ」
「あ、これ3時間行列するドーナツですよね」
ちょっと、目が覚めた。

「自分じゃ並んでないけどね」
そうだろうと、思いますよ。

「コーヒーくらい入れなさいよ」
すみません。

「ねぇ、テレビつけていい?」
「いいですよ」

「まぁ、かわいいテレビ!うちのお風呂のよりも小さい」
ったく。ほっといてください。

ぼくがコーヒーを、ひとつしかないまともなコーヒーカップに入れてあげると、
一口飲んでまじめな顔をして
「これ、インスタント?」
と聞く。

やっぱ、まずかったのかなあ、と思っていると、
「なつかしい・・・」
と目を閉じる。
複雑だけど、悪い人じゃなさそうだ。

「でも、インスタントコーヒーのコマーシャルに、出てませんでしたっけ?」
とたずねると、にっこり笑って、
「素人みたいなこと言わないで」
素人ですが・・・すいません。

「あなた、年いくつ?」
「21です」
「若いっていいね」
若いって、いいのかな?

「モモコさんも、お若いですよ」
「男の子がお世辞なんか、言っちゃダメ」
ほんとうにそう思うんですけど、肌もとてもきれいですし。

「女優に年齢の話をさせる気?」
「ご、ご、ごめんなさい、そんなつもりは」
「きみには、本当のことを言わなきゃいけないようだから」
???どうして???

「38」
自分で言っちゃった。

「でも、公称、ね」
え?

「ほんとは、」
ほんとは?

「45」
あちゃー、、、さすがのプロ、サバのよみかたも豪快。

「わたしの21のころって、あなた、バブルって知ってる?」
聞いたことはあります。

「ちょうど世の中が、バブルの頂上を目指して舞い上がってるころだったの。
まいにちが、お祭り日本一決定戦くらいお祭りで、」
すごそう。

「オークラも、オオタニも、帝国も、スイートじゃ間に合わないから、ワンフロアー。
ゴールドも、マハラジャも、ジュリアナも、ワンフロアーじゃ間に合わないから、
お店ごと。いつも借り切り」

よくわからないけど、すごいんだろな、だってぼくが、たまに行く下北のクラブなんて、8畳ひと間くらいだもん。

「お友達が100本用意してくれたドンペリを飲みつくして、それでもわたしもっと飲みたい!って言ったら、そのころのボーフレンドが買いに行こう、ってそのまま自家用ジェットでパリ」
うーん。

「わたし、そのころはかわいかったのよ」
「いまでもお美しいですっ、お世辞じゃなく」
モモコさんは、ありがと、って感じに微笑んで、でも、ちいさなため息をついた。

「もう目が覚めた?」
「はい、覚めました」
「短刀直入に言うと、説明とか省きたいし。わたしが、レイカのつぎ」
本格的に、目が覚めました。

「例の女、ナンバー4。なんか数字悪いね」
そうか、いろんな女の人がやって来るんだな、なるほど、、、って感心してる場合か!
「ちょっと散歩行こうよ、天気もいいから」
モモコさん、提案。
それはそれで、いいですねぇ。

大急ぎで、顔を洗って歯を磨いて、晴れた真昼の空の下に出た。
が、、、しかし、
「そのカッコ・・・」

モモコさんは、おおきなサングラスをして
(それはいい)
幅の広いマフラーを首にぐるんぐるん巻いて
(それもいいとして)
口に花粉症用のマスク、あたまにアポロキャップ、
そしてからだ全体を、まっ黒なポンチョのようなものでくるんでいる。

「そのカッコで、うちまで来たんですか?」
「ハイヤーだから」
「だからって・・・」
「だって、芸能人だってバレると、面倒くさいでしょ?」
なんの迷いもない。

でもこれじゃ、映画の中のテロリストか、オペラ座の怪人だ。
ほらほら、みんなじろじろ見てる。逆効果。
なんとか説得して、帽子とマスクをとってもらって、ようやく、ふ~、散歩開始。

「こんなにお外を歩くのって、いつ以来かしら?」
無防備に歩けるのは、屋内だけだって、、、大変だな、有名になるって・・・。

「山手線に乗ってみたい」
散歩にならないですよぉ。
でも、モモコさん、楽しそう。
彼女、山手線どころか、電車に乗るのもひさしぶりみたい。
記念に、って、Suica10枚買っていた。

でも自動改札に3回引っかかって、後ろの人に、にらまれていた。
外が見たいからドアのところに立って、ぼくがにわかバスガイドさん、バスじゃないけど。

窓から見えるレインボーブリッジも、アキバの電気街も、巣鴨の元気なおばあさんたちも、池袋や新宿や渋谷で乗り降りする大量の人々も
(つまり1周したのだ、へとへと)
すべてが新鮮に見えるようで、いちいち、あれ見てー!なんて歓声あげるものだから、
みんな注目&ドン引き。

「こんなに楽しいなら、明日のCXの収録も山手線で行こう」
って、お台場には、通っていませんが。

「東京って、いいわねー」
まあそうですが。

「パリもニースも、もう行かなくていいわ」
ぼくが代わりにいきますが。

「ファーストクラスだから、すぐに寝ちゃうの。窓の外を見とけばよかった」
空だけですが。

五反田あたりで、モモコさんなにか発見した模様。

「ねえ、あのヘ・ル・スって、なにするところ?」
声が大きいですよぉ。

「・・・エッチなことするところです」
「イレていいの?」
だから声が大きいですって。

「・・・イレ、ちゃ、、ダメです」
「じゃあ男性はどうやって出すの?」
「・・・(赤面)・・・」

「ほら、ヒトミくんも、ピュッと出るでしょ、それを女の人がどうやって出すの?って聞いてるの」
ああ、もーーー。

「・・・ク、ち、、でス」
「出したらどうするの?」

「ぺっ、っテするンダとおモイまス・・・」
「こう?」
もぉおおー、そんな口からペッ、ってするポーズすると、
ピエールがムズムズするじゃないですかぁぁぁ。

「へへへ、それくらいのこと、知ってるわよ~ん。あ~あ面白かった」
えええええーっ!からかってたんですかぁ?ひどいですよぉ。

「ごめんごめん、でも山手線が久しぶりなのは、ほんと。わたしは秋田で生まれて、
14歳でデビューした」
ぼくが生まれるずっと前だ。

「初めて東京の街に降り立ったのが、上野駅。初めて乗った東京の電車が、山手線。
乗ったのは、後にも先にも、それっきり」
モモコさんは、窓の外の遠い山の、その向こうを見るような目をした。

そのとき、気づいた。
(この人は、いま、あまりハッピーじゃない・・・)

つづく

| | コメント (1)

IV.レイカ編3:レイカが濡れた!

「ヒトミくん。今回は、キツいよ」
鬼姫だもんね。

「性格じゃなくて」
あ、違いましたか。

「濡れないんだもん、生まれてから一回も。イクなんて、とんでもないわ」
困る、それ。
ぼくのミッションとしては、先にイッてもらわなければいけないのだ。

「いろんな男の人としたわ。正確にいうと、させられた。事務所の方針」
・・・そんな恨みも、あるのかな。。。

「でも、いちども濡れなかった。相手の人、みんな苦労していたな、
演歌の大御所Pさん、売れっ子司会者Qさん、名演出家のXさん・・・」
名、とか、大、とか、すごい人ばっかりだ。
小で弱のぼくに、うまくできるだろうか。。。

「さあ、始めてよ。どうせ、しなきゃならないんだから」
レイカはさっさと、スカートと下着を脱ぎ始めた。
そして、ソファに横たわった。

「上は脱がないの?」
「だって、必要なのは、ここだけでしょ?」
ってアソコを指す。
あたまに来る。

「キスはしないの?」
「必要があれば、もう、しているわ」
いちいちあたまに来る。
それにしても、どこからどうしようか・・・。

「触ったり、ナメたりしてみたら?」
他人事だよ、、、ったく。
・・・こうかな?

(サワッタリナメタリサワッタリナメタリサワッタリナメタリサワッタリナメタリ・・・)

おいおい、いま雑誌読むなよぉ。
こっちは舌がこすれて、血がにじんでるっていうのに。
つまりそのくらい、ざらざら=まったく濡れてない。
自分の手をナメてるほうが、まだ濡れてる、って感じ。

「結局、あなたも同じ、男はみんな役立たず」

そのひと言で、ぼく、キレました、と思います。
(生まれてからいちども、キレたことがないので、キレる、が、どういうものかわからない・・・)

ぼくは、作業を一時中断して、
「じゃあ、自分でやってみてよ」
「自分で、ってどういうこと?」

そう聞き返されると、恥ずかしいけど。

「・・・オナニー、とか」
彼女も照れくさそうに
「・・・・・」
黙る。

「したことないの?」
「・・・ない」

北風と太陽、というお話がある。
どちらが、旅人のコートを脱がすか、というヤツだ。

お話では、あたたかい太陽が勝つのだが、きっとレイカのまわりは、太陽ばかりだろう。なまあたたかい、ニセモノの太陽。
ならば、北風作戦だ。
彼女のもやもやを、吹き飛ばしてみせる!

ぼくは背負ってたリュックの中を探って、
「あった!」
以前に神社のオネーサンから、もらったバイブだ。
たしか名前は、ファンタジスタ。

「これ、使って」
彼女は黙って受け取り、、、恥ずかしそうに、、、アソコにそっとあて、、、スイッチを入れた。

・・・動かない。。。アレ?電池切れかな。
彼女が、振ったり、叩いたりしている。
すると、ゆっくり動き出した。

不良品なのか、オネーサンにからかわれたのか、
レイカも、責めるようにこっちを見る、や否や、激しい動き。

首を高速で前後左右に振りながら、振動で血行がよくなりそうな、強烈バイブレーション!

ブラームスが、いきなりハードコアパンクに転調したような、奔放な動き。
レイカは、驚きながらも、その動きを受け入れ始める。

そうか、ファンタジスタ=常人の想像を超えた華麗なプレイ、ってことか。
頼れるヤツ。
現場は、任した。

「ちょっと、ぼくの話を聞いてくれる?」
「はいいい、い、い、い、いっ、いっ、い、」
ぶるぶるぶるぶるぶる

「きみは、人形扱いを嫌がっていたけど、自分から人形になってたんじゃないかな?」
「そんな、こ、ここっことととはな、あ、あ、い、い」
ぶるぶるぶるぶるぶる

「いつも誰かが、なんとかしてくれる」
ぶるぶるぶるぶるぶる

「おなかがすいたら、口をあけるだけで、誰かが食べさせてくれる」
ぶるぶるぶるぶるぶるぶる

「ドアを開けてくれる、靴下をはかせてくれる、パンにバターを塗ってくれる」
ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる

「自分では、なにもしないで!」
ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる

「自分から、お人形さんになったんじゃないか!」
「そんんんんんんんなああああああここことななあああああいいいいい」
ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる

「こころを閉ざしていても、いつかきっと、誰かが開いてくれる、って思ってるんだ」
ぶるぶるぶる~~ぶる~~んぶるるるるる~~ん

ファンタジスタの動きが変わった。

「ほんとうはこころを開きたいんだ、素直になりたいんだ」
「そそそ~~~んな~~あ~こととはあ~~」

「セックスも同じ。誰かが濡らしてくれるんじゃない。自分で濡れるんだ!」
(ぼく、力説中・・・なまいき?)

「湧き出る液こそが、生命だ。マグマだ。I need you.の爆発やぁ!」
(もう、ぼく、意味不明)
「素直になりたいのなら、自分で動かなきゃ。ほら、いまの、きみのように!!!」

レイカは、自分が強くにぎりしめた、ファンタジスタを見つめた。
ほら、自分で動けば、こんなに気持ちいい。
自分で動けば、こんなに自由だ。
自分で動けば、知らなかった自分に会える。
レイカは、、、気がついたようだ。

ファンタジスタのスイッチを切って、
「ありがとう、やっとわかった。ほら見て、わたしこんなに、濡れてる・・・」

部屋の床が、池。20年分の液を、いっきに出しきったようだ。
その池の真ん中に立つ美しい少女は、生まれたばかりのビーナスに見えた。

そして、レイカは、
「ねぇ、ヒトミくん、、、」
じっと、ぼくを見た。

「イレて。。。」


レイカは、彼女自ら開き、求め、受け入れ、動き、そしてイッた。
そしていま、ぼくの腕枕で、かわいい寝息をたてている。

ぼくとのセックスで、彼女は変わった。
彼女を変えることができた。
ぼくもすこしくらい成長したのかな、と思うと、うれしい。

「レイカ様、だいじょうぶですか?叫び声が聞こえたのですが・・・」
ドアの外で、キツツキが声をかける。

レイカは眠そうに目をこすりながら、
「そろそろ行かなきゃ」
と、撮影の衣装を身に着けた。

彼女はいま、自分の足で歩き始めたんだ!
部屋を出て行くとき、レイカが
「キスして」
と言った。

「いまのわたしはとても、I need you.なの」
そしてぼくらは、長~~いキスをした。

入れ替わりに入ってきたのが、ほら来た、神社のオネーサン。
今日はほめてもらえるかも。

「今日はほめてもらえるかも、」
このオネーサンは、いつも、ぼくの考えていることがわかる。

「なんて考えてたら、大間違いよっ」
あらま、叱られた。。。

「自分で動かなきゃダメなのは、誰?」
・・・・・。

「それを、今回学んだのは、誰?」
・・・そうだ、、、ぼく、です。

ぼくが、ぼくこそが、そうだったんだ。

いつも他人をあてにして、他人のせいにして、自分と向き合うことから逃げていた。
そのぼくがレイカを変えたなんて・・・10年早いです。。。

教訓③とにかく自分で動くのだ。

「ごめんなさい、わかりました」
ぼくのピエールをハイヒールのつま先でもてあそびながら、
「自分で女性を動かせるようになったのは、進歩ね。でもまだ、黄帯」
はいっ。
「これからよ、きびしいのは」
と、つぶやいた。

そうだ、先は長い。がんばろう。

に、しても、このオネーサン、ぼくの、敵?味方?
 
 
V モモコ編

| | コメント (3)

IV.レイカ編2:レイカの本心。

「ごめんなさいっ」
大慌てでドアを閉めたけど、嵐の予感、史上最大規模。
でも、(毛、見ちゃった)ムフフフフ。

「ちょっとあんたぁ!」
ほら、来ました。

「レイカ様になにしたのよぉぉぉ!?」
キツツキが、くちばしをとがらせている。

連行されたところは、もちろんレイカ様の控え室。
中に入ると、すでに嵐のあと。「ネギ騒動」の結果だ。

部屋中にイスが散乱し、テーブルの脚は重いローキックを一発食らったように、見事に折れていて、ぼくが運んできたプラズマテレビには、お昼のお弁当らしきものが激突している。
死体を運び出したあとの殺人事件現場、って印象。

「レイカ様、連れてまいりましたわ、このクソガキ、レイカ様になにを、」
としゃべり始めたキツツキのくちばしを、
「あなたはいいから、出てって」
と折り、ぼくをあの目でにらみつけた。

「もちろんですわ。ほほほ」
と部屋を出て行くキツツキの口が、
(BITCH!)
って動いたのを、ぼくは見逃さなかった。

ところで、これから、ぼくは?

「あんたねぇ、」
来た。

「見たでしょ?」
、、、見たけど、、、。

「わたしのトイレあけて、ただで済むと思ってるの?」
だってそっちがカギかけてないから、って言っても、ただで済むとは思っていません。。。

「なに見た?」
「・・・見てません」
「ウソついたら、舌抜くよ」
やりかねない。

「・・・毛」
彼女、いっきに真っ赤になって、
「なんで、そんなこと言うの!」
って怒鳴った。

「だって、ウソついたら舌抜くって、、、」
レイカ様、このアホ相手にもうやってられまへん、って感じで
「わたしをだれだかわかってるの?」
「レイカ様でしょ」
「様はいいよ」
「だって、みんなそう呼んでるけど」
「みんなそうやって、わたしをバカにしているの」


様、なのに?

「陰でなんて呼んでるか、知ってる?」
知ってる。“BITCH”でしょ。
でもいえないな。

「鬼姫」
そんなのもあるんだ。

「ひどくない?」
、、、そう、かな。

「みんな、裏と表。わたしに見せるほうが裏で、見せてないほうが表」
そう、だね。。。

ふと浮かべる顔は、寂しそうだ。
彼女こそ、ほんとうはこっちが表なのかも。

「ところで、」
またいつもの顔に、逆戻り。

「あなた、ほんとうにわたしのこと知らないの?」
「見たこと、あるような、ないような、、、」
「家にテレビないの?」
「あるけど、バイトが忙しくって」

腕を組んで、ああなんでこんなバカがうちのクラスに来たんだろ?と嘆く女教師のように「わたしは、レ・イ・カ。もう覚えたわね」
と言った、というより、叱った。

レイカは20歳、ぼくの1コ下、だそうだ。
怒っているときは、年上に見えたけど、そうじゃないときは、すこしあどけない。

むせかえるような匂いに部屋を見渡すと、10分で花粉症になれるくらいの花束。
でも、ぜんぶ花びらのところで、折られている。ひどい。

「これ、きみがやったの?」
くちびるを固く結んで、黙っている。

「よくないよ、こういうの」
ぼくが言ったら、
「だって、ぜんぶニセモノじゃん!」
と絶叫。
そして、静かに話し始めた。

「花をあげるって、どんな気持ちだと思う?」
好き、とか、おめでとう、とか、がんばって、とか。

「ここにあるたくさんの花束から、どんな気持ちを感じる?」
・・・なにも、感じない、、、なにも。

「ねっ、ニセモノ、でしょ?」
「そうだね」
ぼくは、うなずいた。

「気持ちのない花束って、生ゴミみたいだな」
って、ぼくがポツリともらしたら、レイカは初めて、クスッと笑ってくれた。
驚くほど、チャーミングな笑顔だった。

「きみ、かわいいね」
って、思わず言っちゃった。
かわいいのはあたりまえでしょ!って、また怒られるかなと首をすくめたら、
レイカ、床に落ちたバラの花くらい、真っ赤になった。

「ねえ、わたしが怖くないの?」
「そりゃ怖いよ、いつ怒られるか、わからないもん」
「そういうことじゃなくて」
ん?

「わたしが、有名なアイドルだということ」
アイドルって、怖いものなのか?

「誰もが、腫れものに触るように扱うわ」
様つけて呼んでみたり、か。

「デビューしたのは、3年前。その頃は、わたしもまわりも、こうじゃなかった。
芸能界なんて、右も左もわからないことだらけだったから、教わると、ハイっ!って。

デビューのときのキャッチフレーズが、氷の微笑女、よ。げげげ、よ。
クールな微笑み、召し上がれ、よ。げげげげ、よ。でも、ガマンできたんだよ。

わたしが売れてくると、わがままが許されるようになる。
こうしたい、って言うと、5秒でそうなる。

イヤっていうと、みんなわたしの機嫌をとろうと必死
あの人嫌い、っていうと、つぎの日には、その人はもういない。すごいでしょ?」

・・・・・。

「でも、みんなが怖いのは、わたしじゃない。わたしが働かなくなること。
わたしは、とってもお金になるから。わかるから、いつも大声出して、困らせてやるの」
ぼくには、その彼女の上げる声が、悲鳴に思えた。

「花と気持ちと、ほんとうに欲しいのは、どっちだと思う」
うん、ぼくにも、わかるよ。

「でも、レイカには気持ちなんかいらないよ、って思われてるみたい。
わたしはお人形だから。逆らうとたたられる、呪いの人形だから」

でもぼくには、人形には見えないなあ。
だって、さっき彼女の「毛」を見たとき、ぼくのピエールは、直立不動だったから。
人形じゃ、タタないもん。
・・・とは言わなかったけど。

「ところで、ヒトミくん」
ぼく、名前教えたっけ?

「きみ、わたしのこと、濡らせる?」
濡らせるって、、、?

「アソコを、ぐじゅぐじゅのべとべとのぐちょんぐちょんにできる?って聞いてるの」
そんな顔で、そんなこと、言わないでよー。
こんどはぼくの顔が、バラ色になる番だ。。。
って、まさか!?

「そう、わたしは、例の女」
それ、早く言ってよぉ。

~つづく~

| | コメント (1)

IV.レイカ編1:人形の反乱。

「おはようございま~す」

午前8時にスタジオに入ると、学校の体育館くらいかなあ、の広い場所でたくさんの人が働いている。

今日は、コマーシャルの撮影現場のバイトだ。
荷物を運んだり、お茶を替えたり、そういうことをすればいいらしい。

まず現場チーフみたいな人に指示されて、衣装を運ぶ。
ふだんなら、スタイリストさんだけで運べる量なんだけど、今日は特別、と言う。
そのつぎは、大きな革張りのソファ。
そのつぎは、重いなあと思ったら、マッサージチェア。
そのつぎは、たぶん50インチ以上あるプラズマテレビ、Wiiとプレステ3付き。

なんだっけ、今日のバイト・・・引越し?
朝錬を終えたみたいに、もうヘトヘトだ。

「バイトく~ん」
呼ばれた。

「は~い」
用事は、
「ちょっとコンビニでお茶買ってきて。でもクライアントの商品じゃなきゃダメだよ」
今日のクライアントは、飲料メーカーだ。
なるほど。タイヘンだな、大人の世界。

大きなペットボトル10本かかえてスタジオに帰ってくると、なんか雰囲気が、、、。
さっきまでの、仕事場らしい小気味いい緊張感が、イヤなピリピリムードに変わっている。

原因は・・・あ、あの人だ。黒いスーツ姿のオバサン。タレントのマネージャー。
やさしそう、って生まれてからいちども言われたことがないような、そんな顔。


「あなたがたは、今日誰と仕事をするのか、おわかりになってるの?」
ヒステリーとヒストリーは似てるな。なんとなく雑感。細面。くちびるをとがらせた感じ。そうだ!キツツキ。

「大切なレイカ様がこのことにお気づきになったら、わたしがどんな目にあうと、」
このことって?

「スタジオ内禁煙って、申し付けたはず!」
ははーん、誰かが、一服しちゃったんだ。

「バイトく~ん」
チーフにまた呼ばれた。

「ファブリーズ買ってきて!」

ぼくが30本のファブリーズを買って帰ってきたら、全員で消臭大会。
よっぽど今日のタレントさんは、タバコがダメなんだな。

30分後、ようやくキツツキからOKが出て、あとは到着を待つばかり、、、
なのに、ぜんぜん来ない。
ほんとうは11時にスタジオに入る予定が、12時、1時・・・まだ来ない。

みんなおなか減ったし、待ちくたびれた。
すると、
「レイカ様、お入りになりまーーす」の、あせった声。

キツツキにも連絡がなかったみたいで、
「出るとき電話しろって言ったのに、、、あのBITCH!」
ってもらすのを聞いた。
大切なレイカ様、って言ってたくせに、ヤなオバサン。

「ケータイのスイッチは、かならず切っておくことぉ!」
とあらたな指令が飛ぶ。

まもなく、タレントはお付きの人を10人くらい従えて、スタジオ入り。
おおきなサングラスで顔を隠していても、100メートル離れてもわかるくらい、不機嫌。

おまけに、くわえタバコの歩きタバコ。あれぇ、タバコがダメじゃなかったの?

キツツキが思いっきり猫なで声で「レイカァ、おはようん、よく眠れたぁ?」
って、2時だよ、午後の。

そのサングラスの子は返事の代わりに、タバコの煙をマネージャーに吹きかけて、
「おなかすいたんだけど」
と言った。

「そうよね、おいしいもの食べないと、いい仕事できないわよねっ。気が利かないわねー、今日のプロデューサー」
ニセモノのほほえみを浮かべたマネージャーのひと言で、いきなり、お昼休みになった。

バイトの楽しみは、なんたってお弁当だ。焼き魚。今日は紅ザケ。
あと、卵焼きと、ポテトサラダと、たらこと、野菜の煮物と、お漬物。

いただきます。
うん・・・おいしい。大好物なんだ、サケ。
おかあさんが、よく焼いてくれた、、、おかあさん、が。
(おかあさん、元気になって、またお弁当つくってよ!)

箸を止めてうつむいてたら、スタジオ中に鳴り響く怒声。
続いて、なにかが壁にぶつけられて割れる音×8コ。

タレント控え室から、例のキツツキが飛び出してくる。
「お弁当の責任者出しなさいっ!」
キレまくっている。
細い目が、10時10分の時計の針くらいに吊り上っている。

大事件の予感に、プロデューサーたちが、血相を変えて駆けつける。
なんだろ・・・。みんな、息をひそめて、遠まきに見ている。

「ネギよぉーーーーっ!」
ハァ?

「なんでネギが入ってるのよぉーーーっ!」
味噌汁の中のネギ?

「ネギが!ネギが!ネギが!ネギが!」
マネージャーは、ネギ!を100回以上叫んだと思う。

こういうことだ!レイカ様はネギがお嫌い、だそうだ。
だから、食事にはくれぐれもネギを入れないようにと言ったはず、だそうだ。
ネギアレルギーで死ぬ、というわけでもないなら、嫌なら食べなきゃいいだけなのに。

プロデューサーは、0.3秒で土下座できます、の前傾姿勢で控え室に飛んでいって、あたまを味噌汁で濡らして戻ってきた。

「・・・でも、撮影はできそうだ」
と、無理して笑って見せた男のほっぺたに、ネギ。

やっぱり大人はタイヘンだ。
(にしても、あの子、いったい・・・)

ようやくたどり着いた、撮影本番。
またここからひと騒動なんだよなー。ほんとに、こまったちゃん・・・。

コマーシャルのストーリーを一枚にしたものを、絵コンテというそうだ。
その絵コンテを、演出家が彼女に説明していると、突然(今日は突然が多い日だ)ぎゃははははははははは、って爆発するように彼女が笑い出した。

こんどはなんだろうと近づいてみると、彼女、絵コンテを指差して爆笑中。

「だってだって、コーヒー飲んでハイタッチする?そんな人、地球上にいる?」
そこで急に笑いを消して、
「バカじゃないの」
おおこわ。でも、たしかにヒドイ、このコマーシャル。

缶コーヒー飲んだ彼女が、あまりのおいしさに、友達とハイタッチする。
しかもそのときのセリフが、
“Congraturations!“ってねー、、、思わず、ぷぷぷ。

その笑い声に振り向いた彼女と、初めて目が合った。

印象と違う、濁りのないきれいな目だった。
すぐに、無視されたけど。まわりにいる大人たちに、激しくにらまれたけど。

彼女のケータイが鳴った。
着メロは、「マイウェイ」だった。・・・ピッタリかも。
待てよ、ケータイ禁止じゃなかったっけ?

「うんうん、ダイジョーブ。いま?ムカつく仕事中」
そうか、ほかの人はタバコもケータイもダメで、彼女だけOKなのか。
ふ~ん、なるほどね。

「そう、バカばっかり」
悪かったね。

「今日はFUCKな仕事、明日もFUCKな仕事、あさってもFUCKな仕事」
スタッフみんなに聞こえよがしにしゃべりながら、また控え室へ戻ってしまった。
なんなんでしょ、ったく。。。

なーんにもしないうちに、また休憩時間。
プロデューサーや代理店の人が、彼女の説得に行ったまま帰ってこない。
スタジオの空気が、重苦しくて、息苦しい。
気分転換に、オシッコしてこよっと、ってそれ気分転換か?

長い廊下をウロウロしているうちに、やべっ、、、も・れ・そ・う・だ。
そんなとき目に入った、TOILETの文字・・・助かった。

大急ぎでドアを開けると、いきなり便器、はいいのだが、、、その上に腰かけてパンツもひざまで下ろして〇出しで→→→レイカ様!

彼女は、大きな目を、瞳がまぶたからこぼれおちそうなくらい思いっきり見開いて、ぼくをにらみつけている。

~つづく~

| | コメント (1)

III..アユ編3 :二つの顔。

どうかなぁと思いながら、下を見ると、
アレ、もう、タワー。

「考えるな、カラダに聞け」でしたよね、ツバサさん。

「では、どうぞ」
と、ベッドの上に横たわるアユさん。
攻められてばかりいたので、受身になられるのは慣れてない。

「では、よろしくお願いします」
と、とりあえず一礼。

よし、とにかく攻めるか、でもどうしよう、わからんじゃないか、
あ、まだビデオやってる、そうだ、マネしちゃお。

ふむふむ、胸をうしろからわしづかみにしながら、チクビの先を指でタッチして、右足を相手の足にからませ、あいたほうの手を下半身へ、ってツイスターゲームだな、まったく。

足がつりそうになっちゃった。
ビデオの中では、順調なのに。
さすがプロの男優さん、って感心している場合か。

でも、そのとき気がついたこと。
彼女は、神社のオネーサンやツバサさんのように、ぼくを激しくリードしたりはしない。
でも相手の動きに沿うように、からだをあわせてくるような。

たとえば、ぼくが右に動けば、少し先回りして、ぼくが気持ちよくなるような体勢で、受け止めてくれるような。
ぼくがアレにキスしてほしいと、腰を数センチ動かしただけで、もうぼくの下半身に顔をうずめている。

彼女のアソコに触れようと、指を1センチ伸ばしただけで、指がより深く届くようなアングルで、待ち構えていてくれる。

彼女のすばらしさは、こんな場面でも生きている。感動。

でも、このセックス(女性を、カッコさきにイカせるカッコ閉じる、ってケース)では、ヤバイ。
だって、彼女の動きは、ぼくの動きをサポートするようで、実はぼくの自由を奪っている。

つぎの動きを先回りして、封じこめながら、完全にコントロールしているのだ。
ツバサさんのような剛の技ならば、チカラで抗うこともできるかもしれないが、こんな柔の技に対する術など、この白帯くん(自虐)にあるはずもありません。

彼女のコントロールのもとで、ただひたすら気持ちよくなっていくばかりだ。
・・・ほら、気持ちよくなってきっちゃった。。。

ヤバイヤバイ
(わ!舌の先をとがらせて)

キモチイイキモチイイ
(ダメだよ、そこはオシリ)

ヤバイヤバイ
(意外と、、、わるくない)

キンンンモチイイキキキモモチイイ
(あ!どうにでもして)

でもヤバイでもキモチイイ
(まだイレてもいないのに)

でも・・・そんなのドーデモイーそんなのドーデモ~イ~イ~イ~イ~イ~
(まだイレてもいないけど)

でもそんなのドーデモイー
(そうは言っても、どーでもよくはないどーでもよくはない、、、こっちの声、、、ちいさい)

でもそんなのドーデモ、、、もうギリギリ。
そんなとき、アユさんが目にはいった、、、いつもとちがう、いつもの顔とちがう、どうして?

「もしや、そういうことでは!」

ぼくはある真実を、どうしても確かめたくなった。
そして彼女の両足を開き、上に覆いかぶさって、アレをさらに、ア・リトル・ハーダーにして、チェックイン!しようというのだ。

彼女は突然のぼくの動きに、驚いた表情を浮かべかけるが、それを中断させるように、、、
イン!


やっぱりそうか!!!

そのときのアユさんの顔を、ぼくは一生忘れない。

切れ長の目は、興奮に充血し、視線は宙を舞っている。
ぽてっと厚い唇は濡れて光り、吐息の分だけ開いている。

予感は、予感をはるかにこえて、あたった。

なんてすてきだ、なんてすばらしい、なんてすけべだ。
こんないい女、歌麿じゃなくてもガマンなんかできない。

わたしでよかったら、の地味顔(失礼)が、これほどまでに悩ましく化けるとは!!!
ちがうぞちがうぞ、化けたんじゃない、これは彼女がはじめから持ってたのだ。

ぼくが、どうしても確かめたかった真実。
女性の顔は、ひとつじゃない。

セックスしてるときと、してないとき。
どっちもホンモノ。どっちも彼女。

その人のすべてなんて、からだをあわせて、こころをかさねてみないと、けっしてわからないんだ。
そう確信した瞬間だった。

アユさん、ぼくはいまのあなたを、あなたに見せたい。
あなたは、こんなにすてきだ。

もう二度と、「わたしでよかったら」なんて言わなくていいよ。
自信を持って、自分の名前を言えるから。

わかった。

アユさんとセックスしてきた男たちは、ぼくの下で、甘い声でアエギ声をもらす、この悩ましい女に会いたかったのだ。
この、いまのぼくのように。

アユさん、聞いてくれ、
あなたはすばらしく、
(そして耳元で、そっと告げた)、

「エロチック、だ」

・・・彼女は微笑むように、イッた。
その寝顔は、タイかどこかの仏さまのようだった。

「やるねー」
また、来た。

仏さまのあとは、神社のオネーサン。
なんで部屋のカギ持ってるんだよう。
そんなぼくの無言の抗議も、もちろんおかまいなしに、

「けっこう素質あるんじゃないのー」
と言って、スタンプ帳にハンコを押してくれた。

「ヒトミくんは、今回とてもいいことを学んだ」
それは?

「教訓②女の顔は、ひとつじゃない」
それ、ぼく、さっき言ったじゃないですか。

「セックスの前かがやく顔と、セックスでかがやく顔」
確かにそうですね。

「それに気がつけば、セックスは何倍も楽しくなる。もっと女を愛せる」

上級者男子になると、セックスのときの顔をあらかじめ想定して、その顔から逆算して、シテみたい女性をチョイスできるようになるそうだ。
スゴイ。
ぼくもそこまでなれるのだろうか?

「まずは、女性を好きになることね」
どういうこと?
ぼくは女性を、好きじゃないの?

「それは今後の展開の中で」
展開?

「ひとつごほうびを、あげましょう」
なんだろ。

「ヒトミくんのアレに、ピエールという名前をプレゼントしましょう!」
ちょっとぉ、なに勝手に、ネーミングしているんですかぁ!

「これからもヒトミくんをよろしくね、ピエール」
オネーサンは、ぼくのアレをむぎゅっとつかんで、2371号室から出て行った。

・・・ピエール・・・か。
「なあ、」
ピエールに話しかけてみた。

「セックスって、いろんなことを教えてくれるよな」
ピエールは、黙って聞いている。

「でもそれって結局、人が教えてくれているんだなあ」
感謝だよな、と思いながら、エッチビデオの続きを見た。
 
 
IV レイカ編

| | コメント (2)

III..アユ編2 :アユの美人論。

もとの自信なさげしゃべり方に戻って、
「わたしの話でよかったら聞いてくれます?知ってもらったほうが、いいかも。
どうせあとで、アンナところをぐじゅぐじゅしあったりするわけですから」

・・・ぐじゅぐじゅ、、、しあったり、、、まあね。

そして彼女は、不幸な身の上話をするような表情で、話し始めた。
それはたしかに不幸なものだったけど。

「名前はアユ。年齢はヒトミくんより3コ上。職業は区役所の戸籍窓口で、夕方からの本屋さんは、ないしょのアルバイトなんです」

キャバクラでバイトしてるかのように、ひそひそ声だ。
それにしても、地味なまいにちなんだろうなぁ。

「じつは、アユって名前自体が、コンプレックスなんです。飲み会でも合コンでも、自己紹介するたびに、自分の名前を言っただけで、笑われる。クスクス、って。そのクスクスが、後ろゆびを指されているような感じで、つらい」
どういうこと?

「名前があの歌手と同じだけで!」
そうか!

「でも顔がちっとも似てないだけで!
わたしの顔には華がないというだけで!
ぜんぜん目立たない地味な女ってだけで!」
けっこう充分なような・・・。

「そもそもあっちは、アユミじゃないか!こっちは正真正銘のアユだ。ホンモノだ」
ニ・ニ・ニセモノは、あっちだあ、、、

「ですよね。ぐすん。それでも、まあいいっか、いつか慣れなきゃって、いちど飲み会で、同じアユでもおいしく太らせたアユで~す、って自己紹介したら、男子チームの一人が、アユっていうよりフナだなあって、、、
牛次郎北綾瀬店、店内大爆笑。

店長からカルビ5皿サービス。」
ひどいこと言うなぁ、、、うまいこと言うなぁ。

「・・・顔も名前も、大嫌い」と目を伏せた。

彫刻刀で、すっ、と切れ目を入れたような細い目。
低くて小さい鼻。唇ははれぼったく、歯並びはきれいだ。
そんなパーツが、ややしもぶくれの顔についていて、全体的な印象は、比較的上手にできた福笑い?失礼。

いずれにしても、どうやらぼくは、この人とセックスしなきゃならないのだ。
ぼくにできるかなあ。心配。

というのも、彼女ちっとも楽しそうじゃないから。
顔が地味だとかじゃなくて、ぼくが悲しみをしょいこんで、アレをドカーンとタタせられるかということ。
きびしい戦いになりそうだ。

第2戦にして、早くも窮地かヒトミくん!っていうか、ぼく。
「ちょっと話を変えるけど」
いいですよ。

「ヒトミくんは、どんな本を読むんですか?」
漫妻以外にですか・・・。

「作家は誰が好き?」
うーーーん。

「じゃ作品は?」
うーーーん。

「急にごめんなさい。書店で働いていると、ついつい気になって」
『ノルウェイの森』の、主人公が外で口でヌイてもらうところは好きなんだけど、とか言えないしな。

「わたしは時代物が好き。山本周五郎先生や藤沢周平先生。潔くて、細やかで、あたたかくて、せつなくて、なによりも・・・」
なによりも?

「登場する女の人たちの顔が、わたしに似ている」

どうもこういうことらしい。
アユさんが話してくれた、ある時代ものの作品の一節の、美人を表現したくだり。

(うりざね顔に、切れ長の目は、真一文字に涼しげで、鼻は小さく愛らしく、ぽてっとした唇が男心をそそる。。。)

「ねっねっねっ、それ、わたしでしょ?」
たしかにそうかも・・・。

そういえば浮世絵の女性たちって、みんなアユ顔だ。
21世紀には地味でも、江戸時代には美人顔だったってことか。

「世が世なら」
300年早く生まれてたらですけど。

「遠くさかのぼれば、万葉!天平!」
1300年早く生まれてたらですけど。

「アユって名前で笑われることもなかったはず!」
あっちのアユも生まれてませんが。

「ああいまが江戸時代だったらいいのに!」
それムリですが、、、

「みんなの価値観が江戸時代に戻ればいいのに!」
まったくムリですが、、、

「昔はマグロのトロだって捨ててたって言うし」
論理にムリがありますが、、、

「だからわたしは、ライフワークとして、江戸時代研究家を目指しているの」
見せてくれたぶあつい学術書には、彼女の長い論文が載っていた。

題名は「美人の宝庫、江戸」・・・学問って、執念なんですね。

見た目で判断しちゃだめだよ、と言う人がいる。
でもすくなくとも、自分の見た目にまったく自信のない人は、そうは言わない。
地味顔の人が、人を見た目で判断してはいけないとは、なかなか言えない。

見た目がすべてではないけれど、見た目で気持ちが動くのも、やっぱりしょうがない。
ぼくだってアユさんの、外見を見てた。それどころか、印象にすら残ってなかった、、、し。

でもでもでも彼女みたいに、自分からそのトラップに捕らわれているのも、どうだろう。
こうして公園のベンチに腰かけて話をしているあいだにもわかる、彼女のこまやかな心遣いや、状況が読める頭のよさ。
それだけで、とてもすてきなのに。

「それでね」
さっきまでうつむいていたアユさんが、急に顔を上げた。

「この休み時間中に済ませておきたいのですが、例の件」事務的な言いかた。
セックスしましょう、ってことなのに。
う~ん、さすが区役所職員。

「でもわたしこう見えて、けっこう経験豊富なんですよ」
いきなり、そっちの話ですね。

「みんな誘ってくれるし、誘われると断れないし」

それ、いいように使われているのでは?
わたしでよかったら、が、ダメなんです!

でもアユさんは、「例の女」だ。同情も油断も禁物。
と、気分をハードボイルドにしてみた。
ついでにアレをハードコアにしてみた。ア・リトル・ハーダー。

ラブホテル街への道すがら。アユさん、
「飲み会とかで酔っぱらって、わたしとそうなっちゃう人がいるんですね、ウッカリさんですね」
自分で、ウッカリさん、なんてこと言っちゃダメ。

「すると翌朝わたしを見て、やらかしっちゃったー、って顔をするんです」
だから自分で言っちゃダメ。
あと、その男の顔マネしなくていいって。

「酔っぱらったつぎの朝、いつのまに買って食べたかわからない焼きそばが、テーブルの上にあったみたいな」
なるほど、、、っておい。

「そういうときは、最初は悲しかったけど、このごろは、いいの、わたしでよかったら、って思えるようになったから」
また、言った。

でもそれが本心でないことは、彼女の、遠くを見るようなまなざしでわかる。
しかしホテルに着いてからの、彼女の動きは敏速だった。

はずかしいことに、ぼくはこういうとこ、初めてなんだ。
あとついて歩くカルガモのヒナみたい。

彼女はラブホテルのロビーのパネルを操作し、フロントの小窓から鍵を受け取り、中のおばちゃんと昨日の「めちゃイケ」の話で盛り上がり、、、
いったいどういう関係???

3階建てなのに、2371号室。んんん、、、じ・み・な・ひと、、、か。
これは言わないようにしよう。

部屋に入ると、アユさんはすぐにテレビをつけた。
エッチチャンネル。
テレビの中では、もうハァハァやってる。

「これ見て楽しんでてくださいね」
ってバスルームに入って行った。

あれれれ?
(エッチビデオまかせかよー)
となまいきな、2戦めの新人。

そのくせ、じーーーーーっと見てたけど。

アユさんがシャワーから出てきた。
バスタオルを巻いただけの姿。

くびれの→ない腰。
豊満な→下半身。
スリムな→胸。

むむ、顔も地味だが、からだも地味、なんですね。

「どう?おおきくなってきました?」

~つづく~

| | コメント (1)

III..アユ編1 :地味めの人。

「ごめんなさい、わたしで」

いきなりの声に、おどろいてあたりを見まわした。
いつも立ち寄る本屋さんのレジ。

ぼくはいまちょうど、本を買おうとしているところ。
ふつうなら無意識のうちに過ぎていく時間が、とつぜんの不思議な一言でポーズがかかったみたいだ。

声の主は、どうも、店員さん。
見覚えないけど、レジの中にいるのだから、制服を着ているのだから、そうなんだろう。

黒縁めがねの女の人。ぼくより2、3コ上かなあ。
この店の店員さんは、そっかあ女性だったんだ、って初めて気づくくらい、ふだんの印象がない。

たぶん、昭和にできたそのままで、蛍光灯がうす暗くて(節電のためか、半分はずしてある)セピアに沈んだ店内の、そのセピアに溶けこんで輪郭がぼんやりするくらい、地味な人。
カバーをはずした文庫本みたい・・・本屋さんだけに、、、ぷぷぷ。

「たとえばそのエロ雑誌」
ぼくが買おうと手に持っている「漫スリー浮気妻の仰天告白あなたごめんなさい11月号」を指差した。

ぼくはあわてて後ろ手に隠した、って意味なし、買おうとしてたくせに。

そうなんだ、駅前の書店はかわいい大学生のアルバイトで、そこで「(略)漫妻」買うのははずかしいから、エロ関係に限ってここを利用することにしてたんだ。
でもこの人だって女性・・・たしかに失礼だよな。ごめんなさい。

でも彼女は、すべてを理解しているように、
「男の人たちが買いたいものを、何も気にしないで買える。お店の売り上げも、そのぶん上がる」
と微笑んで、
「わたしでよかったら、それでいいのです」と言った。

なんかいきなり許されちゃった。
ところで彼女の「ごめんなさい」とはなんだろう?

「ちょっと時間ありますか?いまから休憩なんです。ヒトミくんにとってたいせつなことだから、わたしでよかったら、」

わたしでよかったら、は口癖かなあ。

でもどうして、ぼくの名前を???
たいせつなことなら、もちろん付き合うけど。

「その前に、980円です」
きょとんとするぼくに事務的に、
「漫妻」
と言った。

ぼくは真っ赤になって、大慌てで、1000円札を渡した。

近所の公園。
アユと名乗るその人は、書類のようなものを取り出して、読み始めた。

「名前はヒトミくん。このストーリーの主人公ですね。」
オイオイ、ストーリー&主人公、ってどういうことだ?

「気は優しくって、根性なし」
ほっといてくれ!

「先日ついに、待ちに待った衝撃の初体験を果たす」
そうなんだよなあああうれしかったなあああ、って、誰に聞いたの?

さらに
「おかあさんをの命を救うために」
そうなんだけど、そんなことまで、その書類に書いてあるの?

「いにしえからの一族の宿命と戦うことになる、らしいですね」
らしいのですか?ぼく???

なかなかできないことです。すばらしいことです」
・・・ありがとう。

「つきましては、例の件ですが」
ぼくは何のことやらわからず、聞いてみた。

「例の件って・・・」
アユさんはあきれたような顔をして、
「このプロフィールにも書いてありますが、あなた、そうとうな鈍感ヤローですね」
鈍感ヤローですが、、、

根性なしで、鈍感、、、サイテー、、、
「では、復習しましょう」
はい。
「ストーリーは、次のようなことですよね」
ってまた書類に目をもどす。

でも、さっきからでてくるストーリーって?ぼくが?な顔をしたら
「わたしの話はつまらないですか?」
・・・いいえ。

「おかあさんがいま生命の危機にある」
そう。

「そんなとき一人の女性が現れて、さまざまな敵、カッコ女性カッコ閉じる、を撃破するカッコさきにイカせることカッコ閉じる」
ややこしいから、「カッコ」はいいですよ。

彼女はさらに読みすすめる。
「ヒトミくんは、初体験を通過して、一人前に女を知ったつもりになっているが」
スミマセン。

「まだ戦いは始まったばかり」
ちょっと油断してました。

「これからつぎつぎと、セックスの黒帯たちが現れます。用意はできてますか?」
・・・はい。ほんとは、いいえ。

「おかあさんを助けようとするヒトミくんに、つぎつぎと襲いかかる女たち!」
サスペンスドラマのナレーション口調!ドキドキ。

「そして二人めの使者は、」
めがねの黒縁をきらり光らせて、じっとぼくの目を見た。

「わたし、アユ」

キターーーーーっ!!!!!!!!!

~つづく~

| | コメント (0)

II..ツバサ編3:ツバサが飛んだ!

めくるめく(こういうケースで使うんだ、この言葉)快感が快感が快感が→どうかなっちゃいそうだ。

「なにぼーっとしてるの」
大急ぎで現実に戻ると、ツバサさんがまたコワい顔。

「セックスは、気持ちよくしてもらうだけじゃないの。気持ちよくしてあげるの。ぼくが気持ちよくしてあげよう×わたしが気持ちよくしてあげよう=相手を思いやる気持ちが、ふたりでらせん階段を駆けあがるように、∞につれていってくれるの」

「・・・ごめんなさい」
「キミならきっとできる」
ツバサさんはぼくの手を、ほほから胸、胸から腰、そしてアソコへと導きながら、ゆっくり足を開き始めた。

「ヒトミくん、触ってみて」
さすがにすこし、はずかしそうだ。

「早くぅ」
ツバサさんが、ウイスパーヴォイスで、せかす。
ぼくはコワゴワ右の人差し指で、アソコのまん中あたりに触れてみると、うわあ、いきなり口を開けて指をくわえこもうとした。ぼくは、おったまげた。
(なにかいる!中になにかいる!)

ツバサさんは、面白そうに笑っている。
「こりゃなんだ、どうなってんだ、でしょ?」
ぼくはうなずいた。

「でも、ヒトミくんのアレを見て。どういう状態になってる?」
・・・タッてる!

「アタマでは拒絶しても、カラダはそうじゃない。生命と生命がひかれあうって、こういうことなの。脳で考えちゃダメ。ほんとうに大切なことは、カラダに聞けばいいの」

ツバサさんの教え①
考えるな、カラダに聞け。

「さあ、ココにイレるのよ。考えないで。カラダの欲しがるままに!」
よしっ。

「あなたがイレないと、なにも始まらないの」
いつのまにか、コンドームがつけられている。
頭の中では、ツァラトストラかく語りきが響いている。

ジャーン ジャァーン ジャァアーン・・・ ジャッ、ジャアァーーンッ!!!

先へ、進むだけ。
ツバサさんの入り口に触れた。
でも、もうコワくない。
だってカラダが前に、行きたがってる。

さっきのように、ツバサさんの粘液がからみついて来ても、アソコの中にとんでもない魔物が住むとしても、素直に身をまかせよう。

>>>入りました。
ツバサさんは微笑んで、口のかたちだけで(オメデト)っていってくれた。。。

ぼくは、ツバサさんの熱をダイレクトに感じている。
いわゆる「体温」など、ヒフの表面温度にすぎないことが、よくわかる。
これが、ツバサさんの生命の熱だ。

「さあ、動いてみて」
ぼくは前後に動いてみた。

「こう、ですか?」
ツバサさんは返事をしない。かわりに甘い息をもらす。
つまり、たぶん、これでいいのだ。

イレヌキイレヌキイレヌキイレヌキイレヌキ/秒。
アタマの中が、真っ白だ。
そのかわり、カラダが言葉にならないものを、精いっぱい感じていた。
なるほどこれが、①考えるな、カラダに聞け。なんだ!

「さあいくわよ」
ツバサさんは、カラダを上下入れかえて、マウントポジションをとった
(もちろん入ったまま)

遊びの時間は終わったのよと言うように、ぼくの上で腰の動きを激しくする。
低く散発的だったツバサさんのアエギ声は、打ちこまれているかのように、高くはやく正確にリズムを刻む。

ツバサさんの動きに呼応するように、教えられてもいないのに、ぼくが動いている。
自分が気持ちよくなろうと動けば、相手も気持ちいい。
相手が動けば、自分も気持ちいい。

そうか!セックスはコミュニケーションなんだ!
(き・も・も・ち・い・い・い・・・)

ああどうしよう。
いっちゃいそうだ。
待てよ。ガマンできない。ダメだよ。
でも腰が、腰が、腰が止まらないんだよ。
おかあさーーーーん!

ツバサさんの、胸で揺れているストップウォッチが、残り時間を告げている。
30秒。

こうやって二人は、高めあいながら、らせん階段を昇っていくんですよね。
たまんないです。
えええい、ぜんぶ出してしまえ。

どうなっても、構うもんか!・・・おかあさん、ごめんなさい。。。それはダメだ。
残り20秒。

ツバサさんを見上げると、なぜか苦しそうな顔。
その腰の運動は、激しさを増すばかりだというのに。
アエギ声はうなりを上げているというのに。
きれいなかたちの胸も、大きく波打ってるというのに。
(もしかしたら、そうなのかも)

ある日突然、帰って来なかったおとうさん。
カラダを離せば、ひとはどこかへ行ってしまう。
カラダをひとつにすれば、どこへも行かない。
すくなくともその間は。
だからみんなとセックスを?

でも、ツバサさんの閉じている目が探しているのは、声を張りあげて呼んでいるのは、きっとおとうさん。

ん、待てよ、この感じ、なんだっけ?昇る?高く?
これは、ツバサさんのこの動きは、このアエギ声は、そうか、そうだ!
滑走路で加速する飛行機そっくりだ!

つまりツバサさんは、いま、離陸しようとしている!
あと15秒。

いまぼくにできることは、そう、ひとつしかない。
ぼくは両手をツバサさんの脇のあたりに差しいれて、つまさきを太ももにピッタリあてて、4つのポイントを決めた。

離陸する瞬間に向かって、加速を止めないツバサさん。
声をかける。
一瞬目があう。

「レディ?」
ツバサさんが、うなずいたように見えた。
「ゴー!」

ぼくは、両手両足にちからをこめて、ツバサさんを高く上空へと持ち上げた。
子供のころやってもらった、「ヒコーキ」だ。

ぼくは自分のおとうさんの顔を知らない。でもヒコーキされた記憶がある。
楽しかった。頼もしかった。
身を委ねられる、大きな存在を感じた。

パイロットのお父さんがやらなかったはずはない。
今日はぼくに身を委ねてください。おとうさんの代わりはできないけれど。
残り10秒。

「飛んでる・・・パパ、わたし、飛んでるよ。飛べたよ、わたし、飛べたんだよ」
ツバサさんが、はるか上空から叫んでいる。
離陸、成功。

「ありがとう、パパ。会えるよ、もうすぐ会えるよ」
こぼれる涙が、ぼくの顔も濡らす。
残り5秒。

必死にこらえていたものが、爆発しそうだ。
ごめんなさい、おかあさん、でもこんなに女のひととわかりあえた。
他人のためになれたんだ。
おかあさんならほめてくれる、、、あああ、もう、イキマスデマスゴメンナサイ。

そのときなんとツバサさんまさかの墜落!
気を失ったようだ。
まるでけん玉棒と穴のように、ツバサさんのアソコがぼくのアレに、スコーンとスポッとズボッと、とにかく>>>>>入りました。

ツバサさんは、薄目を開けてぼくを見て、
「ありがと、う。がんばって、ね」

そして、おちた。
満ち足りた、やわらかな寝顔だった。
胸のストップウォッチは、残り1秒を指していた。

ツバサさんを寝かし、大の字になって、部室の天井を見上げる。
たしかに忘れられない日になりそうだ。
そのとき、視界に飛びこむ顔!

あなたは!
「今日はいったいなんの用ですか?」
「今日は、たまたま勝てたけど、」
神社のオネーサン登場。

「いつもラッキーはないわよ」
と言いながら、スタンプカードにハンコを押してくれた。

「これ、持って行きなさい」
バイブ?

「名前は、ファンタジスタ。あなたひとりじゃ、頼りないから」
とりあえず、ありがとう。

「いい動きするよ。動くために生まれてきたんだから」
オネーサンは、ウインクして出て行った。

ほんとうに始まったんだ。
つぎはだれだ。

ぼくは、ファンタジスタをにぎりしめたまま、立ちつくしていた。
全裸で。だらーんとさせて。
 
 
III アユ編

| | コメント (4)

II..ツバサ編2:ツバサのヒミツ。

青山のイタリアンレストラン。

「ところで、夢がかなったって、なんですか?」
「今日、CAの内定をもらったの、外資系だけど」
「うわあー、おめでとうございますっ!ツバサさん昔から、CAに憧れていたじゃないですか。なるほど、憧れで終わっちゃダメなんですね」

お調子者のぼく。うれしそうなツバサさん。
ワインでちょっとほほが色づいている。
太陽の下とはまたちがう美しさだ。そういえば太陽の下でしか見たことなかったし。

「なぜわたしがCAになりたかったのか、知ってる?」
ぼくが首を振ると、ツバサさんの話が始まった。

「パパは、パイロットだったの。過去形。わたしが5歳のときに、死んじゃった。訓練中の墜落事故」

レストラン中の、音が消えてしまったみたいだ。
「パパは空と飛行機が大好きだった。だからわたしの名前もツバサ」

そうか、サッカーのほうじゃなかったんだ。
「だからわたしは誓ったの。パイロットにはなれないけど、いつかはCAになって、パパとおなじ大空を飛びたい、飛ぶ、絶対飛んでみせる、って」
ぼくのかなえたい夢はなんだろう?

「ツバサさん、やっぱりすごい。おとうさん、喜んでくれますよ、きっと」
「そうだといいな、パパ、待ってくれているかな」
そして、遠い目で、窓ごしに夜空を見上げた。

トマトのタリオリーニも、うにとじゅんさいの冷製カッペリーニも、乳のみ子羊の香草焼きも、イサキのアクアパッツアも、たぶんおいしかった。たぶん。
ツバサさんとお皿をとっかえっこしながら食べてたら、もうそれだけで、幸せでおなかいっぱいになった。

満足いっぱいで、にやにやした顔していたら、ツバサさんが目を閉じて、くちびるを強くかみしめている。
(ぼく、はしゃぎすぎちゃったかな、、、)

「ホントはね、飛行機が怖いの!パパが帰って来なかった日のこと、いまでもよーく覚えている。ずっと待ってた。その日からわたし、ひとと離れるのが怖くなった。そしてその日からわたし、いつの日かパパを裏切った飛行機に乗り込んで、仕返ししてやろうと決めたんだ。飛行機が好きでCAになるんじゃない。アイツが、憎くて憎くて・・・」
涙で言葉が続かない。

ぼくは手をのばして、ツバサさんの手に触れた。
なにも言えずに黙っていたけど、ホントはこう言ってあげたかった。
気持ちは、よくわかります。でもそういうの、屈折してる。ツバサさんには、似合わない。
好きなら好き、きらいならきらい。それだけでいいのに。

しかもツバサさん、ほんとうは飛行機が大好きなんでしょう?
大好きなおとうさんの大好きだったもの、きらいになれるわけないじゃないか。

ツバサさんが顔を上げた。
「ところでヒトミくん」
話が急に変わっている。顔つきも違う。

「キミ、ほんとうに、勘悪いね」
はぁ?

「どういうことですか?」
いきなりで、まったくわけがわからない。

「このストーリー展開って、ヘンだと思わない?」
????????????

「このあいだの神社での出来事、覚えてる?」
神社って、あの日のこと?

もちろんだ。あんな話、誰にも話せないで胸にしまってある、、、っておい
「ど・ど・ど・どうしてツバサさんそれを?」
「話は最後まで聞きなさい」
「・・・はい」

「キミのおかあさんが、おかわいそうに交通事故にあわれた。いま意識不明の重態だ。そこに、ひとりの女性が現れた。彼女が言うには、これから12人の女たちがキミに襲いかかる。キミは彼女たちとセックスをして、自分より先にイかせなければならない。ここまでいいわね」
うなずくしかない。

「キミは童貞だ!」
声が大きいですよ。

「つまり、最初に差し向けられた女が、初体験となる」
はつたいけん♥かあ。

「そんなタイミングで、憧れの先輩と会った。さあ、まだわかんないか」
ツバサさんはここでぐっと身を乗り出して、
「ヒトミくんは自分しか見えてない。見ようとしていない。わがまま、って意味じゃないよ。キミはスーパーマーケットで、だれかがひっくり返したカップラーメンを並べなおしてるあいだに、なにを買うか忘れるような人」
わかりにくい例えだな。

「でも、そんなことをしているうちに、ほんとうに大切なものをいつも見落としてるの。キミにわたしのこと告げ口したマユミちゃんは、キミが好きだったのよ。逃げちゃダメ。触ってごらん。触れば濡れてくるよ」
よくわからないが、たぶん当たってる。
要約すれば、ぼくが弱虫っていうことだ。

「さあ行きましょう」
ツバサさんは立ち上がっている。

「今日のふたりの出会いが、偶然のものだなんて、まだ思ってる?初体験の相手は、憧れの先輩って昔から決まってるの。→→→→→つまり、わたしよ」
なるほどね・・・って、えっ、えっ、えっ、えーーっ

「こ・こ・ここは!」
「そうよ、部室」
ユニフォームを、床に敷きつめているツバサさん。

「ここでするんですかぁ」
「初体験には、思い出の場所がいいって人と、忘れられない場所がいいっていう人がいるよ。ここは、思い出がいっぱいつまっているし、忘れられない経験になる。キミの要求のどちらにも、応えているはず!」
要求してませんが。

「そしてこの部室は、わたしが青春を濡らしたスイートスポット。その窓枠にしがみつき、7番のロッカーに押しつけられ、スパイクの突起でぐりぐりと・・・」
なにやってたんですか!?

「もちろん突起は洗ってからよ」
聞いてませんって。

「だからどこか違うばしぉでってぬぐむぬ」
どこか違う場所でって言おうとしたら、突然口をツバサさんのくちびるでふさがれた。

キス。
長い舌が、ぼくの口の中で、奔放に舞う。
手をとられて、ダンスフロアーのまん中に導かれた少女のように、ぼくの舌もツバサさんの舌にあわせて、ぎこちなく踊り始める。

「さあ脱いで、ぜんぶ、早く!」
ツバサさんはいつの間にか、裸になっている。
なぜか首からストップウォッチをさげて。

「ヨシオ、マルオ、ユウくん、コバ、タツヤ、モツ・・・」
いきなり、なにいい始めるんだ?

「いろんな人とシテきたわ」
みんなサッカー部員だ。
「ミッキー」
※留学生のブラザー。あだ名は、メジャー。
メジャーリーグのことではなく、アレが約30センチ(1フィート)なので、メジャー代わりになるって意味。

「それから、ポンちゃん」
※相撲部に、太りすぎが理由で入部を断られて、なぜかサッカー部に来た同級生。

「でも、いちばん欲しかったのは、そう、ヒトミくん」
・・・あんまりうれしくない。

「電気を消して」
月明かりが映し出すツバサさんのシルエットは、しなやかでうつくしく、ぼくのアレのシルエットもいつのまにか伸びていった。

「いい?」
「はいっ」
ああそのときが、ついについについについについに!
ツバサさんが、ストップウォッチに指をかけた。
3・2・1・
沈黙のホイッスルが、高らかに鳴った。

始まりの、キス。
さっきよりもずっとずっと激しく。
ツバサさんは、ぼくの首筋にくちびるをはわせ、ゆっくりと、乳首の位置までおりてくる。
ぼくは直立不動で、おまけに目まで閉じているから、まるで食べられる寸前の、草食動物。
ツバサさんの舌が、乳首にちろちろと触れるたびに、1オクターブ高い声まで出るし。

ぼく、ああもう、ハズカシキモチイイ。
それにしても、男も乳首って感じるんだ。知らなかった。
これまでもったいないことをした。

「なにか考えているでしょ?真剣にやりなさい」
トランクスに手をかけながら、ツバサさんがコワい顔でぼくを見上げる。
このアングルも、きれいだ。
こんな肉食獣なら、よろこんで食べられますっ。

ぼくを見上げた顔を下に向けたかと思うと、あっという間にツバサさんのくちびるは、ぼくのアレの自由を奪っている。
まったく動きに無駄がない。
と感心してるうちに、あ、、、、、

~つづく~

| | コメント (5)

II..ツバサ編1:あこがれのセンパイ。

バス停で、その人を見かけた。

まぶしい人だな。
長い手と足。
浅く日焼けした肌と、白い歯のコントラスト。
花なら、おおきなひまわり。

なんて思ってたら、目があっちゃった。
ジロジロ見すぎだよヒトミ、まずいまずい。
あわててその場を離れようとしたら、

「ちょっと、待って」
「うわあ、ごめんなさいごめんなさい」
「謝らなくてもいいけど、キミ、ヒトミくんでしょ?」

えっ?
「そうですけど・・・」
「やっぱりそうか。忘れた?意外とつめたいなあ」

美人。元気。たぶん年上。
大急ぎで、記憶の倉庫の中のデータをひっぱり出して、照合作業開始。

あっ
「もしかして・・・」
その人の大きな目は、微笑んでいる。

「ツ、、、バ、、サ、さん?」
「やっと思い出せたね」
やっぱりそうだ。ツバサさんだ。

「でも時間かかりすぎ。再テスト」

ツバサさんは、高校のサッカー部のマネージャー。2コ上。
1年生のときの、3年生。憧れの人。

なんてことだろう、偶然出会えるなんて。感激。

元気で笑顔でやさしくて、うれしいときはいっしょに喜んで、落ちこんだときははげましてくれた。
もちろん笑顔はすてきだったけど、時おり見せる大人びた横顔。
ぼくはそいつに、胸をキュンとさせたり、アレをピクンとさせたりしてたんだ。

あれから5年か。
「じゃ罰として、お茶つきあってもらおうかな」
ぜんぜん罰じゃないですっ。そんなことなら、まいにち罰されたいですっ。

近くのオープンカフェ。
なつかしい思い出話は、ぼくを15の夏につれもどしてくれるみたいだ。

ぼくがPKをはずしたせいで試合に負けて、ぼくは学校にも行けず家にひきこもって、そしたらツバサさんが朝迎えに来てくれて、
「ヒトミくーん、出て来たらキスしてあげるよー」
って、もう、近所中に聞こえる大声で叫ぶんだもん。

「だってそうでもしないと、出て来なかったでしょ?」
「で、ほんとに、ほほにチュッってしてくれたんですよね。でも緊張しすぎて、感触もわからなかったです」

ツバサさん、たのしそうに笑ってくれる。
美少女から、美人になったツバサさん。
でも笑顔は、あのころのままだ。

ツバサさんがうっかりブラをつけないで、練習のグラウンドに現れた日。
ぼくらはよそ見のしすぎで、1日に5人もケガをした。
「うっかりじゃないのよ、わ、ざ、と」
やっぱりぼく、からかわれているのかな?

「そんなことしてるから、いろいろウワサたてられたことも、あったもんね」
笑っていうけど、たのしい話じゃないはずだ。
マツダ先輩、クラタ先輩、スズキ先輩、コンドウ先輩、タカギ先輩、同級生のウエダ・・・。
(いろんな人と、シテるんだって、あの人)
マユミっていうクラスメイトが、ぼくに告げ口した。

「きっと嫉妬ですよね、ツバサさんがモテてたから」
ってぼくがいったらツバサさん、

「シテたよ」
ってナンですか、アレですか?

「冗談、、、でしょ?」
「もちろん、」

ツバサさん、今日のベストスマイルで、
「冗談じゃないよ」

つぎの言葉が出るまでの数秒間が、1時間に感じた。

「なぜですか?ツバサさん、あんなに尊敬してたのに!」
ショックで、声が震えている。

「ヒトミくんは、あいかわらずね」
と、ぼくの目をじっと見る。

「尊敬と、セックスするしないは、関係ないでしょう?」
そりゃそうだけど・・・。

「ヒトミくんって、昔からそういうところがあるの。リアルさがずれてるっていうか、なにか探すときでも、隣の引き出しをあけて、一生懸命探しているみたいな」
わかるような・・・よくわからないような。

「それは結局、このお話の先に進めばわかるんだけど、セックスから逃げているんだと思う」

逃げている?
セックスから?お話が先に?どういうこと?

「みんながわたしに夢中だったってこと、覚えてる?」
「はい、だってみんなの憧れでしたから」
「そこが違うの、憧れじゃないの」
「ぼくはずっと、憧れてました」
「でもね、ヒトミくん以外はみんな、わたしとシタかったの、憧れは憧れで終わらないのがフツーなの」
・・・ぼくはフツーじゃないってことですか?

「でも、ぼくだってぼくだって、ツバサさんのタオル盗んだことがありますっ。つまりシタかったんですっ」
意地になって自白してみたら、

「わたしの下着盗まなかったの、サッカー部で、ヒトミくんだけよ」
とあきれたように、ツバサさんが言った。

「どうやってみんなとシタかというと・・・」
って、わーーーそんなこと聞きたくない、聞きたくない、聞きたい。

「練習終わって、みんなが帰ったあとにね、つきあってたからね、マツダくんと」
やっぱキャプテンさすがだな、って感心してるばあいじゃなくて

「・・・まさか」
「いつも部室よ、お金かからないし、すぐシャワー浴びられるし、男くさいの嫌いじゃないし」
ぼくは、ツバサさんがあの部室でキャプテンとしているところを想像してみた。・・・すこし大きくなってきた。

「タカギくんとも、結構したなあ」
さっきの想像のキャプテンの顔を、タカギ先輩にすげかえてみた。
またすこし、大きくなった。

「でも彼はヌいてあげるほうが多かったな。試合前、ガマンできなくなるみたいで、おーいツバサァ、ヌイてくれー、って。またぁ?しょうがないわねー、って」
それ、しょうがない、のか?

「でも、マツダに悪いから、イレなくていいよって、だからいつも手と口で。男の友情ね」
ツバサさん、それ友情とは呼ばないです。
あと『手と口で』のところに、アクションつけるのやめてください。
ぼくのアレに血液が流れこみすぎて、破裂しそうです。

「それから、ムナカタさん」
ムナカタコーチ!?

「練習のあと、わたし、いつもみんなのユニフォーム洗ってたでしょ?ある日コーチが、オレも洗ってくれって来たから、脱いでそこに置いといてください、って言ったら、バカヤロー、ユニフォームじゃない、このオレだって、まっぱだかになっちゃったの」

つまらん欲を捨てろって、言ってましたよね、コーチ。
女なんかに気を取られるなって、おっしゃってましたよね、コーチ。

「で、せっけん泡立てて洗ってあげたんだけど、アレがほんと大きいの、洗っているうちにどんどん伸びて、洗うのが追いつかないくらい、うふふ」
ツバサさん、大人のジョークまじえないでいいです。

「それから、今度はオレが洗ってやるって、脱げって、抱きつかれて泡まみれのまま、でもね、意外にスルッとはいっちゃうものね、ヒトミくん」
そんなことってあんのか・・・知らなかったのぼくだけか?

落ちこんだ。。。
「あれ、ヒトミくん、どうした?元気ないぞぉ。♪見せつけろぉ、M高魂、敵はぁ~」
歌ってくれなくていいです。フリつけもいらないです。

「もうすこしつきあってくれる?だって、今日はわたしの夢がかなった日」

~つづく~

| | コメント (12)

I .神社編2 :神社でわっしょい!

「ぐむむむぐむぐぐむうくふふkydぬ」

口に、ぼくのアレをほおばったままなので、よく聞き取れないが
(お口の中って、あたたかいでしょう。わかる?)
って、いっているらしい。

「はい、わかりますぅ」
わかったらいいの、って感じで、ぼくのアレをもっと奥へ。

「いつも体温を高くしておくために、年中風邪気味にしている」
らしい。

「ぐうじずげむむぬぬりまぬまぬんきlpyぐ」
(唾液をいっぱいためて、キミのコレを泳がせながら舌でころがす)

テクニック解説つきだ。
指で、1を示している。まずは1stステップということらしい。

「ぬむるぐむむるkひぃmpsrkrpぬむむ」
(温かく包まれて、まるで羊水に浮かんでる心地でしょう?いい子ね、いい子。目を閉じなさい)

羊水は覚えてませんが、心地いいのは、わかりますぅ。安らかな気持ちですぅ。
はぐくまれるように、おおきくなってきますぅ。・・・ちからが抜けてきた、、、

「ぬぐむむぐねるつうくむむぬぬぐjskw」
(って油断させといて、いっきにくちびるで締めあげる!)

うわっ!
(これが2ndステップ)
うぐっ!血が止まったみたいな。海綿体瞬間貧血!

「むぬぐむのののむぐぐbyもmぇいんkl」
(キミのコレの先へと体中から押しよせてくる血液を止めて・・・苦しいでしょ・・・そこでまたいっきに流す!)

どどどどどどどどどどどどどどどどどどど。
ぼくのすべての知能も、すべての神経もアレに集中している。
それどころか、ぼく自身がすでに、ぼくのアレだ。
ほか肉体は抜け殻のようだ。
呼吸するのも、忘れていた。

「こぬぬぐむむにえryぬskdみおけんml!」
(これが、秘技、窒息チンプレイ失神5秒前!)

ネーミングはあんまりだが、、、お見事です!すごいです!
ぼくのからだもこころも、おねーさんのくちびるに支配されてしまっています。

指で、3を示しながら
(そろそろ佳境の3rdステップよ~ん)

こんどは、ぼくのアレに舌を巻きつけてきた。
ぐるんぐるんべろんべろんと、時計回りに360度、反時計回りに360度、先っちょのアナの割れ目(なんて呼ぶんだろ、ココ)を縦に上下上下、ちろちろぺろんぺろん。

時計回り、反時計回り、割れ目上下上下。時計回り、反時計回り、割れ目上下上下。
ぐるんぐるんべろんべろん、ちろちろぺろんぺろん。ぐるんぐるんべろんべろん、ちろちろぺろんぺろん。

ダブルダッチのロープのように、舌がぼくのアレにからみついて無限ループが続いていく。
ああ~も~も~気持ちいいよいいよいいよお!

向こうから、快感みこしがやって来た。わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!

「だぬぐくむぬmんでょ」
(もう、降参?やっぱり、腰抜けの臆病者なのかなぁ?)

アブナイ!
おかあさんのことが、かかってたんだ。

しかし、快感みこしが、わっしょい!わっしょい!快感みこしが、わっしょい!わっしょい!

あああああ。

彼女は、この小動物相手に、フィニッシュに取りかかったようだ。
舌を、これまでよりも高速回転させながら、挑発的にこっちを見上げる。
時計回り、反時計回り、縦に上下。
舌を、やわらかく丸めて、時計回り、反時計周り。
舌を、かたくとがらせて、縦に上下。
運動は、規則正しく、そして激しく。

もう、どうかなっちゃう、どうにでもなれと、意識はとびそうになりながら、なんだかなんか引っかかる。
この規則正しい動きははなんだっけ?知ってるぞ。わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!
(なんだっけ)

わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!
(そう、規則正しい、といえば,山手線!)

わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!
(そうか!まん中とおるは中央線!)
内回り、外回り、中央を、上りと下り。わかったぞ!!!

「まあるいみどりの山手線♪まんなかとおるは中央線♪」

オネーサンはプッとふきだして、ぼくのアレから口を離した。

「もうすこしだったのに、よくも阻止してくれたね」
「ごめんなさい」
「ほめてるのよ。よく見破った」
(どういうこと?)

「山手線と中央線の、かたちづくるもの。それ、すなわち、Icon2_2 陰と陽。すなわち、男と女。すなわち、セックス。その奥義は、あのCMソングにあり!」
(なんちゅう真理ですか!)

「結構やるじゃない。参加を認めざるを得ないようね、おかあさんの命を救おうゲーム大会」
(いやです。そんなバカネーミング)

「略して、おいゲー」
(しかも、略さなくっていいです)

「12人の女たちがキミに、いや、キミのアレに襲いかかるわ。みんな、美女で野獣。わたしなんて、白帯」
(おおコワ)

「あとこれ持っといて」

なんですか、このカード?
「スタンプカード。一人倒すごとに、1コスタンプを押すから」
3コごとに、エッチなマークが印刷してある。なにかもらえるらしい。

「じゃ、わたしはこれで。また来るから」
あっさり、帰っちゃうんだ。

「あ、それから」
初めて微笑んでくれた。

「けっこう、おっきいね」
顔赤くしてる。あんだけやっといて、いまさら。
ありがとう、がんばります、といいたくて振り向くと、・・・風が吹いているだけ。
彼女のいた場所には、水たまりができていた。
(なめたら、ちょっと、しょっぱかった)

いつのまにか、もう朝だ。
朝日を背にして立つぼくの影は、雄雄しくそそり立つアレに見える。
ぼくは、これから始まる日々を思い、朝日に向かい胸を張った。

つづく

| | コメント (5)

I .神社編1 :エロベンチャーのはじまりだ。

あれから、季節が2回変わっただけなのに、10年もたったような気がする。思ってもみない筋書きと、信じられない結末だったが、いま思えば、得がたい体験だった。

あの日。
そう、すべては、あの日始まったんだ。

おかあさんがクルマにはねられた日、ぼくは駆けつけた病室で、立ち尽した。
たくさんのチューブをつながれ、ベッドに横たわるおかあさん。

集中治療室。意識不明。重体。

テレビではよく耳にした言葉。まさかこんなかたちで、現実に見ることになるとは。
ドクターに言わせると、死なずにすんでも、植物人間かもしれないって。
(植物人間ってさいしょに言った人、天才的に嫌なヤツだなあ)

「回復は約束できないよ、残念だけど」

って、ぜんぜん残念そうじゃない。

医者はいつもそうだ。アンタらには、10000分の1の命かもしれないが、ぼくにしてみたら、かけがえのないオンリー1なんだよ!って叫びたいのを飲みこんで、病院をあとにした。

もう、真夜中になっていた。

ぼくは、おかあさんが大好きだ。
うちには、おとうさんがいない。気がついたころには、もういなかった。
だから、ぼくを育ててくれたのは、ぜんぶ、おかあさんだ。
おとうさんもおかあさんも、おかあさんだったんだ。

損か得か二つあれば、人に得なほうをまわして、自分は損を選ぶ人。
どんなことも人のせいにせず、自分の努力で何とかしようとする人。
明るくて、強くて、やさしくて、尊敬している。

あんなおかあさんになりたい、って思ってた。男だけど。。。

(このへんに、神社があったな)
子供のころ、かくれんぼした神社だ。

神さまに祈る以外に、いまのぼくになにができるのだろう。
500円玉を奮発して、神様が目を覚ますくらい、思いっきり手を叩く。

パン、パン。
どうか、おかあさんを、元にもどしてください。
二人っきりの、家族なんです。
おかあさんがいなくなったら、ぼく、この世の中で、一人になっちゃうんです。
まじめに生きますから。食べものを残しませんから。
どんなときでも、どんなことでも、ガマンしますから!

「ほんとうだね」

神社の木の陰から女の人。
時刻が時刻だけに、ユーレイだ!腰が抜けた。

「やっぱりキミは、腰抜けの、ドーテーくん?」
(うるさいな、両方あたってるけど、、、でも、なんで知ってるの?とくに後半部分)

よく見ると、派手めの美人。おねーさんタイプ。170センチくらい。Eカップ以上。
霊なのに、肉体派。

「なにジロジロ見てんのよっ」
(すいません)

「あのね、ユーレイじゃないからね」
(じゃ、午前2時に肉体派がなんの用事なんだろ?)

彼女は、勉強のできない生徒にイライラする女教師のように、
「あ・の・ね、さっきから、ガマンできるのね?って質問してるの。どんなときでも、どんなことでも。神様に,半泣きで約束してたでしょ?」
(半泣きは余計だ)

「聞いてたの?」

彼女はぼくの質問を
(わたしがしゃべりたいことをしゃべる、人の話は聞かない、それがわたしの会話術)
って感じで無視して、

「それはつまり、欲望に耐えてみせるってことでしょ?ドーテーくん」
(だからあ、なんんんで知ってるんだ?)

チャンスがなかっただけだ。
高校生のときはサッカーに夢中で、女子なんか(すこししか)目に入らなかったし。
高校を出てからは、2年間世界中を放浪してたし。

テロやゲリラや毒蛇やエイズやあぶないことや、カルチャーびっくりショックの連続で、女性どころではなかったし。

「そうやって、いつも女の人から逃げてるのね」
(逃げてる?)

「それがあなたの家系」
(家系って、ほかに誰?)

「そのヒミツは、最終回で明らかになるわ」
(最終回!?)

「おかあさん思いで、やさしくて、かわいい顔して、腰抜けで、臆病者の、ドーテーくんに提案があるの」
(もういいよ!)

「こういうゲームって、どうかしら?」

彼女がいうのは、こういうことだ。
これから、12人の女性たちが、ぼくに差し向けられる。
たとえると、刺客ってヤツだ。ダイレクトにいうと、セックスしにやって来るのだ。
だれと。ぼくと。なにを。セックスを。
そう、セックスを。

「カワイコちゃんばかりよ~ん、期待してね~ん、ドーテーくんともサヨナラできるよ~ん」

でも、ひとつルールがある。
ぼくは絶対に彼女たちより先にイッちゃいけないと。ダシちゃいけないと。
口でも手でも、もちろん中でもダメだと。暴発もダメだと。即時退場だと。
かならず自分より先に、彼女らをイかせなきゃならないと。
全員を見事クリアできれば、おかあさんを元どおりにしてあげると。
(バカバカしい話。やっぱこのひと、あたまヘンだ、きれいなのに)

「あー、そんなこと、いっていいわけ?わたしは、溺れる者の、ワラ、よ。九死に一生の、一生、よ。ステアウェイトゥヘブンよ」
(天国は困るんですけど、、、)

でも、フシギな人だ。
たしかにぼくは、人生の荒海に溺れそうだ。
イレてもいいが、ダシちゃダメってこと、さすがにドーテーくん(自虐)にはそれがどんなことかわからないけど、まあ、これまで、セックスしなくてもダイジョーブだったんだから、ダイジョーブでしょ。

「・・・とか、キミ、思ったでしょう。キミ!キミ!キミ!ア・マ・イ・ヨ!それがどれだけの苦行か、ヒントくらいあげなければいけないようね」

いい終わらないうちに、彼女はぼくの手をひき、真夜中の境内の奥へ奥へと入って行き、そして、一本の太い木にしばりつけるように、ぼくの背中を押しつけた。

ダシンン!
や否や、ぼくの胸にEカップ以上(推定)をむにゅっとこすりつけながら、ジーンズのフロントのボタンを、テテテテテテと秒速ではずして、長い指を中へすべりこませて、ストライプのトランクスの上から、ぼくのアレをタマごとぐむっとにぎりしめて、ぐりんぐりんとクルミのようにもてあそぶ。

流れるような匠の技。0コンマ1の継ぎ目もない。
(あ、あ、あ、おっきくなってきた)

いつの間にかうっとり閉じていた目を開けると、
あれ・・・おねーさんがいない。
と、思ったらー下だ!一瞬のうちに彼女のくちびるはぼくのアレをほおばっていた。

秒殺。
・・・やばい・・・きもちいいいいいいいいいいいいいいいいい。

~つづく~

| | コメント (9)

その他のカテゴリー

ココログ小説